みかん小説
本棚

"古道具屋の制服" 第13話

終わりのない

「浜田慎介逮捕」というニュースは、翌の朝、静かな港町樽を瞬くに駆け巡った。 誰もが予しなかった結末。鉄壁のアリバイを持つ実直な漁師が、15未解決だった女子失踪事件の真犯だったという事実に、々は言葉を失った。 テレビのワイドショーはこぞって「歪んだ恩返し」「隣の狂気」という扇な言葉で見しを打ったが、その報は事件の表面をなぞったに過ぎなかった。

警察の捜査本部、窓のにはの空が広がっている。 は集まった部たちをに、ホワイトボードにされた相関図を指さしながら、事件の本当の姿を再構築していた。

「佐藤み咲は、単なる脅迫を計画していたわけじゃない。あれは、彼女なりの命を賭した告発の準備だったんだ」

の声は静かだがかった。

「彼女は親友のカナさんが権力によって踏みにじられ、その事実がに葬られるのを絶対に許せなかった。しかし警察やに訴えても、松本では揉み消されることも分かっていた。だから彼女は自らが盾につことを選んだ。み咲の計画は、あまりにも緻密で壮絶なものだったんだ」

彼女が松本の兄に啖呵を切った「相は私がしてやる」という言葉。それは自らが犠牲になるというではなく、「おの罪を告発する当事者はこの私だ」

広告

という宣戦布告だったのだ。

「そしてあの嘘の――あれは単なる捜査攪乱のためのトリックではなかった。それはカナを守るための巨な盾であり、同に松本族に対する烈な警告だったんだ。考えてもみろ。いじめと教師とのスキャンダルという、誰もが信じやすい、しかし決定な証拠のない報を流す。警察やメディアはそちらにびつき、松本の名は表にない。これによりカナは報復から守られる。そして松本の兄に対しては『おの罪はられている。これ以カナにせば、今度は本当のカードを切るぞ』という無言の脅迫になる。彼女は自らの失踪を社会に刻み込むことで、松本の罪に永かせをはめようとしたんだ」

聴衆は静まり返っていた。 1の女子がこれほどまでに孤独で壮絶な戦いを計画していたという事実に、誰もが圧倒されていた。 彼女は方独特の根付いた権力構造とそのを、たった1で見抜いていたのだ。

「その劇は、み咲の計画を全く理解できなかった1の男の、歪んだによって引き起こされた。浜田慎介は、み咲が汚れたみ破滅するのを防ごうとした。恩の娘の清らかなを守るためという、独りよがりの正義からな。しかしその結果、彼はみ咲の命だけでなく、彼女が命がけで守ろうとした告発という正義の計画そのものを永に奪ってしまったのだ。

広告

なんという皮肉な結末か」

浜田はみ咲を殺し、事件を完全にに葬った。 そして皮肉なことに、み咲が用した「嘘の」は15に発見されたことで、警察を真犯へと導くがかりとなった。彼女の罠はを超えて能し続けたのだ。 くため息をついた。

この事件の加害者は浜田慎介1ではない。 松本の権力に怯え、見て見ぬふりをした同級たち、娘の苦悩に気づけなかった族、そしてそうしたさな悪や無関を許容するこの町そのものもまた、な共犯者だったのかもしれない。

そのの午は佐藤を訪れ、夫妻に全ての真実を伝えた。 を見つめたまま、微だにしなかった。 娘が自分の全くらないところでそんな壮絶な戦いを繰り広げていたという事実。 そしてその孤独な戦いへ娘を追いやった最の引きが、失踪の自分の「くだらん」という言だったのかもしれないという悔。その全てが彼の肩にくのしかかっていた。

「俺が……俺があの子の話をしでも聞いてやれていたら……」

絞りすような声に、隣で聞いていたわこがそっと夫のに自分のねた。

「いいえ、あなた。あの子はあなたに似たのよ」

わこの声は震えていたが、凛としていた。

「曲がったことが嫌いで、を見たら放っておけない。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: