みかん小説
本棚

"消えた御曹司と500万の罠" 第13話

「うちの実です」

母親が隣へった。

「22歳のの写真」

2は向かいって座った。

は何度も息をえた。

「私は……田といいます」

母親のが止まった。

「悠君?」

「はい」

目がきくかれる。

きていたのね……」

声が震えた。

げた。

「実兄さんが、私を守ってくださいました」

涙が落ちた。

「自分がに残って、私を逃がして……」

「……」

「本当に申し訳ありません」

げた。

「私のせいで、実兄さんが」

母親はすぐ首を振った。

そして悠を握った。

「違うわ」

「でも」

「あの子が選んだことよ」

母親の目にも涙が溢れていた。

「実はさい頃からそういう子だった。誰かがいじめられていたらる。困っている子がいたら放っておけない」

涙を流しながら、母親は笑った。

「優しすぎるのが配だった」

は泣きながら写真を見た。

「でも、それがうちの実だった」

母親は悠く握った。

「あの子の最の選択を、私は誇りにうわ」

「お母様……」

「恩返しなんて考えなくていい」

母親は悠の顔を見つめた。

「あなたが元気にきること」

「……」

「実が守ったを、切にきること。それが番の恩返しよ」

その言葉を聞いた瞬

は声をげて泣いた。

自分は誰かを犠牲にしてき残ったとっていた。

しかし母親は、その命を切にきてほしいと言ってくれた。

広告

健造から自宅へ招かれた。

初めて入る田

広い玄関。

井。

派な具。

それが自分のまれただと言われても、まだ現実はなかった。

斎で健造が1通の封筒を渡した。

「戸籍続きをするための類だ」

は受け取ったが、かなかった。

「サインすれば、正式に田へ戻れる」

「父さん」

「分かっている」

健造は穏やかに遮った。

「急がなくていい」

が顔をげる。

「田でも、本悠でもいい」

健造は窓辺へ歩いた。

「会社も財産も同じだ。おが欲しくないものを押しつける気はない」

「じゃあ父さんは、僕に何を望んでいるんですか」

健造は振り返った。

その目には、会としての鋭さはなかった。

「たまに顔を見せてくれ」

は黙った。

「それだけでいい」

20

父は探していた。

母は待っていた。

実は命をかけた。

その全てが、今になってしずつ悠へ届いていた。

「はい」

さく頷いた。

「僕も……そうしたいです」

健造の顔に、初めて父親らしい笑みが浮かんだ。

その夜。

は療養病院へ向かった。

静子は悠を見ると、すぐに笑った。

今度は誰も止めなかった。

「悠。来たのね」

は母のへ歩み寄り、を握った。

「うん。母さん」

その言で、静子の目から涙が溢れた。

も笑いながら泣いた。

「母さん。ずっと会いたかった」

「私の方が会いたかったわ」

広告

静子は息子のを何度も撫でた。

「あなたがきていてくれれば、それでいいの」

は母のを握り返した。

「僕もだよ」

病院をると、空にはていた。

ち止まり、夜空を見げた。

25

自分は捨てられただとっていた。

違った。

守られていた。

実が命をかけて。

父が20探し続け。

母がを壊すほど待ち。

実の母がきていてくれてありがとうと言ってくれた。

本悠なのか。

なのか。

もう、それほどではなかった。

企業の跡取りだから価値があるわけではない。

学歴があるからでもない。

柄があるからでもない。

自分は、自分であるだけできる価値がある。

それをようやく理解できた。

は夜空ので静かに笑った。

失われた20を取り戻すことはできない。

それでも、これから先のは自分で選ぶことができる。

父と。

母と。

自分を守ってくれたたちの記憶と共に。

はゆっくり歩きした。

それは、25探し続けてきた「へ帰る」であると同に、自分自を初めて歩き始める、しい歩だった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: