"四十九日、電話を切った妻" 第5話
義母が私を娘のようにしてくれた理由が、今ならはっきり分かる。血の繋がりなど関係ない。を切にうがあるかどうか。それだけが、本当になことだった。
覇斗の言葉を聞いた剣造さんと相馬は、しばらく何も言えなかった。
義母が最までしていた息子が、自分の母親を負担だと言い切った。その事実が、部の空気をく押し潰していた。
しかし、覇斗だけは違った。
彼はむしろ、これで全てを言い切ったというように、堂々と胸を張った。目には計算いが宿っている。
「いいか、みんな。俺がどんな夫だったかは別として、法な話をしよう」
彼は着の内ポケットからを取りした。
「俺は母さんの実の息子だ。血の繋がった息子が遺産を相続するのは当然の権利だろう」
相馬が顔をしかめた。
「兄さん、まだそんなことを言うんですか」
「論はやめろ」
覇斗はを広げながら言った。
「法律では、実子の相続権は保護されている。千尋がどれだけ世話をしたとしても、血の繋がりには勝てない。これは法事実だ」
彼は勝ち誇ったような顔で続けた。
「俺も調べてきた。相続に関する法律をな。実子である俺には法定相続分がある。配偶者がいなければ子供が相続する。相馬と俺で分けることになる。たとえ遺言で全財産を千尋に譲るといてあっても、俺には最限の取り分が保証されている」
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剣造さんが困惑した顔をした。
「それは、確かに般にはそうかもしれんが……」
「そうだろう」
覇斗は元を歪めた。
「俺は母さんの面倒を見られなかった。でも仕事があったからだ。張は会社の命令だった。それで相続権を失うなんてことはない」
彼は私を見ろすように見た。
「千尋、おは義理の娘に過ぎないんだ」
私は静かにちがった。
この瞬を、実は待っていた。
義母が最に私に託してくれたものがある。覇斗が完全に本性を表すのを、私は待っていたのだ。
「覇斗」
私はゆっくり彼の名を呼んだ。
「あなたは何もらないのね」
「何?」
「お母さんは遺言を残してくれているの」
覇斗の眉がいた。
「遺言なんて聞いていないぞ。まあ、あったとしても俺の相続権は保護されている。法律はよりいんだ」
私はテレビのに移し、リモコンをに取った。事に準備していたUSBメモリを差し込む。
「お母さんは、映像で遺言を残されたの。皆さんにも見ていただきたいです」
画面に、義母の姿が映しされた。
病のベッドに座った義母は、痩せていた。けれど、目の奥にはいが宿っている。カメラに向かって、穏やかに微笑んでいた。
『千尋。この映像を見ているということは、私はもういないのね』
その声を聞いた瞬、私は唇を噛んだ。
『本当にありがとう。
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あなたがいてくれて、私は幸せでした』
義母はゆっくり息を吸い、続けた。
『相馬も、いつも優しくしてくれてありがとう。あなたは本当にいい子に育ってくれた』
相馬は俯き、涙をこらえていた。
そして義母は、画面の向こうでし目を伏せた。
『そして、覇斗。あなたのことは最までしていました。でも、とてもしかった。いつからか、あなたはを切にすることを忘れてしまったのね』
「何を言ってるんだ」
覇斗がさく呟いた。
画面のの義母は、まるでその声が聞こえているかのように続けた。
『入院していた、あなたは1度も来てくれませんでした。忙しいとばかり言って、私は寂しかった。千尋がどれだけ私を支えてくれたか、あなたはらないでしょう』
私は界が滲むのをじた。
『夜でも、私が具が悪いと言えばすぐに駆けつけてくれた。この子は本当に優しい、私の娘です』
義母の声がしだけ震えた。
『覇斗。私はあなたに遺産を残しません。庭裁判所に、相続排除の申してをしました』
「そんな馬鹿な」
覇斗がちがった。
私は類の入った封筒をに取った。
「お母さんは、庭裁判所で正式な続きを取られたの。相続排除の審判も、すでに確定しているわ」
「嘘だ。そんなことが能なのか」
私は封筒から類を取りした。
「これが庭裁判所からの審判よ。
被相続に対するな侮辱があったと認められる、と記載されている」
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