"妻のポーチから見つかった結婚指輪" 第7話
『お母さん、昨の夜阪にいたって言ってたよね。でも私、昨の夕方、京駅で田のおじさんと緒にいるお母さんを見たよ。ともすごくおしゃれしてて、腕組んで歩いてたから見違いじゃないとうんだけど。お父さん何かってる?』
娘の何気ない言が弓の完璧な嘘を完全に打ち砕いた。そして私は弓が阪張と偽ってまで健と会っていた本当の理由、その恐るべき真実にづくことになるのだった。
『お父さん何かってる?』
スマートフォンに表示された奈緒からのメッセージを見つめながら私は血の気が引いていくのをじた。奈緒が見たという昨の夕方、京駅で腕を組んで歩く。それは違いなく級ホテルでの婚約祝いディナーに向かう弓と健の姿だろう。
阪張という嘘がまさか自分の娘の目によって暴かれるとは弓もにもっていなかったに違いない。
私は揺を沈めるためにく呼吸をした。奈緒はまだ真実をらない。ただ母親が親友のおじさんと親しげに歩いていたことを議にい、父親である私に軽く尋ねただけだ。
ここで私が揺を見せたりりをあらわにしたりすれば、奈緒を沼の夫婦問題に巻き込むことになる。社会になったばかりの娘のをこんな見苦しい裏切りで傷つけるわけにはいかない。
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それに奈緒から弓に京駅で見たよという話が伝われば弓は警戒し、証拠を隠滅し始めるだろう。
私は震える指先を落ち着かせ、できるだけ自然な普段の父らしい文面を打った。
『ああ、あれね。お母さん、昨の夕方に急遽京に戻ってこなきゃいけない案件があってね。田のおじさんも偶然くで仕事があったみたいで、しだけ仕事の相談に乗ってもらったらしいよ。腕を組んでたのは分混みではぐれないようにしたんじゃないかな。お母さんもし酔ってたみたいだし。』
送信ボタンを押す直、がし震えた。嘘に嘘をねる自分自にい嫌悪を覚えた。しかし今は娘を守るため、そして妻を油断させておくためにこの嘘が必なのだ。
数分、奈緒から返信が来た。
『なんだ、そうだったんだ。田のおじさん、相変わらずお父さんの相談役なんだね。ちょっとびっくりしたけどした。じゃあ週末楽しみにしてるね。』
『気をつけて帰っておいで。』
私はそれだけ返し、スマートフォンを伏せた。堵の息が漏れた。しかしのの暗いりはさらにくくなっていた。
洗面所から弓がをいながらてきた。浮ついたその声が私の神経を逆なでする。
「誠さん、お呂いたわよ。どうかした?顔が悪いみたいだけど。」
弓は化粧を肌に叩き込みながら鏡越しに私を見た。
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その声には微の罪悪も、私を気遣う本もない。ただ毎のルーティンとしての定型文だ。
「いや、し仕事で疲れただけだ。すぐに入るよ。」
私は無理に笑顔を浮かべちがった。弓のそばを通りすぎる、再びあの甘く濃いの匂いが漂った。私は無識のうちに息を止め、急いで浴へと逃げ込んだ。
シャワーのたいをから浴びながら私はので報を理した。妻は田弓名義の通帳を作り、千百万円という私の老資を隠し持っている。親友の健と婚約の指輪を交換し、私の族カードで級ディナーを楽しんでいる。娘に目撃されるほど堂々と京で密会をねている。
彼らはもう私を欺くことへの恐怖も罪悪も失っている。完全に私を何もらない愚かな夫として見し、計画の最終段階に入っているのだ。
翌、私は会社を午から退し、都内にあるさな探偵事務所を訪ねていた。インターネットで調べ、料が良で浮気調査の実績があるという事務所を選んだ。
対応をしてくれたのは私と同代の髪混じりの落ち着いた男性だった。私は昨夜撮した通帳の写真、レシートの写真、そして田弓とかれた婚約指輪の写真を探偵に見せた。
「なるほど。奥様はすでに田健氏と結婚したの活に向けて、完全に準備をえていらっしゃるようですね。
」
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