"退職金三千万円と残高三千円の通帳" 第8話
なくとも、私が何もせずに悪者にされる流れは止まりました。
そのの午、正隆から何度も着信がありました。
私はませんでした。
代わりに、青先から正隆へ連絡が入りました。
婚協議は弁護士を通すこと。
無断で持ちした通帳、印鑑、キャッシュカードを返却すること。
企業の受け取り座変更申請について説すること。
数、正隆からいメッセージが届きました。
「そこまでする必があるのか」
私は返信しませんでした。
そこまでする必があるのか。
私の43分の退職を持ちそうとしたが、それを言うのです。
必はあります。
分すぎるほど、ありました。
数週、弁護士事務所で正隆と向きいました。
隣には青先。正隆の隣には別の弁護士が座っていました。義母は来ていませんでした。来たがったそうですが、正隆側の弁護士に止められたと聞きました。
正隆は以より痩せて見えました。
私を見ると、すぐに線をそらしました。
青先が淡々と類を確認していきます。
無断で持ちされた通帳、印鑑、キャッシュカードは返却済み。
退職は私個の座で管理。
企業の受け取り座変更申請は無効。
正隆側は「本の承があるとっていた」と主張しましたが、私の録音と企業基からの確認通のでは、その言葉はすぎました。
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さらに、正隆が話で「の保証が払えない」と言った録音もありました。
正隆は途でさく言いました。
「俺は……みおに騙されたんだ」
私は黙っていました。
青先が静かに言いました。
「その件と、玲子さんの退職を無断で使おうとした件は別です」
正隆はそれ以言いませんでした。
最終に、婚協議はみました。
置きにあった「退職は慰謝料代わりにもらう」という主張は、当然認められませんでした。私の退職も企業も、正隆のものにはなりませんでした。
正隆はに義母のへを寄せました。
けれど、義母も最初の勢いを失っていました。親族ので、私が証拠を持っていることがられたからです。
「嫁のはのもの」
その言葉は、義母自の声で残っていました。
は、自分ので言った言葉からは逃げられません。
婚届に私が署名したのは、それからしのことでした。
役所の窓で類が受理された、私は泣きませんでした。
しくなかったわけではありません。
43働き、40く夫婦として暮らした相です。
何もじないはずがありません。
けれど、そのしみよりも、ようやく自分のを取り戻したという静かな覚の方がきかったのです。
に戻ると、リビングには退職のに置いた束がまだありました。
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を入れなかったは、すっかり萎れていました。
私はそれを聞に包み、そっと処分しました。
それから、しいを買いにきました。
淡い黄のさな束です。
瓶にを入れ、テーブルの真んに置きました。
その、涼介からメッセージが届きました。
「母さん、今度真帆と緒にご飯にこう。退職祝い、ちゃんとやり直したい」
私はし笑いました。
「ありがとう。楽しみにしているわ」
送信して、スマートフォンを置きました。
窓のには、夕方のが差していました。
正隆が持ちした通帳の残は3187円。
けれど、その通帳が私に返してくれたものは、3000万円よりきかったのかもしれません。
証拠。
尊厳。
そして、自分のおとを自分で守る覚悟。
私は湯呑みを両で包み、静かに息を吐きました。
43分のは、最に私を守る記録になりました。
もう誰かのために財布のふりをする必はありません。
ここから先のは、私のものです。
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