"四十九日、電話を切った妻" 第6話
覇斗は類をひったくるように取り、必に目をらせた。
画面のの義母は、最に穏やかな声で言った。
『息子であっても、族を切にしないに、私の財産を残すことはできません。千尋、全ての財産はあなたに託します。あなたなら、きっと正しく使ってくれると信じています』
剣造さんがく頷いた。
「妹の気持ちは分かった。千尋さん、私たちは全力であなたを支えます」
相馬も涙を拭いながら言った。
「僕も同じ気持ちです。母が最まで切にしていた千尋さんを、僕たちも族として受け入れます」
映像が終わり、部に静寂が戻った。
覇斗は真っ青な顔で画面を見つめていた。
自分が完全に孤したことを、ようやく理解したのだろう。
「こんなことが許されるのか。千尋は血の繋がらないだぞ」
私は静かに首を振った。
「血の繋がりだけで族になれるわけじゃないの。お母さんは最まで、あなたがを入れ替えることを願っていた。でも、あなたは変わらなかった」
覇斗は何も言えなかった。
義母のと失望が込められた言葉は、どんな法律論よりもく、彼の胸に突き刺さっているはずだった。
義母の映像が終わったあと、部にはしばらく何の音もしなかった。
覇斗だけがったまま、拳を握りしめて震えていた。顔は屈辱とりで真っ赤になり、額には汗が浮かんでいる。
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「待てよ……相続排除だって? そんなものが簡単に認められるわけがない。俺には遺留分がある。最限の取り分は必ず俺のものだ」
私は類を畳まず、机のに置いたまま、静かに首を振った。
「相続排除が認められた、遺留分の権利も失われるの。あなたは法定相続としての位そのものを失ったのよ」
「そんな馬鹿な話があるか!」
覇斗は類を乱暴に掴み、目を皿のようにして読み始めた。指先は震えていた。自分が信じていた“血の繋がった息子の権利”が、1枚ので完全に消されていることを、まだ受け入れられないのだろう。
私は審判の該当箇所を指差した。
「ここにいてあるでしょう。排除の効果により、あなたは相続に関して、お母さんより先にくなったものとみなされるの」
「無効だ。申してをする」
「もう期限は過ぎているわ。お母さんがくなってから49。あなたはにいて、何の続きも取らなかった」
「俺はらなかったんだ!」
覇斗の声が裏返った。
私はその顔を見つめながら、胸の奥がたくなるのをじた。
「お母さんが急変した夜、あなたは私の話を最まで聞こうともしなかった。それを今になって、らなかったで済ませるつもり?」
剣造さんがい声で続けた。
「覇斗。おは母親がきているに、息子としての義務を果たしたか。
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千尋さんが1で全部背負っているのをりながら、何もしなかったじゃないか」
覇斗は部を見回した。
けれど、誰も彼をかばわなかった。
相馬も、剣造さんも、親族たちも、皆黙って覇斗を見ていた。そこに同はなかった。りと失望だけがあった。
「じゃあ俺は、本当に何ももらえないのか」
覇斗の声は、初めてくなった。
私はさく頷いた。
「法にはそうよ」
い沈黙が落ちた。
そのあと、覇斗は急にたく笑った。
「分かった。もういい。どうせ何ももらえないなら、本音を教えてやる」
嫌な予がした。
覇斗は遺の方を見ようともせず、吐き捨てるように言った。
「母親なんて、俺にとっては負債でしかなかった。寄りは社会のお荷物だ。医療費ばかりかかって、産性もない。俺は効率にきているんだ。役にたないにを割く必なんてない」
その瞬、部の空気が凍りついた。
相馬が震える声で言った。
「兄さん……自分が何を言っているか分かっているんですか。それはとして言ってはいけないことです」
「として? 俺は現実を見ているだけだ。おたちが綺麗ごとに騙されているんだよ」
剣造さんがちがった。
「覇斗。おは本当に妹の息子か。妹がどれだけおをしていたか、分からないのか」
「? そんな非理なものに価値があるのか。
俺は投資対効果で判断する。母さんは齢で病気がちで、医療費がかかる。完全に赤字だった」
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