みかん小説
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"古道具屋の制服" 第14話

器用だけど、本当に優しい。あの子は最まで、あなたの誇れる娘だったわ」

その言葉に、の目から筋の涙がこぼれ落ちた。 それは自責の涙であると同に、娘への誇りとが入り混じった温かい涙だった。 娘のは決して消えないしみだ。 しかし、彼女が誰かのために戦った勇敢な英雄だったという事実は、凍りついていた族のに、15目にして初めて条のを差したのだった。

事件の真相が嘘のように、樽には穏やかなが訪れていた。 く町を覆っていたはすっかり姿を消し、柔らかな差しが歴史ある畳のやレンガ造りの倉庫を温め始めている。 港から吹きつけるも、もう肌を刺すようなたさはない。 それはしい命の息吹を運んでくるかのように優しく、そしてどこかすがすがしかった。

浜田の逮捕から数ヶ、彼の裁判が始まり、事件は司法のへと委ねられた。 松本の男が罪に問われることはなかったが、連の報によってその社会信用は失墜し、町の権力構造にも静かだが確実な変化の兆しが見えていた。 1女が投げたの波紋は、15を超えてこの古い港町の澱んだ面に確かな変化をもたらしたのだ。

佐藤には娘の遺骨が、さない箱に納められて帰ってきた。

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さはあまりにも軽く、15というを残酷なほど現実に突きつけていた。 しかしわことの表に、かつてのようない絶望のはなかった。 2は静かにそれを受け取り、リビングに飾られたみ咲の写真の隣にそっと置いた。 止まっていたが、ゆっくりとに再びき始めた証だった。

4のあるれた週末、佐藤夫妻と、そして事件以来初めてからの笑顔を見せるようになったカナの3は、で祝津の岸へ向かっていた。 部座席でカナは、み咲とのないをぽつりぽつりと2に語っていた。 描いた絵を褒めてくれたこと、緒にべたラーメンの、学の帰りで見た夕焼け。その1つ1つが、夫妻のらなかった娘の姿を鮮やかにに描きしていく。 内にはしみではなく、温かい記憶の空気が流れていた。

パノラマ展望台から見ろすは、を受けて何百万ものさな宝を散りばめたようにキラキラと輝いていた。 どこまでも青く澄み渡っている空を、かもめが気持ちよさそうにっていた。 3はその景を見渡せる崖の端にった。

事そうに抱えていたの箱から、遺骨の部をい布に移しとる。 そしてわこはコートのポケットから、あのガラス細のイルカを取りし、のひらに握らせた。

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ひんやりとしたガラスの触が彼の無骨なのひらに伝わる。

み咲、とは初めて声にして娘の名を呼んだ。

「お父さんはおに何もしてやれなかった。おの苦しみに気づくことも、最の願いを叶えてやることもできなかった。本当にすまない」

その声は震えていたが、それはもうただの悔の言葉ではなかった。

「だけどな、おの勇気はお父さんの誇りだ。おは俺なんかが元にも及ばないくらい、くて優しいだった。ありがとうな、み咲。俺たちの娘でいてくれて……」

に握ったガラスのイルカを陽にかざした。 青いイルカはまるで空との青をそのに宿したように、美しく透き通って輝いた。 それはもうしい事件の遺品ではない、娘がきた証、その優しさと勇気の結晶そのものだった。

ってこい」

い布をに解き放った。 真っな遺骨はの潮に乗り、キラキラとへと吸い込まれるようにい落ちていった。 それはしい別れではなかった。 狭く暗い所から解き放たれ、娘の魂が好きなこの樽の広いへとようやく帰っていくように見えた。 わことカナの頬を涙が静かに伝っていく。だがその涙は温かかった。

帰り、誰もが言葉なだったが、内の空気は来たよりもずっと穏やかだった。

しみが消えることはない。 しかし真実をり、娘の本当のいに触れたことで、族はようやくい荷物の1つをろすことができたのだ。

これからしずつ、を向いて歩いていけるだろう。

自宅に戻った佐藤は、物置から埃をかぶったイーゼルと真っなキャンバスを運びした。 程、あのの娘との約束を果たすかのように、ゆっくりとを握った。

樽のには変わらない常がある。 だがこの町できる々のには、1つの物語がく刻まれた。 あまりにも優しく、そしてすぎた1女が、自らの命を賭してでも守ろうとしたものがあったこと。 そしてその魂は今も、この青いをガラスのイルカのように自由に、誇らしげに泳いでいるのだと。 の潮が吹くたびに、々はきっとその女の勇気をすだろう

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