"録音機が暴いた義実家" 第27話
美穂もまた所のスーパーで働き始めたが、これまでの贅沢昧だった2の活はすぐに破綻し、借に追われる々だとの噂でにした。
もちろん、私から連絡を取ることは切ないし、向こうから連絡が来ることもない。実宛てに作ってもらった接触禁止のが鉄壁の盾となって、私たちを守ってくれている。
父の雄からは、お正に度だけ賀状が届いた。そこには「私は元気でやっている。血圧の薬もちゃんとんでいるからしなさい。3でどうか幸せに」とだけかれていた。私はそれを見てしだけ微笑み、引きしの奥にそっと仕った。お互いのに干渉せず、ただくから無事を祈る。それが、今の私と父にとっての、番正しい距だった。
弓の座には、父から振り込まれた600万円がそのまま残されている。 「これはナナが将来きくなったのために、切に取っておこうね」 と弓は笑って言った。
奪われたおは戻ってきた。しかし、弓が負ったの傷をおで完全に消すことはできない。だからこそ、私は残りののすべてを懸けて、弓をし、守り抜くと決めている。
そのの夕方、私たちは3でくのきな公園まで散歩にかけていた。芝ので、ナナが買ってもらったばかりのボールを追いかけてり回っている。
広告
それを私と弓はベンチに座って微笑ましく眺めていた。 「弓、あの古いコート、そろそろしいのに買い換えないか?」
私が、弓が独代から切に着ている毛玉のついたコートを指差して言うと、弓はし恥ずかしそうに笑った。 「そうだね、次の休みにたかし君と緒にデパートに見にこうかな。しだけるいのコートが欲しいかも」 「ああ、何着でも買ってやるよ。ついでに美しいケーキもべて帰ろう」
が落ち始め、空が淡いオレンジからい軍青へと変わっていく。 「ナナ、そろそろ帰るぞ。お腹空いただろう?」
私が声をかけると、ナナは「はーい!」と元気よくってきた。私たちは公園をて、へと続く緩やかな坂を歩き始めた。よいの夜が、私たちのをすり抜けていく。ナナが私のと弓のをそれぞれギュッと握り、イチニ、イチニとリズムを取りながら真んを歩いている。 「ねえ、たかし君……」
弓がふとち止まり、夜空を見げて言った。 「私ね、ずっと『族』っていう言葉が怖かったの。自分が孤児だから、本当の族の作り方が分からなくて、いつか見捨てられるんじゃないかって、ずっと怯えてた」
私は黙って弓の言葉にを傾けた。 「でも、今は違う。血が繋がっていなくても、親がいなくても、お互いをいって、守りうたちのことを『族』って呼ぶんだね。
たかし君が体を張って私に教えてくれたよ」
弓は私の方を向き、のに照らされた美しい笑顔ではっきりと言った。 「私、たかし君のお嫁さんになれて本当に良かった」
その言葉は、何よりも尊い私への最の救いだった。 「俺の方こそありがとう。俺と緒にきてくれて」
私はナナのさなを握ったまま、反対の空いたで弓の肩を優しく抱き寄せた。 「帰ろう、ナナ、弓。俺たちのへ」
夜は優しく、どこかのから夕飯のいい匂いが漂ってくる。私たちはしっかりとを繋ぎ、温かいかりが灯るしいへと、ゆっくりと歩みをめた。もう誰も、私たちのくを遮るものはいない。これからのは、この繋いだのぬくもりだけを信じて、3で穏やかに歩んでいくのだ。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
福嫁の逆転茶屋
江戸の日本橋にある茶屋「泡雪屋」の若旦那・宗介は、店の立て直しのため、評判の商人・泉屋五兵衛の娘を妻に迎えることになる。 宗介が望んでいたのは、江戸でも噂になるほど美しい姉・お花だった。美しい女将がいれば、傾きかけた店にも客が戻る。そう信じていたからだ。 しかし、五兵衛が宗介に差し出したのは、お花ではなく、ふくよかで目立たない妹・福だった。 祝言の日、客たちは陰で笑い、宗介自身も心のどこかで落胆を隠せなかった。だが、福が作る菓子と入れる茶は、少しずつ泡雪屋の空気を変えていく。 派手ではないのに忘れられない味。人の心の奥にしまわれた記憶を呼び起こす菓子。福は、宗介が見落としていた“商いで本当に大切なもの”を静かに見せていく。 やがて泡雪屋は、思いがけない形で評判を取り戻していく。 なぜ、泉屋五兵衛は美しい姉ではなく、福を宗介に嫁がせたのか。 そして若旦那が、かつて落胆した嫁に深く頭を下げることになった理由とは――。嫁姑|夫婦1.9萬字5 23 -
完結第14話
35万円の空冷蔵庫
大晦日、妻の弓が35万円かけて用意した正月料理が、冷蔵庫から一つ残らず消えていた。 持ち去ったのは、夫・健一の母と弟。松阪牛、タラバガニ、有名料亭のおせちまで奪いながら、彼らは笑ってこう言い残す。 「明日はカップ麺でも食べてなさい」 20年間、“長男の嫁”として姑に尽くし続けてきた弓。いつか本当の家族として認めてもらえると信じ、理不尽な仕打ちにも耐えてきた。 しかし、その夜、健一は知ってしまう。食材を奪っただけでは終わらない、母と弟が5年前から隠し続けていた金の秘密を。 元日の新年会。食卓に並んだのは、豪華な料理ではなく一箱のうどんだけ。 だが、襖の向こうには親戚たちが集まり、20年間隠されてきた佐藤家の本性を静かに聞いていた――。兄弟姉妹|夫婦2.1萬字5 1318 -
完結第13話
十六歳の毒薬花嫁
江戸中期、奥州郡山の大店・高野家には、余命三月と告げられた若旦那・湊がいた。 歩くこともままならず、医者からは「春までもたぬ」と見放された男。誰も嫁ぎ手など現れないと思われたその家の門を、ある冬の朝、十六歳の娘・凛が一人で叩く。 「三月なら三月、三日なら三日でも構いません」 そう言って自ら若旦那の嫁になった凛だったが、彼女には誰にも明かしていない目的があった。 苦くないはずのない薬。帳簿に増え続ける不自然な数字。井戸へ捨てられた父の形見。 病とされていた若旦那の命、罪人にされた父の名、そして大店に二十一年隠されてきた嘘。 十六歳の娘が嫁いだ本当の理由が明らかになる時、高野家の運命は大きく変わり始める。夫婦2.0萬字5 15 -
完結第14話
銀行にいた偽妻
60歳の斎藤かよ子は、夫・剣一を大阪出張へ送り出したはずだった。 しかし午前11時17分、銀行から一本の電話が入る。 「ご主人が、奥様と同じ名前の若い女性と一緒に来店されています」 その女性は、かよ子の名前を名乗り、住所や生年月日、家族の情報まで正確に答えていた。しかも夫は、その女を自分の妻として銀行に紹介し、かよ子名義の資産に関わる重要な手続きを進めようとしていた。 ただの浮気ではない。夫は、かよ子の服装、癖、署名、人生の記録までも利用し、“もう1人の妻”を作り上げていた。 37年間信じてきた夫が、本当に奪おうとしていたものは財産だけだったのか。 そして、何も知らない妻を演じ続けたかよ子が、最後に銀行で見せた反撃とは――。人生逆転|夫婦2.1萬字5 624 -
完結第10話
消された妻の逆転乾杯
夫の昇進祝いの宴席で、佐木美和は信じられない光景を目にする。 35年間連れ添ってきた夫・孝志が、120人の招待客の前で、若い愛人を「妻です」と紹介したのだ。 本当の妻である美和は、会場の端の席に座らされ、まるで無関係な招待客の一人のように扱われていた。夫からは事前に「今日だけは黙っていろ」と言われていた。 けれど、美和は怒鳴らなかった。 ただ静かにグラスを持ち上げ、夫と愛人に向かって乾杯した。 なぜなら彼女は、17年間にわたって夫が奪い続けてきた功績、不正に使われた経費、そして自分の名前を消された証拠を、すでに会長へ渡していたからだ。 祝福の拍手が響く中、会長がゆっくりと立ち上がる。 「佐木君。今の紹介で、最後の確認が取れた」 その一言で、夫の栄光の夜は、崩壊の始まりへと変わっていく――。夫婦|第二の人生|不倫1.4萬字5 834 -
完結第14話
身代わり妻の逆転帰還
夫の代わりに罪を被り、2年間刑務所で耐え続けた佐藤由美。 亡き父が残した会社を守るため、そして夫・健一を信じるために、彼女はすべてを背負った。だが出所の日、ようやく帰った家で待っていたのは、姑の平手打ちと、夫から投げつけられた離婚届、そして若い愛人の勝ち誇った笑みだった。 「前科者のくせに、まだうちの息子と暮らす気なの?」 すべてを失ったように見えた由美は、泣き崩れることなく、ただ一本の電話をかける。 刑務所で出会った一人の女性。亡き父が残していた最後の言葉。仏壇の下に隠されたUSBメモリ。 2年前の事件は、本当に由美の罪だったのか。 翌日から、夫と愛人、そして由美を切り捨てた家族の嘘が、静かに崩れ始める――。嫁姑|夫婦2.1萬字5 359 -
完結第10話
「子なし」離婚の大誤算
離婚届に署名した日、木村さゆのお腹には、まだ誰にも知られていない3か月の命があった。 夫・渡辺健二は初恋の女性との再婚に夢中で、離婚協議書には「婚姻中の子なし」と記されていた。さゆは妊娠を告げることなく、静かに名前を書き、夫の前から姿を消す。 それから10年。 さゆは一人で息子・陸を育てながら、写真館「時」を成功させ、母としても写真家としても自分の人生を築いていた。 しかし、陸の卒業式の日、思いがけず健二と再会する。 壇上で花束を渡す陸の顔を見た瞬間、健二は凍りついた。目元、鼻筋、横顔――そこには、10年前に自分が切り捨てたはずの結婚の答えがあった。 失われた10年は、金で取り戻せるのか。 父親を名乗る資格とは何か。 初恋を選んだ男が、初めて自分の過ちと向き合う時、さゆと陸が選ぶ未来とは――。人生逆転|夫婦1.5萬字5 192 -
完結第12話
午前3時の離婚届
午前3時17分。夫・俊介は帰ってこなかった。 その夜、日本へ戻ってきていたのは、夫の“初恋の女性”だと思っていた田中雪。彼女のSNSには、高層ホテルの夜景、二つのワイングラス、そして私が夫に贈ったはずの腕時計が写っていた。 3年間、木村家の嫁として髪も服も仕事も変え、良い妻になろうとしてきた私。けれど夫が本当に優しくしていた相手は、私ではなかったのかもしれない。 そう思った朝、私は義母に離婚届を差し出し、1億2000万円を受け取って家を出た。 だが数日後、夫は離婚届を握りしめ、泣きながら私を捜し始める。 初恋の女性、隠された写真、失くしたはずのブレスレット。 私たちの結婚は、本当に嘘から始まっていたのか――。嫁姑|不倫1.8萬字5 510