"退職祝いは「孫の勤務表」" 第10話
麻は保険会社を勤務へ変え、夜講座を修した。週末だけのサロンで働き、すぐ独しようとはしていない。仕事が増えれば、族の予定をもう度見直すという。
久美子の朗読会は週回になった。発表会のには僕も聞きにくが、練習の送迎は頼まれない限りしない。彼女は自分でに乗り、仲と事をして帰る。
僕も資料館の活を続け、に度、で鉄旅へる。久美子とは別に温泉や美術館へく。夫婦のカレンダーには、同じの予定と、別々のの予定が並んでいる。
ある曜、麻が夕へ来た。直が台所にち、僕は結菜と写真を見ていた。久美子は朗読会から戻るのが遅くなるため、先にべていてほしいと連絡してきた。
なら、妻が族の夕より自分の予定を優先したと満を持ったかもしれない。僕たちはで先にべ、久美子の分を鍋へ残した。
、直が鞄から枚のをした。
「お義父さん、今度の休みの予定なんですが」
僕は反射に構えた。のには付が並び、あの退職祝いの勤務表とよく似ていた。
直は僕の顔を見て笑った。
「担当表じゃありません。皆が休めるをき込むだけです。結菜が、で泊旅へきたいと言っていて」
には空欄がく残されていた。
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僕の旅、久美子の発表会、麻の講座、直の繁忙期をそれぞれき、ならないがあれば旅を考えるという。
「けるがなかったら?」
僕が尋ねると、結菜が答えた。
「来にする」
誰かの予定を消し、族の事を優先するという発ではなかった。
僕は自分のカレンダーを持ってきた。には資料館の特別展示と、旅の予定がある。久美子の発表会は末。なるを避けると、の連休が候補に残った。
「そこならける」
麻はすぐ予約せず、久美子が帰ってから確認すると言った。
夜、久美子が戻った。旅の話を聞くと、は朗読会の宿が入るかもしれないと答えた。
直は困った顔をしたが、責めなかった。
「決まるのは来週なので、それまで待ってください」
「分かりました。無理なら別のを探します」
予定表は蔵庫へ貼られなかった。卓の端に置き、全員の答えがるまで空欄のままにした。
翌朝になっても、そのは同じ所にあった。誰かが気を利かせて程を決めたり、参加できないの予定を消したりしていない。たったそれだけのことが、のがにはできなかった。
僕はコーヒーをみながら、自分の都のよいへ丸をつけた。久美子の欄は空けたままにした。妻ならこのでよいだろうと代わりに印をつけないことが、今の僕たちにとってはさくても確かな変化だった。
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僕は、その空を見ていた。
以の僕は、空いている所があると埋めたくなった。仕事でも庭でも、担当者のいない、確かな、答えのていない問題が苦だった。久美子は僕に決められることを恐れ、僕が退職すると、今度は自分たちで僕のを先に埋めた。
僕たちは似たことをしていた。
誰かのために決めているつもりで、そのが迷うを待てなかった。
翌週、久美子の宿はではなくに決まり、族旅へけることになった。き先は結菜が選んださな鉄博物館と、久美子が希望した温泉だった。
僕は旅程を細かく作りすぎないよう、宿と列だけ予約した。昼のも、見学も、当決める。がれば予定を変える。
旅当、直が乗るを本違え、到着が分遅れた。以なら僕は刻表を見せ、なぜ確認しなかったか問い詰めただろう。今回は駅の喫茶で待った。
「らないの?」
結菜が尋ねた。
「ってもはく来ないからな」
「おじいちゃん、丸くなったね」
麻が笑った。
「全部許すようになったわけじゃない。遅れた本には、昼代をしてもらう」
直が到着すると、自分から謝り、そのの昼を払った。誰も彼を失格の父親とは呼ばなかった。
帰りの列で、結菜は久美子の肩にもたれて眠った。
麻と直は向かい側で、次の週の予定を相談している。
僕は窓側に座り、夕方の線を眺めた。
退職した、僕は自由になったとっていた。族は、その自由を空だとい、自分たちの都で使おうとした。僕はりながらも、かつて自分も族のを、仕事と正しさで並べ替えてきたことをった。
だからといって、されたことをする必はなかった。
僕は斎を守り、旅へき、頼まれた送迎を断った。直へ事実を申告させ、娘夫婦を期限どおり別のへ送りした。その方で、続けたい曜は自分で選び、困ったには貸すと返し方を緒に決めた。
族を助けることは、自分の予定を全部消すことではない。
族へ頼ることも、相の空を勝に使うことではない。
列は次の駅へづき、内放送が流れた。僕は眠っている結菜を起こそうとしたが、久美子が首を振った。
「まだりないわ。次の次よ」
僕は計を見ず、もう度窓のへ目を向けた。
次の予定まで、しがある。
そのを誰と過ごすか、何もしないかは、これから決めればよかった。