みかん小説
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"たばこを買いに来るおじさんの心の声が、俺にだけ聞こえる" 第15話

もう、の声を盗み聞きしなくていい

よりを戻して、横浜の港のそばで式を挙げた。朝、鏡のの蒼介さんはシャツののボタンをつ掛け違えた。ろからしばらく見て、普段かけるときも分く見たほうがいいか聞いた。掛け直しながら、緊張しないのと聞かれた。

「さっき指輪の箱を回ポケットに入れました。回目、先に入れたのがありました」

つ持つはずだった箱を渡した。にしてち、途で言葉を忘れたらどうしようと言った。忘れたら俺を見て、いつも俺を見ると何か言うことあるでしょ、と答えた。言うとおり度練習し、最まで来て先に自分で笑った。

の列に祖母と藤野。初対面なのに、すぐ俺が昔いくつおにぎりをべたかで話が弾んだ。川怜はインスタントカメラを持ってきて、入に蒼介さんを撮った。ネクタイが斜めで、片を俺に伸ばしていた。怜さんは写真をし振って、これは俺にくれると言った。連れの友達には、集写真のときるいところにたせてと頼んでいた。

親父は約束よりかった。古い着に、俺があげたマフラー。先に祖母へ湯を注いでから来て、い封筒をくれた。初めてのスニーカーを履き、玄関で片をげている子どもの頃の俺だった。らかにきく、ひもが甲を周していた。

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「あのとき、きいとく履けるって言った」

「結局履いたよ。が伸びるの遅いなって、よく言った」

緒に度笑った。から言うべきことがあるけれど、今は番があるからやめる、と言った。封筒を渡し、「悠真、今はおが楽しかったらいい」とだけ言った。祖母の反対側の席に案内した。格子のマフラーは式が終わるまで子の背に掛かっていた。

蒼介さんは言葉を忘れなかった。最初にコンビニで俺を見て、笑ってほしかったのに話す言葉が見つからなかった。あまり通って、会社の運転には夜の舗巡回でも始めたのかと聞かれた。で笑いが起こり、彼も笑った。それから俺を見た。

「引っ越して、の子の音はなくなったけど、隣の犬は夜まで鳴くことがあります。うるさいって連絡が来たら、話で緒に何かべます。来る? と聞かれたら、プリンをつ持ってます」

いったん止まり、指輪の箱をけた。「これからも、鍵をつ、俺に持たせてくれますか」

うん、と答えた。司会者からマイクを受け取り、枚いた原稿を控に置いてきたことに気づいた。彼が半歩寄った。「忘れたら、俺を見て」

本当に向き直った。22の頃はを使うのが怖かった、最初の事で値段をずっと見て、ようやくおごると決めたのに払えなかった、と話した。

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緒に暮らしたいとうと、そんなさなことも覚えている。チャーシューを枚ずつ押しつけてくれたのも、この、でいたいと言うと本当に晩空けてくれたのも。次に会いたいときも自分で言う、と続けた。

蒼介さんの目がゆっくり赤くなった。マイクをげ、夜は何をべたいと聞いたら、すぐラーメンと答えて、また笑いが起きた。祖母は笑わず、マイクをくへとを振った。ラーメンのあとに来い、ケーキがあると言った。

指輪をはめる番になり、彼のがまだ震えていると分かった。から支え、声で言った。

「おじさん、鍵、渡してもうですよ」

「うん。でも今はもう回、聞きたかった」

客を見送り、着替え、昔の通りをゆっくり歩いた。コンビニがづくと何か買おうかと聞かれ、入った。ドアのベルはと同じだった。交代に戻っていた藤野が棚越しに聞いた。

「今もたばこですか?」

「いちごプリン、つ」

カウンターで、まだ会計できるか試したくなった。がスキャナーを貸してくれて、何働く気かと聞いた。このだけ、と答えた。彼がつ並べる。指輪が台に触れて、さく鳴った。

2316分だった。

彼は急かさず、貨をトレーに置いた。「今、すごくうれしい。朝からずっとうれしくて、もう度言いたかった」

照れたのか、貨を枚ずつ平らにした。

笑うと理由を聞かれた。初めて会った、俺まで会社から追いしそうな顔だったのをいした、と言うと、「あのは話しかけたかっただけだよ」とすぐ返った。

つ目を通した。表示がちょうど2317分になった。

〈笑った。会計が終わったら、をつなぎたい〉

つ目を通し、釣りを渡してスプーンを本入れた。彼は袋を提げ、入へ歩んで振り返った。

「悠真、こっち来て。、つなごう」

カウンターを回った。空いているがもう差しされていた。ろからプリンはく蔵庫に、とに言われ、分かってますと返した。はしたかった。彼がつないだを自分のコートのポケットへ引いた。

「さっき、もう度言いたいって言いました?」

「今、すごくうれしい」

まっすぐ見て、もう度言ってくれた。俺はポケットの奥にを入れた。

「俺も。帰りましょう。続きはでゆっくり聞きます。今夜、シフト入ってないんで」

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