"214号室の沈黙" 第7話
19991015の夜、忠雄はを起こすことに決めた。
ゆり子が夜勤で1で働いていることをっていた。ホテルには宿泊客がなく、夜はのきもほとんどない。
午1頃、彼は2階の廊でゆり子に声をかけた。
「214号の球を交換する必がある」
それは嘘だった。
214号の球に異常はなかった。
だが、ゆり子を部へ誘い込む実にはなった。
ゆり子は忠雄の言葉を疑わなかった。仕事の部だとい、214号へ入った。忠雄もそのに続いた。
部のは暗く、静かだった。
ゆり子は気をつけ、井を見げた。
「どこの球ですか」
彼女がそう尋ねると、忠雄はドアを閉めた。
ゆり子はその音に振り返った。
忠雄は答えなかった。
代わりに、彼女へづいた。
「話がしたい」
ゆり子はすぐに警戒した。
「仕事があります。にてください」
彼女は歩がった。
忠雄はさらにづいた。
「ずっと好きだった。緒にいたい。幸せにできる」
ゆり子の表がこわばった。
「やめてください。叫びます」
彼女は部をようとした。
その瞬、忠雄は彼女の腕をつかんだ。
ゆり子は振りほどこうとした。
忠雄はさらに力を込めた。
「どうして拒むんだ。どうして俺にチャンスをくれないんだ」
ゆり子は恐怖で声をげた。
忠雄は慌てた。
誰かに聞かれるかもしれない。
彼は彼女をベッドの方へ押し倒し、をふさいだ。
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ゆり子は必に抵抗した。
爪で引っかき、をかもうとした。をかし、逃れようとした。
忠雄はさらにく押さえつけた。
「静かにしてほしかっただけだ」
に彼はそう供述した。
殺すつもりはなかった。
ただ、叫ぶのをやめてほしかった。
しかし、ゆり子の抵抗は続いた。
忠雄は両で彼女のとを押さえつけた。力を込め、必で押さえた。
やがて、ゆり子の体がかなくなった。
忠雄はをした。
ゆり子は呼吸していなかった。
目はいていたが、瞬きはなかった。
忠雄はそので固まった。
自分が何をしたのか、すぐに理解できなかった。
数秒、恐怖が押し寄せた。
彼女を殺してしまった。
忠雄はパニックになった。
このままでは誰かが部に入る。
監カメラには、彼がゆり子と話していた映像が残っている。214号に誘い込んだこともられるかもしれない。
遺体をここに置いておくことはできない。
正面玄関から運びすこともできない。
廊やロビーにはカメラがある。
忠雄は考えた。
必に考えた。
そして、の貯槽をいした。
容量1万Lのきなタンク。
そこに遺体を入れれば、誰にも見つからない。
が隠してくれる。
しかし、だけでは遺体は残る。腐敗すれば、いつか誰かが気づく。
その、忠雄はの苛性ソーダをいした。
排管の清掃に使う腐性物質。
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物を溶かすことを、彼は仕事のでっていた。
遺体をタンクに入れる。
苛性ソーダを加える。
と薬品が遺体を溶かす。
数週には、何も残らない。
そう考えた。
計を見ると、午2頃だった。
ホテルは静かだった。
宿泊客のほとんどは眠っている。
マネージャーは1階にいる。
へがるはいない。
忠雄は、ゆり子の遺体をシーツで包んだ。
の肉体労働で鍛えられた彼は、ゆり子の体を持ちげることができた。廊を確認し、がないことを確かめる。
彼はスタッフ用階段へ向かった。
その階段にはカメラがなかった。
からまで続く、従業員だけが使う階段だった。
忠雄は遺体を抱え、階段をった。
4階分の階段はかった。
途で何度もを止め、息をえた。汗が顔に流れ、腕が震えた。
ようやくへの扉に着くと、彼は鍵を取りした。
は震えていた。
扉をけると、たい夜の空気が顔に当たった。はまっていたが、のコンクリートは濡れていた。
忠雄は遺体を度にろし、貯槽へ向かった。
タンクはきな属製の容器だった。部にハッチがある。彼はハッチをけた。
は暗く、の匂いがした。
忠雄は遺体を引きずり、必に持ちげた。
そしてハッチからへ落とした。
鈍い音がした。
暗ので、何も見えなかった。
忠雄はすぐにへ戻った。
施錠されたキャビネットをけ、5L入りの苛性ソーダのボトルを1本取りした。
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