"義妹が私の弁当に入れたものを、夫が食べた" 第10話
事件から2ヶが経過し、季節はへと移り変わろうとしていた。私たちの常は恐ろしいほど平穏だった。結さんというが常から切りされたことで、見えない圧が消えっていた。
ある曜の夜、史子さんから連絡があった。結の弁護士からを預かっており、初公判のに族に伝えたいことがあるらしい。
翌、史子さんのでを読むと、最初は自分が愚かなことをしたという反省が綴られていたが、半には「刑務所に入ったらが終わってしまう。裁判に刑を軽くしてくださいという嘆願をいてもらえませんか」という求がかれていた。
結局、自分が刑務所にきたくないから助けてくれと言っているだけだった。
「弁護士さんにはそのでお断りしたわ。嘆願はきません」
史子さんははっきりとした言葉で言った。もしここで嘆願をけば、結はやっぱり族は見捨てないと学習し、何も変わらない。史子さんは娘を刑務所に入れるという最も苦しい現実を自分ので確定させた。
也も弁護士からの示談の申し入れを断っており、嘆願も絶対にかないと頷いた。族だからこそ、本の罪を本に返さなければならない。
初公判の朝。法廷の被告席に座る結さんの背はひどくさく見えた。
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検察官による冒陳述で、客観な事実が1つずつ法廷の記録として積みげられていく。
被告質問で、結さんは「殺すつもりはなかった」と言い訳を繰り返し、也からの質問にも「お母さんが急に全部止めたから、千佳さんが来てからお母さんが変わった」と責任転嫁を続けた。
続いて史子さんが証言台にった。援助を打ち切ったのは嫁に指示されたからかと問われると、史子さんは「私が決めたの」とはっきりと答えた。
「自分の通帳を見て私は怖くなったから止めたの。あなたが恐ろしくなったのよ」
絶対な方だとっていた母親自が自分のに恐怖し、自分を拒絶していたのだ。その残酷な事実が宣告され、結さんは泣き崩れた。
最に私が見陳述のにち、結さんの目をまっすぐに見つめ返した。
「族だからと言って、起きたことを別の話にはできません。法に則り、被告が犯した罪に見う厳正な処罰を望みます」
復讐の言葉もれみも投げない。ただ引かれた境界線の側から事実だけを提示する。それが私がこの族を守るために選んだ唯の戦い方だった。
裁判から1ヶが過ぎ、結さんに対する判決がり、彼女は自分が犯した罪の代償を法ので正式に支払うことになった。
史子さんは結さんへの活費の援助を再することはなかったが、借の理が必ならこの専関に自分で相談しなさいと、現実な段だけを渡した。
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也も面会にき、困ったら相談には乗るが返すを俺が用することは度としないと線を引いた。
私も史子さんの通帳を管理する役目にはならず、史子さん自が自分の座をしっかりと管理している。
ある休の夜、也がふと真面目な顔をしてをいた。
「千佳が何度も結から嫌なことを言われていたのにもっとくちゃんと聞くべきだった。波をてたくなくて千佳にをいていた。本当にごめん」
私は首を横に振り、私も同じように違えていたと答えた。私がすれば丸く収まると勝に判断して蓋をしていたことが、結さんをエスカレートさせてしまったのだ。
「これからは解決を依頼することと来事を共することを分けたいの。ただ起きたことを隠さずにテーブルに乗せる。そういう夫婦でいたいの」
私の言葉に也はく頷き、隠さないと約束を交わした。
の音がしずつづいてきたあるのこと。史子さんからお昼ご飯を緒にどうと誘われ、私たちは3で卓を囲んだ。
帰り際、史子さんがさな濃紺の保バッグを私に差しした。には私が仕事へ持っていくためのさな弁当箱が入っていた。
弁当箱の蓋に1枚のメモがテープで貼られていた。
『千佳さんへ 、鮭、卵焼き、煮物』
「お義母さん、こんなにかなくても丈夫ですよ」と私が言うと、史子さんも目を細めて笑った。
「今度は分からないものは使ってないから」
その言葉の奥にある痛みを私は痛いほど理解していた。余計な慰めの言葉はにせず、ただ弁当を両でしっかりと受け取りくをげた。
也がひょいと弁当箱の蓋を覗き込み、「ちゃんと千佳っていてあるな」と言うと、史子さんがすかさず「当たりでしょう。絶対違えないでよ」と言い返した。
玄関のさな空に、るく穏やかな笑い声が響いた。以のこの族なら、誰かが代わりに背負い、優しさという名目で責任を奪いっていた。
でも今は違う。誰の弁当か、誰の罪か、誰のか。どんなにさなことでも誰かの代わりではなく、本の名のまま残されている。
のにあるお弁当箱の確かなみをじながら、私は澄んだの空気のへ也と共に歩きした。