"5万人が称賛する義母の、悪嫁は私だった" 第1話
「美紀、今は帰ってくるな。お義母さんを切にしなさい」
く乾いた父の声が、元で方に途切れた。
ツーツーという無質な切断音だけが、暗いリビングに響く。
……は?今、なんて言った?
理解が追いつかず、私は固まったままスマートフォンのたい画面を見つめていた。
母が界して。実で暮らしの父は、いつだって私の方だったはずだ。双子を妊娠したときも、産の肥ちがわしくなかったときも、癖のように言ってくれていた。
「何かあったら、いつでも帰ってこい。ここは美紀のなんだから」
その言葉だけを命綱にして、私はこの半、をすするようないで耐えてきた。
ヶの双子、(はる)と空(そら)。がようやく寝入った分に、空が甲い声で泣き叫ぶ。授乳、オムツ替え、吐き戻したの着替え、抱っこでの終わりのないスクワット。空は体児としてまれたため、体の増え方をミリグラム単位で監しなければならない。
連続で、しか眠れていなかった。蓋骨の奥がズキズキと痛み、界の端がチカチカとく滅する。
限界だった。もう歩もけないところまで追い詰められて、昨夜、を決して夫の亮太にをげたのだ。週だけでいい、実で体を休めたい、と。
亮太は嫌そうな顔をして「母さんが週も来てくれてるのに、実に逃げるなんて恩らずだ」
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と吐き捨てた。それでも、私の壊れそうな顔を見て渋々黙り込んだ。
そして今、すがるようないで実にかけた話の答えが、これだった。
今は帰ってくるな。義母を切にしろ。
「お父さん……なんで……?」
声が震えていた。畳ので、がふぇっとい寝息をてる。元からすうっと血の気が引いていくのがわかった。
私、何か悪いことをした?母親失格だから?双子の育児くらいで完璧にこなせないから、実の父親にまで見限られたの?
喉の奥が張りつめ、目のが真っ暗になる。膝から崩れ落ち、畳に両をついた。のひらに、ぽたぽたと粒の涙が落ちて染みを作っていく。
助けてと言っただけなのに。ただ、続けて眠りたかっただけなのに。
きがない。逃げが、どこにもない。この壁に囲まれた部で、私は誰にも助けられず、すり減って消えていくしかないのか。
その、のでスマートフォンがく震えた。
妹の奈奈からだった。
『お姉ちゃん、今すぐこれ見て』
震える指でトーク画面をく。脈絡のない言のに、Threadsのリンクがつ貼られていた。
父のくにむ奈奈は、私の衰ぶりをずっと配してくれていた。でも、なぜ今SNSのリンクなのか。茫然としながら、青いURLをタップした。
表示されたのは、あるアカウントのプロフィール画面だった。
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【双子育児を支える祖母の記】フォロワー数、万千。
プロフィール欄には、丁寧な言葉が並んでいた。
《米ママの至らなさを責めるのではなく、寄り添いたい。未熟な息子夫婦に代わり、双子の孫の命を全力で守るばあばの奮闘記録です》
胃の底が、きゅっとたく縮みがった。
最の投稿に添付された写真を指先で拡する。
見覚えのある、リビングの隅。私が散々悩んでネットで取り寄せた、ベージュグレーの限定バウンサー。その横には、哺乳瓶の消毒ケース。トレイの端にある、私がマジックでいた「空・140ml」という歪んだ文字。
……待って。どういうこと?
画面をスクロールする。次に現れたのは、ベビーベッドに並ぶ双子のろ姿だった。の着ている、柄のカバーオール。今朝、私がミルクの吐き戻しで着替えさせたばかりのだ。
そこには、こう添えられていた。
《今も午から息子宅へ。お嫁さんは寝に引きこもっててきません。部は散らかり放題、哺乳瓶も溜まったまま。ため息をみ込んで、私がのオムツを替え、乳の仕込みをしました。若いお母さんは『疲れた』と言えば許されるとっていて羨ましいわね。でも、孫たちに罪はありません。ばあばが踏ん張るしかないのよね》
投稿についた「いいね」は、千件を超えていた。
コメント欄をく。
『お義母さん、本当に神様のようなですね!』『こんなお姑さんに恵まれてるのに寝に引きこもるなんて、嫁は何様?』『甘えすぎ。