"青いハンカチの花嫁" 第15話
私はすぐに、あなたが盗んだのだと気づきました」
佐藤先はくため息をついた。
「私は浩司君に真実を話そうと何度もいました。しかし浩司君はベッドので、私にこう言ったのです。先、あの子には俺のことを何も言わないでください。俺のかないで、あの子の未来を縛りたくないんです、と」
俺は静かに目を伏せた。
10の病での会話が、鮮やかに蘇った。
「私は医師として、浩司君の決を尊するしかありませんでした。しかし今この席に招かれた、私はすべてを話す覚悟を決めてきました。こんな卑劣な男に、浩司君の尊い犠牲を踏みにじらせるわけにはいかないからです」
親族席から、きな拍が湧き起こった。
俺の10の孤独が、完全に報われた瞬だった。
しかし佐藤先は、まだ話を終えていなかった。
先は胸のポケットから、つ折りにされた古いを取りした。
「浩司君。すべてを終わらせるに、君にも1つだけ見せなければならないものがあります」
先の顔はとても真剣だった。
「これは10、健君があなたの病からてきた直、私が彼から密かに取りげていたものです」
俺は首をかしげた。
健が持ちしたものは、由美のだけだったはずだ。
それ以に、何を隠し持っていたというのか。
佐藤先が差ししたのは、涙でところどころ滲んだ、淡いピンクの便箋だった。
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「これは、由美さんが君に向けていた2通目のでした」
由美がはっと息を呑んだ。
俺は震えるで便箋を受け取った。
そこにかれている丸みを帯びた丁寧な文字は、違いなく由美のものだった。
「私を助けてくれた切な恩様へ」
は、そんなきしから始まっていた。
「今、お医者様から、あなたはもう2度と歩けないかもしれないと聞きました。私のせいであなたの未来を奪ってしまって、本当にごめんなさい」
俺は便箋を持つに力を込めた。
しかしにかれていたのは、ただの謝罪ではなかった。
「でも私は、あなたから逃げません。あなたが子になるのなら、私があなたのになります。あなたがどこへきたいと言っても、私が子を押します。だからどうか、私をざけないでください。あなたのそばで、恩返しをさせてください」
まだだった由美が、自分のすべてをかけて俺を支えようとしてくれた、嘘のない真っすぐな決だった。
俺の目から、い涙がこぼれ落ちた。
10の俺は、健から「おがいれば彼女の負担になる」と言われ、を引くことだけが彼女への優しさだとい込んでいた。
しかし由美は、負担になることなど最初から覚悟ので、俺のそばにいたいと願ってくれていたのだ。
「どうして……どうして先はこれを俺に教えてくれなかったんですか?」
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俺は涙を拭いながら、佐藤先を見げた。
先は辛そうに目を伏せ、くをげた。
「本当にすまなかった。当の君は毎晩ベッドで泣きながら、俺はもう誰のことも幸せにできないと自分を責め続けていた。そんな君にこのを見せれば、由美さんの覚悟がかえって君のを壊してしまうのではないかと恐れたのです」
先は医師として、俺の精神状態を第に考えてくれたのだろう。
しかし由美は静かに首を横に振った。
「悪いのは先ではありません。すべてを都よく操ったこの男です」
由美は1歩ずつ健にづいていった。
「健さん。私はあのをナースステーションに預けたわけではありません」
その言葉に、会の誰もが息を呑んだ。
「私はあの、病のにいたあなたに直接このを託したんです。彼の親友であるあなたから、どうかこのを渡してほしいと泣きながらお願いしました」
健は顔面蒼になり、首を激しく横に振った。
「違う。俺はそんな……」
「嘘をつかないで」
由美の静かでいりの声が、健の言い訳を完全に封じ込めた。
「あなたは次の、私に会いに来てこう言いましたね。浩司はを読まずに破り捨てた。おの顔を見るとを失ったことをいして苦しそうになるから、2度と目のに現れるなと言っている、と」