みかん小説
本棚

"古道具屋の制服" 第9話

いや、振りし以へと迷い込んでしまった。

アリバイのある男が、なぜ15に事件の最証拠品をかしたのか。 彼が語る「故郷をれた友」とは体誰なのか。 浜田はそれ以くことを拒んだ。 まるでその友とのに、命に代えても守るべき約束でもあるかのように。

は浜田の指先に染みついた、取れることのない魚と錆の匂いをしていた。 この匂いは、彼の無骨なそのものを物語っているようだった。 この男をかしているのは、や脅迫ではない。もっと原始だ。 忠誠か、友か、あるいは罪悪か。 くの港から聞こえてくるく物しいの汽笛の音が、解けない謎に苛まれるに夜きく響いていた。

イルカの腹に隠された真実

捜査は完全な膠着状態に陥っていた。 鉄壁のアリバイを持つ浜田慎介。裏をわせたように沈黙を守る元同級たち。 そして、権力という見えない鎧でを固めた教育委員会の武田正。 元にあるのは、容疑者たちの名が記された1枚ののコピーだけ。 しかしそのが指し示す物たちは、誰1として決定な証拠を残していない。 まるで分で、しない敵のを追いかけているかのようだった。 ピースは揃っているのに、決して1つの絵にはならない。

広告

その苛ちが考を支配していた。

あるの午は1暗い証拠品保管にいた。 ひんやりとした空気が、スチールの棚のたさと共に肌に染み渡る。 彼はビニール袋に納められた佐藤み咲の遺品を、改めてテーブルのに並べた。 15じさせない綺麗なままのセーラー。そして涙でインクが滲んだ。最に、さなガラス細のイルカ。

何かがおかしい。の隅に引っかかっていた違の正体を探っていた。 なぜみ咲は、これほど分かりやすい「容疑者リスト」を残したのか。 まるで誰かに「このたちが犯です」と指し示しているかのように。 それは追い詰められた女の最のSOSにしては、あまりにも用周到で作為にさえじられた。 それは痛な叫びというよりも、巧みにかれた脚本のようだった。

彼の線は、の横に置かれたガラスのイルカに吸い寄せられた。 に込められた激とは対照に、このさなイルカだけが15をもともせず、ただ静かに透な輝きを放っている。 その静けさが逆にの注く引きつけた。 彼は袋をはめたでそっとイルカをつまみげた。 ひんやりとたく滑らかな触が指先に伝わる。 何の変哲もない、樽の産物で売られているようなガラス細

広告

しかし、その緒にわざわざ制のポケットに隠されていたは何だ?

は無識にそれを掲げ、蛍灯のにかざしてみた。 青いガラスがを透過し、テーブルのに淡いを落とす。 このだった、の目が微かな異変を捉えた。 イルカの腹の部分、ガラスの内部に、の屈折とは違う極めて微細な線のようなものが見える気がした。 埃か、製造過程でできた傷か。しかし刑事のの勘が、それを見過ごすことを許さなかった。

「おい、鑑識のやつを呼んでくれ。至急だ!」

鑑識課の最鋭デジタルマイクロスコープが、さなイルカの内部構造をモニターに映しす。 最初はやはり、ただの気泡か傷にしか見えなかった。 しかし角度をミリ単位で調し、倍率を限界までげていくと、そのにいた全員が息をんだ。 そこにはらかにに刻まれた、極の文字があった。 樽が誇るガラス芸、そのでも特殊なレーザー刻印の技術を使ったものだろう。 肉では決して判読できない、まさに隠されたメッセージ。

震える指で操作し焦点をわせると、その言葉がはっきりとモニターに現れた。

は嘘。私を守って』

瞬、鑑識が止まった。 誰もが言葉を失い、モニターに映しされた文をただ見つめていた。

の脳内を落のような衝撃が駆け巡る。

は嘘――いじめも、教師との秘密の関係も、全てが偽りだったというのか。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: