"2億円の幽霊屋敷で、腹ぺこの悪霊を雇いました" 第15話
このは寒くない
初は遅く、桐の枝につくそばから解けた。く着いた客を通りまで迎えにくと、背でクラクションが鳴った。初に乗せてくれた運転が窓をろし、の奥の、やたらい宿は僕が始めたのかと聞いた。
「曜の料を見たんじゃないですか。平ならもうしいですよ」
「娘は、週末は町のホテルよりいって。末まで空いてないそうだ。今も最は歩くのかい?」
「で入れます。割れたを替えて、のに灯りをつけたので」
運転は、あの運転代ののことも聞いた。もう元気だという話ならっていると答えると、声を落とした。でが分からなくなったとき、戸の向こうでを叩くがいたらしい。鳴るたびに何歩かみ、の入りに着いた。最ににべ物はないかと聞かれた。それで、目を覚ましてからも「腹をすかせてるがいる」と言っていたのだと。
を靴底につけて宿へ戻ると、朔が受付で部番号を確かめていた。の卵はよく焼くか半熟かと聞き、子どもが「よく焼いて」と答えると、隣の部の欄にはみす字でいた。
客ががってから、昔、運転代のをのへしたのか聞いた。
「あいつがむのが遅いんだ。子の脚でを叩き続けて、が痛くなった」
「べ物もねだったの?」
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「は見つかった。俺はまだ腹が減ってた。聞くのはただだろ」
笑いながら台所へくと、噌としょうがの匂いがした。寒いから豚汁にした、と朔が鍋のを止めた。初めての夜は、コンビニから持ち帰った豚汁を縁側でべた。朔が僕に分けてくれたのは、器の底の根ひとかけ。今は柔らかく煮えた根を見つけるなり、崩さないようお玉ですくって僕の椀によそってくれる。
「しょうがなめで」
「えるから入れる」
「じゃあ、僕の分はねぎをめに」
朔がよそってくれた椀に、刻んだねぎをひとつまみ落とした。はの椀が1つずつだったが、あとできいほうと同じものを買った。朔はい椀を2つ、汁をこぼさず持ちげた。
「どこでべる?」
僕が寝の戸をけると、灯りがついたままだった。
「で。ベッド脇のさい机を拭いといた。つとも持ってきて」
朔が敷居をまたぎ、にいほうを空けてくれた。の音はほとんどしない。れんげを置くと、の甲が触れた。朔のは温かかった。
「んでみろ。しょうがはし減らしたから」
ひとむと、やっぱり辛かった。そのあとに根の甘さが残った。朔が、どうだったと聞く顔でこちらを見ていた。椀を両で持ったまま、もうしそばに座った。
このは、たぶん寒くない。
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