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"新潟校十二年の悪闇" 第11話

 

錠がかけられる瞬、田は何の抵抗もいませんでした。

ただく垂れたまま連されていきました。

エレベーターの扉が閉まる直、彼がつぶやく声が聞こえました。

「あの女がただおとなしくしていればよかったのだ。」

松本警部はその言葉を聞いて拳をく握りしめました。

そして何も言葉を発しませんでした。

2004 5 13 、田は殺の容疑で方検察庁へ送検されました。

逮捕状が執された、町にはっていました。

細く静かなでした。

誰かがそのを見ながら「も全てをっているのだ」と言いました。

裁判はそのから始されました。

検察側は計画な殺を主張しました。

被害者を学へ誘いした状況、事に凶器を準備していた能性。

そして犯に組織に証拠を隠滅した為が、偶発な衝突ではなく計画された犯罪であることを裏付けていると見なしたのです。

これに対し、田側の弁護は最まで突発論による偶発な暴であるという主張を維持しました。

法廷において田貫してを垂れていました。

傍聴席には弘が座っていました。

潟へを運んできたあのです。

で帰らなければならなかったあのが、今法廷で妹の名が呼ばれるのを聞いていました。

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弘は裁判期ただの度も涙を流さなかったと言います。

泣くことができませんでした。

が真っでした。

という度に胸のに押し寄せてくるようでしたが涙がなかったのです。

ただ妹の名が呼ばれるたびに、胸の奥底で何かがしずつそのを確かめていくような覚がありました。

が呼ばれるということだけでも、このしていたという事実を法律が認めてくれたということだけでも、弘は言葉を継ぐことができずしのち止まりました。

それだけでも分でした。

2004 11 27 方裁判所は田に対して懲役の判決を言い渡しました。

裁判は判決文を読みげながらこのように語りました。

被告は自の社会位と体面を守るために、何の防壁も持たない被害者の命を奪いました。

さらに犯ものきにわたり、被害者の族が苦痛のきているという事実から目を背け、何の罪の識もなく世を渡っていました。

これはの尊厳を根本から踏みにじるな犯罪であります。

傍聴席からい嗚咽の声が漏れ聞こえました。

判決の言い渡しが終し、法廷の扉がかれた、鈴み子さんは廊のベンチに座り、両わせたまま目を閉じていました。

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弘さんがてくるのを見ると、彼女は席からがり、げました。

「申し訳ありません。本当に申し訳ありませんでした。」

弘さんは何も言わず、鈴み子さんのを握りしめました。

はそのまましばらくのち尽くしていました。

ゆかりさんの遺骨は故郷である京都府京都内の墓に納骨されました。

兄である弘自ら用した所でした。

は決してきなものではありませんでした。

い御に名の文字とだけが刻まれた質素な墓でした。

ゆかり 1959

1992

納骨式の弘さんは墓い菊の束をつ置きました。

そしてしゃがみ込んでいました。

どのような言葉を語りかけていたのかは誰のにも届きませんでした。

それは兄と妹のだけの対話であったからです。

たいが菊のびらを静かに揺らしました。

帰りの弘は声をして泣いたそうです。

京都駅の待の隅の席に座り、声を殺して泣き続け、そのようにしてというが終わりを告げました。

ゆかりさんは子供たちをした教師でした。

らぬ学期の準備をめていたでした。

学期の朝、子供たちのつために席簿を理し、学習指導案を積みねて準備していたでした。

そのの名というを経てようやく本来の居所を見つけしました。

真実はに埋められても呼吸を続けていたのです。

どれほどく埋め隠そうとも、どれほどが経とうとも、真実が決して完全に消えることはありません。

いつのか必ずへと姿を表すものなのです。

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