"余命1年の少年が託した、移植心臓の奇跡" 第17話
……調子はどうだ」 「完璧です、パパ……いや、教授」 苦笑いするレンに、健太郎はシワの刻まれた目尻を細めて、柔らかく笑った。 「来で気になる症例が件ある。半、ファロー徴症の度併例だ。母親がひどく追い詰められている。おが度、面談してやってくれないか」 「……わかります。かつての僕や、ミトさんみたいに?」 「ああ。背を押してやるのは、今の俺の仕事より、おの仕事だ」
夕方。来診察。 ドアがくと、青い顔をした若い母親が、ヶの赤ん坊を抱えてふらつくように入ってきた。赤ん坊の胸元には、わずかな呼吸困難を示す陥没呼吸が見て取れる。 「……先、ネットで調べたら、この子は、もう……」 母親の指先は激しく震え、スマートフォンを落としそうになっている。10、ボロボロになったミトの姿が、瞬、目のの女性となった。
レンはちがり、静かにその母親の目のまで歩み寄る。そして、えたカルテからではなく、真っ直ぐにその潤んだ瞳を見据えた。 「丈夫です。泣かなくていい」 い、しかし圧倒なを含んだ声だった。 「あなたのせいでも、この子のせいでもない。……臓は、まだ諦めていません。僕たちが、この子のリズムを緒に作り直します」 母親はハッとして顔をげ、レンのの胸元を見る。そこにある名札には、『藤崎レン』と刻まれていた。
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「……先……、助かるんですか?」 「約束します。医者として、そして、かつて同じ臓を繋いでもらったとして、この命を絶対に守り抜く」
その夜。 病院の裏庭に植えられたきな桜のので、レンはスマホを取りし、族のグループLINEをいた。 画面には、すでに定退職してのんびり隠居活を送りながらも畑仕事に勤しむ健太郎、相変わらず作りのジャムを送りつけてくるミト、そして学になり「俺、将来兄ちゃんの病院の広報やりてえ!」と騒いでいる太からのスタンプが並んでいる。
レンはそのトークルームに、言だけ打ち込んだ。 『今、さな命をひとつ、無事に受け持ちました。またも、元気にいてくれそうです』
数秒、即座に返信がきた。 ミト:『よく頑張ったわね。温かくして帰りなさい。シチュー温めて待ってるから』 健太郎:『来だ。おやすみ、ドクター・レン』
レンはスマホを胸元に引き寄せ、夜空を見げた。 たいのが吹いているが、胸の奥は議と温かい。 トクン、トクン。 10に受け継いだ命の炎は、いまや自分の血肉となり、迷える誰かの夜を照らす灯へと変わっていた。
傷だらけだった私たちは、もうじゃない。 臓の鼓がある限り、物語はへ、優しく、力く脈を打ち続ける。