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別室で食べてと言われた母

別室で食べてと言われた母

佐々木陽子 完結 1

「母さんは、ここで食べないで」 週末の夕食、佐々木陽子は自分が作った料理を前に、息子からそう告げられた。 三十年間、一流ホテルでフレンチの調理師として働き、息子の教育費も住宅購入も支えてきた母。 それでも嫁は、陽子の料理を「古い」「衛生面が心配」と見下し、ついには家族の食卓から別室へ追いやった。 リビングから聞こえてくるのは、陽子が作った料理を囲む家族の笑い声。 その夜、眠れずにいた陽子は、息子夫婦と夫の本音を聞いてしまう。 「お母さんはお荷物でしょう?」 さらに彼らは、陽子を施設に入れ、実家の土地を売る計画まで話していた。 その瞬間、陽子の中で何かが静かに終わる。 翌日、彼女は弁護士のもとへ向かった。 退職金三千万円、実家の土地八千万円、株式二千万円。 合計一億三千万円を超える財産は、すべて陽子個人のものだった。 そして彼女は決める。 財産も、尊厳も、これからの人生も、もう誰にも渡さない。 全財産を守ったまま実家へ戻った陽子は、再び包丁を握り、料理教室を開く。 一方、母を“お荷物”と呼んだ息子家族の日常は、静かに崩れ始めていく――。

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