みかん小説
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"消えた女将と800万の通帳" 第13話

居酒へ変えて。

3から夜3まで働き。

客へ笑い。

夫にを持っていかれてもを守り。

しずつ貯めた

母が守ろうとしていたもの。

それは単に800万円ではなかったのかもしれない。

「こので、さいマンションでも借りたい」

母はそう言っていた。

を辞めて。

し休んで。

そこからもう度、自分のを始める。

そのための希望だった。

希は通帳を閉じた。

「美子さん」

「うん」

「お母さん、最もここ来たんですよね」

「来たよ」

「何か言ってました?」

美子はしばらく考えた。

「ほとんど何も言わへんかった」

「そうですか」

「ただな」

美子の声がし震えた。

「帰る、ありがとうって言うた」

希は俯いた。

美子も黙った。

では、難波のいつものの流れが続いていた。

仕事帰りの会社員。

駅へ急ぐ

を探す

5と変わらないように見えるだった。

けれど3000円酒の赤い板は、もうなかった。

義子がうどんから始め、13く守り続けた所。

度は繁盛を作りげた。

夫と娘の活を支えた。

やっと放し、これから自分のを取り戻そうとしていた。

52歳。

義子が最に欲しかったのは、きなでも贅沢な暮らしでもなかった。

さな部

静かな活。

自分で稼いだを、自分のために使える々。

それだけだった。

希は通帳を鞄へしまった。

「持って帰ります」

「そうし」

美子は頷いた。

希が入へ向かう。

ガラスの引き戸にをかけたところで、ふと振り返った。

5

母も同じ所にったのだろう。

そして、

「姉さん、もうくわ。ありがとう」

そう言ってていった。

希は何も言わず、静かにげた。

ると、夕方の難波の空気が頬に触れた。

母を探す5は終わった。

だが、母が失ったは戻らない。

本が奪われた5も戻らない。

希自が母を待ち続けた5も戻らない。

ただつ残ったのは、母が最まで守ろうとしたものが何だったのかを、娘だけは忘れないということだった。

そのものではない。

もう度、自分のを選び直せるという希望。

義子が最まで放したくなかったのは、きっとそれだった。

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