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"妻のポーチから見つかった結婚指輪" 第25話

「おはよう。今コーヒーを淹れるから、先に顔を洗っておいで。朝はフレンチトーストでいいか?」

「うん、お父さんのフレンチトースト、好きなんだ!」娘は嬉しそうに洗面所へ駆けていった。

弓との婚が正式に成した、私は娘に全ての真相を話した。母の貞、私を陥れようとした悪質な計画、奪われかけた母の介護貯のこと。娘にとってはあまりに残酷な真実だったとう。彼女は私の粒の涙を流し、「お父さん、ずっとで苦しかったね。く気づいてあげられなくてごめんなさい」と何度も謝ってくれた。

私は娘が真実をり、私をむのではないかと内恐れていた。だが彼女は「私はずっとお父さんの方だから」としっかり私のを握ってくれた。その娘の温かい優しさに、私はこのきな涙を流した。

法事の翌、吉田弁護士の迅速な法続きにより、弓の隠しダミー座から万円が私の座へ全額返還された。

そして約束の期限までに、弓と健からそれぞれ百万円、計千万円の慰謝料が無事振り込まれた。

は結局、額の慰謝料を面するため、親族や昔の全員にげ回ったらしい。探偵が確保していた経費横領の証拠を使わずとも、彼の倫の噂が何処からか会社内に広まり、彼は華やかなエリート世コースからされ、方のさな関連子会社へ遷されたとの噂で聞いた。

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プライドのい彼にとって、これはぬよりも辛い仕打ちだろう。

方の弓は、慰謝料返済のため額の借を背負い、賃のい古い造アパートへ引っ越した。さらに職でのトラブルが見し、エリアマネージャーの役職を剥奪され、今は現の販売員として質素に働いているという。私から奪った貯で健とタワーマンションを購入すると見ていた彼女の理は、完全にと消えった。

弓から度だけ、「しだけ話がしたい、わずかでも援助してくれないか」となメッセージが届いたが、私は既読すらつけず、彼女の全ての連絡先を完全にブロックした。彼らのがどう転ぼうと、もう私には切関係のない事だ。

「はい、お待たせ。」私は焼きたてのフレンチトーストとい珈琲をテーブルに並べた。

「わあ、美しそう!いただきます!」娘が嬉しそうに事を頬張る姿を見ているだけで、私のは優しく満たされていく。

「そういえばお父さん、おばあちゃんのしい施設、すごくいいところだったね。昨仕事帰りにお見いにったんだけど、おばあちゃんずっとニコニコしてたよ。」

娘の言葉に私は穏やかに頷いた。返還された貯と支払われた慰謝料。私はその資部を使い、母を以から入居させたかった、設備がいスタッフのケアがき届いたるい民介護施設へ移すことができた。

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にはたっぷり差しが差し込み、窓のには入れのき届いた美しい庭園が広がる。母は「誠、ここはまるで国みたいだね」と子供のようにんでくれた。

私がを削って守り抜いたおが、こうして母の穏やかな老を支え、笑顔へと変わった。それだけで、私があの悪と戦った全ての分にあったとからえる。

「お父さんも最、すごく顔が良くなったよね。はいつも疲れ切った顔してたけど、今はなんだかきしてるみたい。」娘がコーヒーカップを両で包みながら、くすっと笑った。

「そうか。確かにストレスが全部消えたのは本当だ。これからは自分のためにも、とおを使おうとっているんだ。来、ずっときたかった京都の温泉にで旅く計画をてている。」

「ええ、いいな!今度は私も緒に連れてってよ。」

「ああ、おの休みがえばいつでも連れてくよ。」

私たちは何の慮もない穏やかな会話を交わし、声をげて笑いった。朝べ終え、娘が自分のマンションへ帰っていくのを見送った、私は静まり返ったリビングのソファにく腰をろした。

の隅には、活にわせて買い換えたさな観葉植物が朝を浴び、青々と葉を広げている。

 

をかけて築きげたとっていた族の形は、信じられないほどの嘘と裏切りに塗れ、音をてて完全に崩れった。

妻の張鞄の着ポーチから見つかった、らない男との結婚指輪。あの瞬の背筋が凍りつく絶望と恐怖は、私忘れることはないだろう。

だが私はその絶望に押し潰されることなく、静かにがり、最まで戦い抜いた。

失ったは決して戻らない。を信じることの恐ろしさも、に刻み込まれた。

けれど私の元には、守り抜いた母の穏やかな笑顔があり、私をから信頼してくれる娘がいる。そして何より、これから何にも縛られず自由にきていける、自分だけのが残っている。

窓をきくけると、の涼しい清らかなが部に優しく吹き込んできた。

く息を吸い込むと、澄んだ空気の清々しい匂いが胸いっぱいに広がる。

私のは今から、またしく始まるのだ。誰に脅かされることもなく、誰に利用されることもない。私だけの、静かで穏やかながこれからの未来に広がっている。

私はもう度コーヒーをに含み、澄んだ青く広がる空を、ただ静かに見げていた。

(完)

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