みかん小説
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"七年の指輪を外す夜" 第24話

私は、迷うことなく「はい」と答えた。

がかりな記者会見をくことはしなかった。 神ホールディングスと条商事の型アライアンスに関する共同記者発表の席、質疑応答の最に、ある記者が私の薬指にるリングに気づき、おずおずと尋ねてきたのだ。

『神副部、プライベートなことで変恐縮ですが……条執役員とご結婚されるというのは、事実でしょうか?』

私は、隣に座る礼司と線を交わし、穏やかに微笑んで答えた。

『はい。内に入籍する予定です』

そのニュースは、経済界のトップニュースとして瞬くに駆け巡った。 から共通のを通じて聞いた話では、相沢琢磨もまた、自社の社でそのニュースの速報画面を見つめていたという。 酒に溺れることもなく、取り乱して誰かに話をかけることもなく、ただ、暗い執務ので、い、静かに座り込んでいたそうだ。 その話を聞いた、私の胸には片の痛みも、憐憫のも湧きがらなかった。 ただ、い昔に通り過ぎたの景の噂を、の便りに聞いたような、穏やかな懐かしさがあるだけだった。

入籍のの朝。 京の空からは、初となる細かなが、静かにいりていた。

神の実の玄関先で、母は朝からレフカメラを構えて何枚も私たちの写真を撮りたがり、父は「面倒くさい」

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と顔をしかめながらも、誰よりもく正装のスーツに着替えて玄関で見送ってくれた。

派な結婚式は挙げず、私たちはだけで都内の区役所へと向かい、静かに婚姻届を提した。 窓の係員から、受理証を渡される。

区役所の自ドアをると、たいの空気が頬を撫でた。 い散るを見げながら、礼司が元の類を鞄にしまい、ふと私を振り返った。

「……悔してないか」 「何を?」 「番最初、おの母親から『丸の内まで迎えにけ』と呼びされた……お、完全に『親から押し付けられた見い相』を見るような、ものすごく嫌そうな目で俺を睨みつけていたからな」

私は、わず声をげて笑ってしまった。

「ふふ、あのはそうだったわね。本当に最悪の夜だったんだもの」 「じゃあ、今は?」

私はしだけを止め、目のにつ彼のい瞳を見つめ返した。

「今はね……神のためでも、条のためでも、誰かに裏切られた当てつけでもないわ」

私は、袋をしたで、彼のきなをぎゅっと握りしめた。

「私が、私自のをきるために……あなたと結婚したいとったの」

礼司の瞳が柔らかく緩み、彼は握り返してきたの平に、温かい力を込めた。 それ以、言葉は必なかった。

昔の私は。 誰かをするということは、そののために自分をしずつ削り、放していくことなのだとい込んでいた。

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相のプライドを傷つけないように、しだけ目たないように振るう。 相が引け目をじないように、自分の過や能力を隠す。 相の器にわせて、自分自をさくさく折り畳む。 それが、献であり、なのだと信じて疑わなかった。

けれど、それは完全な違いだったのだ。

本当に自分にふさわしい対等な関係は、あなたをさくしたり、あなたから誇りを奪ったりはしない。 誰かをくしながら、自分自のの野をどこまでも追い求めていい。 誰かの隣を歩きながら、自分自ので、自分自のを選び取っていいのだ。

私は度、愚かな恋のためにをた。 けれど、私が戻ってきたのは、何かに負けたからでも、誰かに挫折させられたからでもない。 自分を削ってまで、に何かを証し続ける必などないのだという真実を、ようやく自分自の魂で受け入れることができたからだ。

区役所の階段をりながら、私はの空を見げた。 りしきる京のは、のあの凍えるような寒さとは、まったく違っていた。 気温が変わったわけではない。 今、私は、誰のにも隠れることなく、自分自ので、自分自の選んだを歩いているからだ。

私の隣には、私の歩幅にわせて歩く、確かな体温を持ったパートナーがいる。

私たちはを取りい、どこまでも広がるいの向こうへと、を向いて歩きしていった。

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