"26人が去った屋敷――会長の息子は、貧しい家政婦の腕で泣きやんだ" 第16話
今度は、自分ので
「はい。私も、匠さんと族になりたいです」
答えると、匠の指が箱の縁かられた。さやかは差しされたに自分のをね、指輪が通されるのを見つめた。彼のもしえていたので、待っている、緊張していたのだと分かった。
「嬉しいです。こんなふうに、自分のことを考えて返事ができるのが」
さやかが言うと、匠は指輪をはめたをそっと握った。彼女はその顔を見て、今まで言わずにいた気持ちも伝えた。
「私も、あなたが好きです」
匠は静かに息を吐き、彼女を抱き寄せた。さやかは肩に頬を寄せたまま、しばらくかなかった。誰かをさせるための返事を探さずにいられるが、温かかった。
緒に暮らし始める期は、優太とも相談しながら決めることにした。さやかには引き受けている仕事があり、弟の通院の予定もある。匠は彼女の帳をのぞき込み、自分の予定を照らしわせた。
「仕事は、これからも続けたいです」
「うん。勤務のは、斗の予定も緒に確認しよう。今も、千代たちと交代しながらやっているから」
弟のことも、さやかだけで全部決めず、優太の希望を聞くところから始めると話した。匠は会うを作りたいと言い、彼女は帰ったら伝えると答えた。
その夜、報告を聞いた優太は、姉のにる指輪を見た。
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し黙ってから、おめでとう、と言った。
「今度は、姉ちゃんが笑って帰ってくるもできるんだな」
さやかはの奥がくなり、弟の隣の子へ座った。2で用した部は、これからも優太が治療を続ける暮らしの台になる。彼女が結婚することで、その先まで急いで決める必はなかった。
週末、さやかはさな鞄を持っての坂をった。の向こうに、初めて来たと同じ庭が見える。呼び鈴を押すと千代が迎えてくれ、指輪へ目を留めて微笑んだ。
「おめでとうございます、さやかさん。皆、お待ちしていました」
玄関では、斗ががり框に座って靴を履こうとしていた。庭まで迎えにるつもりだったらしい。片方のかかとが引っかかり、さやかが屈みかけると、子どもは首を振った。
「じぶんで」
そばで匠が頷いた。斗は何度かやり直し、かかとが入ると顔をげた。
「できた。ぱぱ、やった」
「お父さんと練習したんだよな」
さやかは笑い、斗の差ししたを取った。くしがみつくではなく、緒に庭へこうと誘うだった。匠も反対側へ回り、3で玄関をた。
夕方、卓にはさやかの席が用されていた。いつもの癖で配膳を伝おうとすると、千代が先にお茶を置いてくれた。さやかは礼を言って座り、斗が昼に見つけたの話を聞いた。
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子ども部へがると、棚にあの4冊が並んでいた。その隣にはしいノートが増え、匠や千代の字で、さやかのらなかった斗の様子がきされている。彼女はページを読み、眠るに好きになった絵本をに取った。
斗は2ので話を聞き、やがてさやかの膝へもたれた。彼女が抱きげて子守をずさむと、匠もい声をねる。途で節が違い、目をわせてさく笑った。
寝息が聞こえ始めると、匠が腕を差しした。
「ここからは、俺に任せて」
斗を受け取るは、もうためらっていなかった。さやかは空いた腕を膝へ戻し、父親が寝へろして掛け物をえるのを見た。斗は目をけず、さく息をついて眠り続けた。
匠が隣へ戻ってきた、さやかは自分からそのを取った。廊には灯りが残り、いた扉の向こうから、千代が器を片づける静かな音が届いていた。
さやかが子守の続きをうと、今度は匠も違えずについてきた。彼女はその声を聞きながら、つないだをそっと握り返した。