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完結第6話
68歳、レジで再会した友
5年前、幸子は友人・道代に笑われた。 「まだ働いてるんだね」 「月1万円の積み立てなんて、やってないのと同じじゃない」 年金10万円でスーパーのレジに立つ幸子と、余裕のある老後を語っていた道代。あの日の小さな笑い声は、幸子の胸にずっと残り続けていた。 それから5年後。 68歳になった幸子のレジ前に、道代が突然現れる。手にしていたのは、半額の惣菜と安い食パンだけ。かつて自信に満ちていた彼女の手は、なぜか小さく震えていた。 そして道代が置き忘れたポイントカードの下には、たった一言だけ書かれた紙が挟まっていた。 「相談があります」 5年前に笑った人と、笑われた人。 同じ喫茶店で再び向き合った二人を待っていたのは、思いもよらない老後の現実だった――。人生逆転|第二の人生|金銭問題8.6千字5 1 -
完結第6話
雨の夜の招待状
還暦を過ぎた林義子は、夫の書類カバンから一枚の招待状を見つける。 そこに書かれていたのは、夫・正雄と別の女性の名前。そして、3ヶ月後に京都の高級宿で開かれる結婚式の案内だった。 36年間、夫の食事を作り、薬を管理し、家計を守り続けてきた義子。だが夫はその裏で、共有財産を移し、退職金2200万円を隠し、新しい女との生活まで準備していた。 義子は泣かなかった。怒鳴らなかった。 ただ静かに証拠を集め、弁護士にすべてを託す。 そして迎えた結婚式当日。80人の招待客が見守る会場に、花嫁ではなく、1人の弁護士が現れる。 その瞬間、夫が夢見た新しい人生は崩れ始めた――。人生逆転|不倫|熟年離婚9.2千字5 2 -
完結第6話
スイスへ消えた妻
離婚届を突きつけられたその日、藤崎陽子は静かに住民登録を抹消し、スイス行きの片道航空券を握って成田空港に立っていた。 夫・達也は愛人の出産に付き添い、「跡取りが生まれる」と五十嵐家は歓喜に包まれていた。だがその直後、医師が告げた“ある一言”によって、彼らの幸せは一瞬で崩れ落ちる。 長年、嫁として、妻として、会社の実務担当として尽くしてきた陽子。しかし五十嵐家にとって、子を産めない彼女はただの“用済み”だった。 けれど彼らは知らなかった。人生逆転|夫婦|第二の人生8.5千字5 14 -
完結第5話
消された妻の通院日
「また病院か。大げさだな」 妻・さち子が胸の苦しさを訴えた朝、夫の週一はいつものようにそう言い捨てた。 長年、夫の通院準備、薬の管理、食事の塩分調整まで、すべてを黙って支えてきたさち子。だが彼女自身の診察予定は、カレンダーの隅に薄い鉛筆で書かれ、何度も消されていた。 息子の嫁・由香が見つけたのは、破かれた予約票、飲まれないまま隠された薬、そして引き出しの奧にしまわれた一通の紹介狀。 「私の分は、すべて後で」 その小さな文字に、家族の誰も気づかなかった。 そしてある朝、さち子は臺所で倒れる。 病院の受付で、週一は初めて知る。自分は妻の病名も、薬も、痛みが始まった日さえ知らなかったのだと――。人生逆転|夫婦|熟年離婚7.2千字5 67 -
完結第8話
葬儀よりハワイ
80歳の田所吉郎は、55年間連れ添った最愛の妻・雪子を亡くした。 若い頃、貧しい暮らしの中で支え合い、二人三腳で小さな會社を築いてきた夫婦。だが雪子が病に倒れてから、息子の嫁・美香は見舞いにも來ず、介護に疲れた吉郎を助けることもなかった。 それでも雪子は最後まで、嫁に迷惑をかけまいと気遣い続けた。 そして迎えた葬儀の日。家族として最後の別れをするはずの美香は、義母の葬儀よりも友人とのハワイ旅行を選ぶ。吉郎は亡き妻に恥をかかせまいと、參列者には「體調不良」と噓をつき、靜かに頭を下げ続けた。 しかし葬儀の翌日、吉郎は決意する。 息子夫婦が住む一軒家は、吉郎が買い與えたもの。そして名義は、今も吉郎のままだった。 妻を軽んじた嫁に、吉郎が下した靜かなけじめとは――。人生逆転|親不孝|親子関係|修羅場1.1萬字5 89
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