みかん小説
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"「病院に行くな」と娘を閉じ込めた婿の本当の目的" 第10話

私は、娘の顔を撫でた。

「健さんが殴る?怖がらなくていいのよ。あいつは阪にったわ」

私は、娘に言い聞かせた。

「お母さんが、あなたをここから連れすから。お母さんが助けてあげる」

私は駆け寄り、娘の体を押し潰していたいベルベットの布団を取り払った。

そして、そのまま固まってしまった。

の力が抜け、ベッドの角にどさりと座り込んでしまった。

狂ったように込みげてくる嗚咽を抑えようと、両の拳でを固く塞いだ。

「ああっ……」

神様。私の血を分けた子が。私のい子が。

布団のの娘は、糸本まとわぬ全裸であった。

しかしそれは、歳の若い女性の体ではなかった。

に変わり、あちこち剥がれた皮が、かろうじてむきしの骨を覆っているだけであった。

肋骨は、本数えられるほど浮きている。

腹は、背に完全に張り付いていた。

しかし、本当の獄は、あの猛烈な臭の根源は、別にあった。

娘の背と腰であった。

何ヶ度も体をかされることなく、排泄物に濡れたまま放置された体。

骨がに当たる部分の肉は、すでに完全に腐り落ちていた。

シャワーヘッドのきさに黒くえぐれた、ずれの穴。

そこからは、黄く濁った滲液と黒い血が絶えず流れていた。

傷の周りの筋肉はすでに腐敗し、吐き気を催すような匂いを放っていた。

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細菌がどうのと言い、完璧な無菌を主張していた渡辺健

あの悪魔は、妻を便のに転がしておいたのだ。

肉が腐り、骨が見えるまで放置していたのである。

このいベルベットの布団は、娘の体温を守るためのものではない。

自らの犯罪を隠し、その傷がよりく腐敗するように覆い被せていた、巨な蓋であったのだ。

涙が滝のように流れ落ち、襟元をぐっしょりと濡らした。

私はにうずくまり、骨だけになった娘の首を撫でた。

体のようにたい。

私は、声を絞りした。

「ごめんね、お母さんがごめんね、さやか」

私は、自分を責めた。

「目の見えない母が愚かだったから、あの悪魔がおをこんなズタズタにするまで放っておいた」

私は、娘のを握りしめた。

「もうし、もうしだけして。お母さんが今すぐ病院に連れてってあげるから」

私は、ハッとがった。

臓を抉られるようなしみは、やがて狂気じみたりと怪力に変わった。

タンスをけ放ち、番清潔で柔らかい綿のシーツを取りした。

腐りゆく肉に触れないよう、慎にシーツを娘の背に滑り込ませた。

しでも体がくたびに、娘の喉から「ううっ」という断末魔のうめき声が漏れた。

私は唇を固く噛みしめた。

シーツで娘の痩せ細った体をしっかりと包み、繭のようにした。

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そして、娘を軽々と背負いげた。

軽い。

あまりにも、恐ろしいほどに軽い。

関節痛に苦しむ歳の老母が、歳の成した娘を背負っているのに、羽のように軽いのだ。

に触れるたい体温だけが、神が私たちのすぐそばまで来ていることを告げていた。

娘を背負い、あの獄の部て階段をりた。

が汗でびっしょりになった。

娘の体は軽かったが、私の潰れそうな肩のには、のようなみとりが乗っている。

元がふらついた。

階の玄関をで蹴破り、庭を横切ってした。

ちょうどそのの角からの個タクシーが滑るように入ってきた。

たけしであった。

めてりてきたたけし君は、私の背に負われたさやかを見た。

その瞬、顔面蒼になった。

「先、なんてこった」

彼は、震える声で言った。

「さやかさんが、どうしてこんな姿に?」

私は、息を切らしながら言った。

「いいからくドアをけて!たけし君、ばして。この子の息が止まっちゃう。く!」

たけし君は、慌てて部座席のドアをけ放った。

私は娘の傷に触れないように横たわらせ、自分も乗り込んで娘のを膝のに乗せた。

は轟音をてて閑静なを抜けした。

の混雑した京のへとした。

で、私はくぼんだ娘の頬に自分の顔をすり寄せた。

や汗で濡れもつれた髪を撫でてやった。

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