"75歳の老婆をと20キロのヒラメ" 第10話
「丈夫です。今も必ですから」
「必、ですか」
賢治が聞き返すと、浅見さんはを閉ざした。
それ以は答えない。
賢治はいつも通り用を始めた。包丁がまな板を叩く音が、のに響く。浅見さんは子に座り、じっと待っていた。
支払いもいつも通りだった。
札の1万円札が15枚。
賢治はその札を受け取りながら、ので謝った。
疑ってすまない。
だが、放っておけない。
材を積み終えると、浅見さんはくをげた。
「ありがとうございました」
そしてリアカーを引いて歩きした。
そのを、原刑事たちがし距を置いて追った。賢治もを健太に任せ、し遅れてを追った。
浅見さんはいつものようにを抜け、通りを渡り、入り組んだへ入った。
途で何度もろを振り返った。
警察官たちは無理にづかず、角を曲がるたびにち止まりながら慎についていく。
坂ののバラックに着くと、浅見さんはリアカーから発泡スチロールの箱をろし、業務用蔵庫へ詰め始めた。
今もは空だった。
魚、肉、惣菜、果物。
毎買っているはずの量の材が、やはり残っていなかった。
浅見さんがすべてを入れ終え、のに入った、原刑事は腕計を見た。
「し待ちましょう」
賢治は黙って頷いた。
だけが過ぎていった。
午4をし回った頃だった。
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坂のから、い軽ワゴンがゆっくりとがってきた。
の側面には何もかれていない。業者のにも見えなかった。
賢治の体に緊張がった。
いは浅見さんのので止まった。
運転席からりてきたのは、30代くらいの男性だった。続いて、助席から若い女性がりた。2とも作業用のジャンパーを着ていた。
犯罪者なのか。
回収業者なのか。
賢治は息を殺して見つめた。
男性が玄関をノックすると、浅見さんがてきた。
その表を見た瞬、賢治は目を細めた。
浅見さんは、これまでで見せたことのない顔をしていた。
ほんのし、したような顔だった。
男性と女性は浅見さんにくをげた。
そして緒に業務用蔵庫をけ、材の箱をへ積み込み始めた。
魚も、肉も、果物も、惣菜も、すべて丁寧に積んでいく。
原刑事がさく言った。
「確認しましょう」
警察官2が姿を現すと、男性と女性は驚いてを止めた。浅見さんの顔から血の気が引いた。
「警察です。しお話を伺ってもよろしいですか」
原刑事は穏やかに言った。
浅見さんは震えるで胸元を押さえた。
「私、何か悪いことをしましたか」
その声は、で聞く声よりもずっとかった。
賢治はわず歩にた。
「浅見さん、違うんです。あなたを責めたいわけじゃないんです」
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老婆は賢治を見た。
その目には、としみが入り混じっていた。
「ごめんなさい。私、迷惑をかけるつもりは……」
原刑事は首を横に振った。
「まず、事を聞かせてください。この材は、どこへ運んでいるんですか」
その問いに、浅見さんは唇を震わせた。
しばらくの沈黙の、いの男性が静かに答えた。
「子どもたちのところです」
賢治の胸が、どくんと鳴った。
子どもたち。
浅見さんが何度もにしていた言葉だった。
い軽ワゴンの男性は、名刺を差しした。
そこには「さな灯り堂 代表 亮介」とかれていた。
女性は同じ団体のスタッフで、名は浦奈緒といった。
「さな灯り堂?」
原刑事が尋ねると、は頷いた。
「正式な施設ではありません。域の子ども堂です。庭の事で分にべられない子どもたちや、夜ひとりで過ごす子どもたちに、夕をしています」
賢治は息を呑んだ。
は続けた。
「浅見さんは、3かから材を支援してくださっています」
「3かから……」
それは、浅見さんが古回収をやめた期となっていた。
原刑事は慎に尋ねた。
「毎、これほどの量が必なのですか」
は表を曇らせた。
「はい。来る子どもが増えているんです。最初は20ほどでした。今は、いで100を超えます。親御さんが仕事で帰れない子、事を分に用してもらえない子、事はさまざまです」
浦がさく付け加えた。
「子どもだけではありません。
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