"16回の拒否" 第12話
黒田には、それが納得できなかった。
けれど、周囲が否定していたのは写真の技術ではなかった。
写真がいかかでもない。
何度「嫌だ」と言われても、その言葉を自分の都のいいへ置き換え続けた態度だった。
それ以も、しばらく黒田はサークルへ顔をした。
参加者たちは以と同じように挨拶をした。
「おはようございます」
「今もよろしくお願いします」
誰も黒田を仲れにはしなかった。
ただ、黒田がカメラを持ちげると、1ずつ普通の声で言うようになった。
「黒田さん、私は写らないでおきますね」
「すみません。私も慮します」
誰も声をさない。
誰も鳴らない。
ただ、自分のをはっきり伝える。
ある、誰かが景を背景に記写真を撮ろうと言った。
「藤本さん、お願いできますか?」
レフを持った黒田ではなく、スマートフォンをにした藤本へ声が掛かった。
「いいですよ」
藤本はカメラを構えるに確認した。
「こちらにいる方は、全員写っても丈夫ですか?」
皆が答える。
みさ子も言った。
「この集写真は丈夫です。ただ、SNSには載せないでください」
「分かりました」
藤本はすぐ頷いた。
「写っている皆さんにだけ送ります」
1度だけシャッターを押す。
そして、すぐ画面を全員へ見せた。
「これで丈夫ですか?」
「丈夫です」
「私もこれでいいです」
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参加者たちはした様子で笑っていた。
しれたところで、黒田がその景を見ていた。
「あれじゃ、ただの記写真ですね」
誰に言うでもなく呟く。
「も構図も考えていない」
確かに藤本の写真には、黒田ほど細かな構図へのこだわりはなかった。
背景にし余計なものも入っている。
の当たり方も完璧ではない。
けれど、藤本のスマートフォンに写った参加者たちの表は自然だった。
誰も顔を背けていない。
誰もカメラを警戒していない。
撮られることそのものを嫌がっていない。
黒田が何度、
「自然に笑ってください」
と言っても撮れなかった表が、そこには残っていた。
その違いがどこからまれるのか。
黒田は考えようとはしなかった。
そのしばらくして、黒田はハイキングサークルへ参加しなくなった。
誰かから「来ないでほしい」と言われたわけではない。
退会を求められたわけでもない。
ただ、以のように自由に写真を撮ることができなくなった。
カメラを向ければ、
「私は結構です」
と断られる。
SNSへ載せるには確認が必になる。
撮った写真を勝に公することもできない。
そんな状況を、黒田は窮屈だとじた。
に会えば、こう話した。
「最は何をするにも、細かく確認しないといけないんですよ」
相が事をらなければ、黒田の話だけを聞くことになる。
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「別に悪い写真を撮ったわけでもないのに、まるで迷惑為をしたみたいに言われましてね」
黒田は苦笑した。
「皆さんを綺麗に撮ってあげようとしただけなんですけど」
みさ子が何度も「載せないで」と伝えたことには触れない。
「撮らないでほしい」と言われたにも撮り続けたことも話さない。
本の許なく写真をSNSへ載せ、その写真がサークルのまで転送されたことも、自分からは話さなかった。
黒田のでは、
「自分が相の言葉を聞かなかった」
のではなかった。
「周囲が急に細かくなった」
という話へ変わっていた。
だから、カメラを放すこともなかった。
数週。
黒田は別の域交流イベントへ参加していた。
会では、参加者たちが季節のを使って寄せ植えを作っていた。
机のにはとりどりのや鉢が並び、参加者たちは完成した作品を見せっている。
黒田の首には、いつものレフががっていた。
1の女性が、自分の寄せ植えのでっている。
黒田は、
「綺麗ですね。しそのままで」
と言いながらカメラを構えた。
女性は特に撮そのものを嫌がる様子はなかった。
ただ、を押すように言った。
「写真は構いませんけど、SNSには載せないでくださいね」
黒田は自信ありげに笑った。
「丈夫ですよ」
そして、以と同じ言葉を続ける。
「変な写真は載せませんから」
女性の表が変わった。
「いえ、変な写真かどうかではなくて――」
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