みかん小説
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"妻の避妊薬" 第22話

帰り、歩みは言も言葉を発しようとせず、助席の窓のを流れていく夕景をじっと見つめながら、ずっと何かく考え込んでいた。

僕は何も余計なことは言わず、ただ静かにハンドルを握りながら、かつてのあけみとの甘く、そして苦いの数々にいを馳せていた。

自宅の駐め、エンジンを切ると、歩みはぽつりと呟いた。

「……やっぱり、あのは最まで許せない。でもね、この形見のアクセサリーは、昔のパパとママが本当に切に築きげていた事なの証拠だから……私が責任を持って切にするよ」

「うん……そうだな」

「許せない気持ちは変わらないけど、ちゃんとかつては夫婦だったっていう確かな証拠だから……私が持っておきたいの。でも、やっぱりあんなの本当のお葬式とかには、私は席したくないな……」

「分かった。無理して席しなくていいさ。俺の気持ちや事をこうして汲み取ってくれて、本当にありがとう」

僕は助席の娘のにそっとを置き、優しくポンと叩いてそう伝えた。

そして、あけみの病院へお見いにってから約のことだった。あけみの実の両親から、僕の携帯に本の話が入った。

『お医者様からは余命と言われていましたが……そのの体調が急変してしまい、今朝、息を引き取りました』

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あけみは帰らぬとなったのだという。

僕たちは、事の約束通り、あけみのお葬式には結局席しなかった。しかし、に彼女が続きしていた額の保険は、約束通り子供たちのそれぞれの専用座へと無事に全額入されることになった。僕は子どもたちに「これはママが残してくれた将来のための切なおだから、自分たちの学や将来のために使いなさい」と丁寧に説し、それ以はこの件について誰もく言及することはなかった。

あけみの倫が発覚してからの歩みは、期は緒が非常に定になり、攻撃で気性が激しくなってしまっていた。しかし、あの病院で母親から形見のアクセサリーを受け取って以来、かつての優しく落ち着いた穏やかな精神状態を取り戻し、以のようにるい笑顔が戻ってくるようになったのだった。

息子の直は、いまだに当自分たちがにかけたことや、母親が自分たちを放置しての男と倫に溺れていたという許されない裏切りの記憶を完全に拭いることはできず、のどこかでみ続けている。だが、僕自はもう、あけみに対して良いも悪いも、の針が揺れるような特別な切何もじなくなっていた。

直はまだの子供だ。

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そう簡単に親の裏切りを受け入れられるわけがないということは、僕にもよく分かっていた。しかし、にとって唯の救いだったのは、女の歩みが以ほど母親を狂おしく憎み続けることがなくなり、その歩みの穏やかな変化に化されるようにして、息子の直もまたしずつ現実を受け入れ始めていることだった。

僕は、シングルファーザーとして子供たちを育てることになったのをに、会社に頼み込んで全国転勤のない自宅くのローカル営業所へと異させてもらった。それ以常の環境は特にきく変わることもなく、穏やかで平活を続けることができている。

私は、あのの子供たちに、かつて単赴任をしていた頃に寂しく辛いいをさせてしまった。だからこそ、今ではそのの父親としてのきな穴埋めをしようと、々の事や弁当作りにと、文字通り孤軍奮闘しながら必に頑張っている。

(今えば……かつて僕がでやろうとしていたこの毎事や育児の苦労のすべてを、あけみというにすべて押し付けて、ワンオペでやらせていたんだよな……そう考えると、しだけあいつに対して申し訳ないことをしたという気持ちも湧いてくる……)

だが、これが今の僕にできる精杯の償いであり、形なのだ。

「どうか、このささやかな子供たちとの穏やかな幸せを、国から見守っていてくれよ」

僕はで、故となったあけみにそうそっと静かに願った。

子供たちが無事に成して自分ので歩きすまでは、僕も当分のは再婚なんていうしいことは切考えず、父親としてしっかりと子供たちの成に向きい、じっくりと子育てを頑張っていこうと考えている。

まあ、客観に見れば、決して様に自できるような綺麗なの歩み方ではなかったとう。浮気され、裏切られ、沼の復讐劇を繰り広げ、波乱万丈な々だった。

それでも、過の傷を引きずるだけでなく、しでもを向いてしっかりときていかなければならない。でなければ、あんなに数奇な運命のまま世をっていったあいつも、きっと国でして成仏できないだろうからね。

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