みかん小説
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"冷えた雑煮の逆転正月" 第12話

「さようなら」

弓がさく言った。

俺はそのを握った。

約7

チャンギ国際空港の自扉がいた瞬、湿った温かい空気が押し寄せた。

本のとは正反対だった。

弓が驚いて笑う。

「暑い!」

「1だからってコート着てたら倒れるぞ」

「本当になんだね」

弓はきく呼吸した。

その表を見た、元の夜をした。

え切った台所。

い顔。

赤切れた

同じとはえない。

会社が用したアパートは、かられた静かなにあった。

い壁。

きな窓。

るいリビング。

そして広いキッチン。

弓は番最初にキッチンへ向かった。

をひねる。

が流れる。

今度は湯側へ回す。

温かい湯。

湯気を見ながら、弓が笑った。

「好きなだけ使っていいんだよね」

「ああ」

られない?」

「誰に?」

弓はし黙った、笑いながら泣いた。

「そうだった」

俺はろから抱き締めた。

「ここは俺たちのだ」

から、弓はくのへ通い始めた。

見たことのない野菜。

国の果物。

辛料。

最初は英語がほとんど分からず、振り振りだった。

それでも毎楽しそうだった。

「今ね、果物のおばちゃんにしまけてもらった」

「英語で?」

「半分は笑顔」

には緒にを歩いた。

マリーナ周辺。

ホーカーセンター。

公園。

俺たちは、これまで15できなかったことをつずつ始めた。

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緒に朝べる。

緒に買い物へく。

夜、今あったことを話す。

それだけだ。

それなのに、俺たちには鮮だった。

そして1が経った。

週末の朝。

アパートのバルコニーには、コーヒーのりが漂っていた。

弓がで買ったパパイヤやマンゴーがテーブルに並んでいる。

「健さん、今のパパイヤ、すごく甘いよ」

エプロン姿の弓がてくる。

肌は健康に焼け、髪もくなった。

英語もかなり達した。

何より、よく笑うようになった。

あの実では1度笑うかどうかだった弓が、今は員とも、所のとも笑いっている。

「英語、本当にくなったな」

「まだまだ」

弓がコーヒーをむ。

「でも、違っても誰もらないって分かったから」

その言葉が妙に胸へ残った。

違えてもられない。

そんな当たりのことを、弓は本のあのではらなかった。

その数

本の弁護士から最終報告が届いていた。

直は田らの詐欺グループとの関係と違法賭博に関する事件で罪となり、役している。

母は親族から距を置かれ、古い賃貸宅で1暮らしをしているという。

の売却も終わった。

理を経て、認められた分は弓への慰謝料等として処理された。

報告を読んでも、もうりは湧かなかった。

ざまあみろともわない。

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ただ、自分たちとは別のになったのだとった。

リビングの棚には、弓が持ってきた古い学ノートがある。

15

暗い々が記録されたもの。

その隣には、シンガポールで買ったしいノートが並んでいた。

こちらには、

で初めて英語で値段交渉した〉

〈健さんと辺を散歩〉

〈初めて2で旧正の飾りを買った〉

そんな何気ないことがかれている。

ある夜。

バルコニーで2たいワインをんだ。

くに層ビルの灯り。

からが吹く。

「健さん」

弓が俺のを取った。

「私、あのちゃんと話してよかった」

「何を?」

「辛いって」

俺は黙って聞く。

「昔の私は、することがを守ることだとってた」

弓は夜景を見る。

「お義父さんとの約束も、そういうだとい込んでた。でも違ったね」

「うん」

「自分を壊してまで守るものなんて、なかった」

俺は弓のを握り返した。

「俺も、もっとく気づくべきだった」

「もういいよ」

「15は戻らない」

「戻らなくていい」

弓が俺を見る。

「だって今の私、あの15があったからくなれたってえるようになったから」

棚にある古いノートへ線を向ける。

「辛かった自分を消したいとはわない。あのの私も、ちゃんと私だから」

俺は胸の奥がくなった。

「じゃあ、これからの15は?」

そう聞くと、弓は笑った。

「もっと忙しくなるよ」

「何で?」

きたいところがいっぱいあるもの」

「どこ?」

「まず台湾。次はイタリア。それからオーストラリアも」

「急に増えたな」

「パスポートのページをいっぱいにするって言ったでしょう?」

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