みかん小説
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"追い出された正月の一万円" 第4話

「勇斗……! どうしてこんなところに……!」

私はすぐに勇斗の凍えきったさな体を抱き寄せ、居のこたつへと引き入れた。彼のたいを私の両で包み込み、必に温める。私は震える声で彼に語りかけた。

「いいのよ、いいのよ勇斗……。あなたは何も悪くないの。お婆ちゃんはね、あなたにこうしてもう度会えただけで、すべてが救われたわ」

勇斗の凍えた体に温かい毛布をかけ、めきったお雑煮を温め直そうと台所へとうとした、そのすぐだった。今度は居の隅に置かれた黒話のベルが、静寂を切り裂くようにしてけたたましく鳴り響いた。

私は胸の鼓を抑えながら、へとづいた。受話器の横にある液晶の着信ランプを確認する。やはり、息子の孝之からだった。元のスマートフォンをくと、そこにはまるで貴殿のように、息子からの何件もの着信の履歴が赤くに並んでいた。

私はきく呼吸をし、受話器を取ってに当て、極めて静な声で言った。

「勇斗は今、私のに無事に着いて、ここにいるわ。でもして。の朝、きちんと駅まで送り届けるから」

私の落ち着いたトーンが、息子の神経を逆撫でしたのだろう。受話器の向こうから、息子の容赦ない、野獣のような鳴り声が鼓膜を破らんばかりに響き渡った。

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『勝な事をするな! 親の許なく子供を連れるなんて誘拐だぞ! おい、聞いているのかババア! これをに、俺たちのには度と現れるな! 度と関わるな!』

息子のから放たれる、親を親ともわないあまりにも激しい声を聴きながら、私は議なほど、徹に胸の奥が沈んでいくのをじた。もう、この子に何を言っても無駄なのだ。私の言葉は、この子には言も届かない。私はく息を吸い込み、受話器に向かって、言を言い聞かせるように答えた。

「そうね……。もう度と、あなたたちとは関わらないわ。あなたたちにとって、私のはただの荷でしかなかったのだから」

パチリ、と私は自らので受話器を置いた。騒がしかった居には、驚くほどのい静けさが瞬にして広がった。息子たちへの最の未練と親としてのが、完全に、そして綺麗に断ち切られた瞬だった。

翌朝、私はし目の腫れた勇斗としっかりとを繋ぎ、古い自宅をて駅の改札へと向かって歩いた。夜のり積もったは、の澄んだ朝に照らされてしずつ溶け始めていた。の端からは黒いが顔をし、厳しい寒さのにも、かすかなの気配が見え隠れしているのをじた。

の到着を告げる穏なベルがホームに鳴り響く、別れ際に勇斗はのドアので私を振り返り、さな体で懸命に声を張りげた。

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「おばあちゃん、またね! 僕、になったら絶対にまたおばあちゃんのくからね!」

私はその健気な姿に向かって、涙を堪えながら優しく微笑んだ。そして「になったら、きっとすべての理由がわかるが来るわ」とでだけ答え、さくを振って、彼を乗せたが見えなくなるまで見送った。

勇斗を乗せた鉄の塊が完全に界から消えった、私は改札をて、駅にある町の役へと真っ直ぐに向かった。役の窓でいくつかの続きを済ませ、続いてそので、取引を続けてきた元のの窓に並んだ。

自分の番が来ると、私は古い通帳と印鑑を窓の女性に差しした。私は、夫がきていた頃から、「これは将来、息子夫婦が困ったに譲ってあげよう」と、自分の活を切り詰めながらコツコツと貯めていた老座を持っていた。私はその座を、その切の迷いなく解約した。

の女性から返されたしい通帳のみをじながら、私はそこに印字された、の努力の結晶である残の数字をじっと見つめた。そして、で静かに、しかし度と揺らぐことのない固い決した。

(このおは、もうあの子たちのためのものではない。私のこれからのを、私自が豊かにきるために、すべて使うわ)

族のため、息子の幸せのためだけに自分のも欲望もすべて犠牲にして尽くしてきたけれど、これからは自分のためにきよう。

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