"妻のポーチから見つかった結婚指輪" 第16話
「キーコンサルティング?」
私が聞き返すと鈴は々しく頷いた。
「気になって独自に調べたのですが、この会社は実態のないペーパーカンパニーの能性がいです。そしてその代表者の名が田健氏となっていました。」
その名を聞いて私は背筋が凍るようないがした。弓が隠し持っていた千百万円を個の座から、さらに自分が作ったダミー会社の座へと移し、完全に資をマネーロンダリングしようとしていたのだ。
もしこれが完してしまえば、婚裁判で私がを取り返してくれと主張しても、資の方を追うことは極めて困難になる。
「佐藤さん、奥様とこの田とのに何があるのかは分かりませんが、これは尋常な状況ではありません。私は、佐藤さんがご族のためにどれほど真面目に働いて貯蓄されてきたかをっています。だからこそ員としてのを超えて警告させていただきたかったのです。」
鈴の目には私へのい同と憤りが浮かんでいた。
「ありがとうございます、鈴さん。実は私は妻の倫と計画な財産横領、そして親友の裏切りについて全てを打ちけた。」
鈴は黙り、やがて拳をく握り締めた。
「許せませんね。わかりました。私にできる限りの協力をさせていただきます。
広告
当該座の資移をに保留にする続きと、これまでの全ての取引記録の正式な証を発します。これを弁護士の先にお渡しください。」
鈴という力な方を得たことで、資の流は髪でい止められた。それだけではない。探偵もまた私の像を超える働きをしてくれていた。健の辺調査を掘りした結果、彼が会社の経費を私に流用している疑いが浮したのだ。弓との級ホテルでの宿泊費や、あの婚約を祝うディナーの代すらも、健は会社の接待交際費として処理しようとしていた形跡があった。
探偵は健の会社の内部にいる満分子と接触し、その証拠となる領収のコピーを密かに入してくれた。
「佐藤さん、これは力な武器になります。田氏がもし法廷で争う姿勢を見せたら、この経費横領の証拠を彼の会社に送り付けると示唆するだけで、彼は確実に尻込みします。」
探偵はにやりと笑ってその類を私に渡した。
鈴副代理と腕利きの探偵。そして今私の隣で穏やかな顔をしてお茶をんでいる吉田弁護士。彼らのおかげで私は、ただの妻に裏切られたかわいそうな夫から、確実な証拠で相の喉元に歯を突きつける準備をえたのだ。
現実の控えに識を戻す。
広告
計の針は分を指していた。もうすぐ本堂に移し、読経が始まるだ。弓は親族たちとの世話を適当に切りげると、「し洗いに」と言って控えをちがった。
私はほんの数秒静かにちがって彼女を追った。廊の角を曲がったところで、弓が声を潜めてスマートフォンで誰かと通話しているのが見えた。私は壁のにを潜め息を殺した。
「ええ、そうよ。今親戚の連にれそうな振りをまいてるところ、本当に疲れるわ。この臭い田舎の寺なんて。」
先ほどまでの涙声とは打って変わったたい声。話の相は言うまでもなく健だろう。
「誠は相変わらずバカみたいな顔で座ってるわよ。私が婚届けにサインさせるため、最のけで席してあげたってい込んでるんじゃない?」
「うん、分かってる。先の言う通り、法事が終わったらあのから切りさせるわ。」
弓はさく笑い声をてた。
「ええ、もうくのカフェに着いたの?いわね。うん、終わったらすぐに連絡する。緒に京に帰りましょう。してるわ。」
通話を終えた弓はをいながら鏡でを直す姿を、私はややかな目で見つめていた。健がこのくまで来ている。それは私にとって都が良すぎる偶然だった。いや、彼らにとっては必然なのだろう。
弓の完璧な演技の結末を見届け、勝利の胸を撫でろすために、健はどうしてもくで待していたかったのだ。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
40.4℃の真実
40.4℃の高熱で救急搬送された、二十歳の女子大学生。 医師は最初、ただの重い感染症だと思っていた。 しかし、診察のために服を少しめくった、その瞬間――診察室の空気は凍りつく。 彼女の身体には、病気では説明できない痕跡が残されていた。 なぜ誰も気づけなかったのか。 彼女は誰にも助けを求められなかったのか。 そして、彼女が涙を流しながら口にした「脅迫されました」という一言が、事件を思いもよらない方向へ動かしていく。 真実を追う刑事。 娘を守ろうとする両親。 そして、権力と金を持つ一人の男。 ページをめくるたびに新たな疑惑が生まれ、最後まで真相が読めない医療サスペンスです。 あなたなら、この事件の真犯人が誰だと思いますか?人生逆転|真実|裡の顔|真相3.5萬字5 2 -
完結第18話
浴室の鍵
「どうして、お風呂のたびに鍵をかけるの?」 その小さな違和感が、家族のすべてを壊す始まりだった。 認知症の母を介護する専業主婦・ゆみ子は、夫の紹介で甥の達也に介護を手伝ってもらうことになる。 礼儀正しく、優しく、介護の知識も豊富な達也。 誰もが彼を信頼していた。 だが、浴室の鍵が閉まるたび、母の表情は恐怖に変わり、身体には説明のつかない痣が増えていく。 誰にも信じてもらえない中、ゆみ子は密かに証拠集めを始める。 そこで明らかになったのは、高齢者虐待だけでは終わらない、家族の欲望と裏切りだった。 最後に暴かれる真実は、あなたの想像を超える。真実|裡の顔|真相|親子関係|介護|修羅場2.7萬字5 82 -
完結第9話
霧の峠に消えた後継者
1995年秋、長野の霧深い峠道で、1台の黒塗りの高級車が見つかった。 車内には鞄と別荘の鍵だけが残され、運転していたはずの男の姿はどこにもなかった。行方不明になったのは、東京・銀座の名門財閥の3代目後継者、総一郎。28歳の若さで一族の未来を背負うはずだった青年だった。 誘拐か、事故か、それとも自らの失踪か。 身代金の要求もなく、遺体も見つからないまま、事件は長い年月の中に埋もれていく。やがて一族では、総一郎の従兄・涼介が新たな当主となった。 しかし15年後、時効が目前に迫ったある日、総一郎の妹・佐和子は古い資料の中に小さな違和感を見つける。 車に残されていたはずの「別荘の鍵」。だが、それは兄がいつも持ち歩いていた本物の鍵入れではなかった。 消えた鍵入れはどこへ行ったのか。 そして、霧の峠で総一郎は本当に何者かに消されたのか。 時効前日、佐和子と元刑事・沢田は、すべての答えが眠る軽井沢の別荘へ向かう。そこで見つかった一冊の手帳が、15年間閉ざされていた財閥一家の真実を静かに暴き始める――。ミステリー|真実1.3萬字5 87 -
完結第5話
志摩の海に沈んだ母
1994年、三重県志摩の小さな漁村で、70歳を過ぎても海に潜り続けていた海女・高島梅野が突然姿を消した。 その朝、海は穏やかだった。仲間の海女たちは確かに梅野の姿を見ていた。けれど日が高くなっても、彼女だけが水面に戻ってこなかった。捜索は続いたが、亡骸も道具も見つからない。 事故なのか、失踪なのか。 梅野には3人の息子がいた。東京に住む長男、大阪で商売をする次男、そして島に残って母の近くで暮らしていた末の息子・正斗。やがて警察は、梅野が持っていた土地と、息子たちの金銭問題に目を向ける。 だが決定的な証拠はなく、事件は海に沈むように忘れられていった。 それから16年後。 東京・港区で、行方不明のはずの梅野名義の「3億円ビル」が見つかる。しかも名義移転は、彼女が姿を消した後に行われていた。 誰が、母の名義を使ったのか。 古い家に残された血痕、かまどの灰から出てきた金の指輪、そしてタンスの奥に隠されていた一通の遺言書。 志摩の海に消えたはずの真実が、16年後、静かに浮かび上がる――。ミステリー|真実7.7千字5 24 -
完結第4話
トランクの中の9年
2015年、熊本市の公園で、5歳の少年・岡田匠が突然姿を消した。 父・悟と一緒に散歩へ出かけ、砂場で遊んでいたはずの匠。父がほんの一瞬目を離した時、息子の姿はどこにもなかった。公園にいた人々も、周辺の防犯カメラも、匠がどこへ行ったのかを捉えていない。 警察は大規模な捜索を行ったが、手がかりは見つからず、事件は未解決のまま時間だけが過ぎていく。母・美咲は息子の帰りを待ち続け、父・悟は疑いと沈黙の中で少しずつ壊れていった。 そして9年後。 森の違法投棄現場で見つかった一台の古いトヨタ。その車は、かつて悟が所有していたものだった。 錆びついたトランクを開けた時、警察官たちは息をのむ。 中に隠されていたのは、9年前に消えた少年の記憶と、父親が最後まで語らなかった恐ろしい秘密だった――。ミステリー|真実6.4千字5 77