"「前のパパをこっそり好きじゃダメなの?」" 第15話
修さんは、青い折りの幹線を、壊れ物を扱うようにそっと胸のポケットにしまった。 そして、子からちがり、私に向かって、直角に腰を折った。
「お母さん。もう度……ゼロから、やり直させてください。父親ではなく、ただの宮本修として、美咲さんと陽太くんに向きいたいんです」
夕暮れの灯が、先のガラスを柔らかく照らしていた。
の気配がまった、の曜。 学の体育館と教を放してわれる、学公だった。
の教のろには、保護者たちが静かに並んで授業を見守っている。
教の最列。 私と、美咲と、そしてしれた所に、普段着のスウェットにジャケットを羽織った修さんがっていた。
美咲と修さんは、まだ入籍していない。 あのしいマンションで同居することもなく、週末に々、で公園へったり、ファミレスでご飯をべたりする、ゆっくりとした関係を続けている。
修さんのことを、陽太は今でも「修おじさん」と呼んでいる。 けれど、その呼び声に怯えはもうなかった。 「おじさん、見て!」と、屈託のない笑顔でを引くようになっていた。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴り、休みになった。 子どもたちが斉に席をち、廊へ駆けしていく。
「あ、ばあば!ママ!」
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陽太が駆け寄ってきた。 膝の擦り傷には、堂々とキャラクターの絆創膏が貼られている。 もう、痛みを隠す必はない。
「ろの絵、見た?ぼくの絵、見てくれた?!」
陽太にを引かれ、私たちは教のろのコルクボードのへ歩いた。
画用が、ずらりと並んでいる。 「わたしの族」というテーマで描かれた、子どもたちのクレヨン画。
番端に、陽太の絵があった。
私は、息を呑んだ。
黄い角根の。 そのには、笑顔の美咲と、エプロン姿の私。 そして、しれた所に、いをぎこちなく広げた、スーツ姿の修さんがっている。 には、陽太が描きしたとわれる、おかしな形の子が乗っていた。
そして。
画用の、番の隅。 黄いのフェンスのにある、さなのプラットホーム。
そこには、青い子をかぶり、さくを振っている男のが描かれていた。
くにいるけれど、確かに笑っている。 そのには、あの壊れかけた青いと同じの、さなカバンが握られていた。
のが、枚の画用のに、それぞれの距を保ったまま共していた。
格好で、いびつで、世の言う「普通の族」とは、まるで違う構図。
けれど。
画用のどこを見ても。 く毛羽った傷跡は、つもなかった。
消しゴムで削り落とされた輪郭も、無理やり塗りつぶされた記憶も、どこにもなかった。
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「陽太」
修さんが、膝をついて陽太と目線をわせた。 男の目には、微かに涙がっていた。
「に描けたな。……この、おじさんの子、かっこいいよ」
「えへへ。修おじさん、背がいから、はみそうになっちゃったんだ」
陽太が無邪気に笑った。 美咲が元を押さえ、静かに涙をこぼした。
誰かをするために、誰かを消さなくていい。 の都で作られた枠組みに、子どものを切り刻んで押し込まなくていい。
窓のを見げると、抜けるようなの青空が広がっていた。 く、澄み切ったが、教のカーテンを静かに揺らしている。
陽太が、美咲のと、修さんのを、から握り締めた。 そして、振り返って私に笑いかけた。
「ばあば、お腹すいた!帰りにコロッケ買って!」
「はいはい。特のやつを、みんなで分けましょ」
歩きしたのが、午ののにく伸びていく。 その輪郭は、どれひとつとして欠けることなく、の陽だまりのに、確かに刻まれていた。