"魚臭い嫁の30万円返し" 第4話
「待てよ。へ来なくても、築祝いを渡すのは礼儀だろ」
「は?」
「おは祝いに来ない代わりに、祝いだけ座へ入れろ。で番号を教えてやる」
兄は、まるで当然のことを説するような調だった。
「30万円な」
私はわずスマートフォンをからし、画面を見た。聞き違いかとったが、通話は途切れていない。
「それからモモには、へ来るように言っておけ。族が誰も来ないなんて、の招待客から俺が慕われていない兄みたいにわれるだろ」
兄の言い分を理すると、こういうことだった。
魚臭い私たち夫婦は、居へ来てほしくない。しかし祝いは30万円払え。モモは体裁のために席しろ。
がおかしいとしかえない。
「慕うわけないでしょ」
私は呆れながら呟いた。
「あっそう。もういい」
そのまま方に話を切った。
これで諦めるとったが、兄はすぐに何度もかけ直してきた。着信音が鳴り続けるため、私は仕方なく携帯話の源を落とした。
翌、油断して源を入れると、また兄から話がかかってきた。
さすがにしつこすぎた。
築祝いとして、きょうだい1へ30万円を求するのも自然だった。兄の稼ぎは、決して悪くなかったはずである。
どうしてそこまでおを欲しがるのか。
私は着信拒否にすることも考えた。しかし独のモモに何かあった、兄を経由して連絡が来る能性もある。
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仕方なく話にはず、常にサイレントモードにしておくことにした。
兄からの着信はしばらく続いたが、私は度も応じなかった。やがて回数も減り、兄夫婦の築祝いがどうなったのかもらないまま、1いが過ぎた。
兄からの連絡が途絶えてから、もうすぐ1になろうとしていた頃だった。
休の午、突然インターホンが鳴った。
画面を見ると、玄関にっていたのはユキだった。そのろには、気まずそうに俯く兄の姿も見えた。
当然、私は居留守を使った。
しかしユキは諦めず、けたたましい音で何度もインターホンを鳴らした。所迷惑になりそうだったため、私は仕方なく玄関へ向かった。
アポイントもなく押しかけ、相がるまで呼び鈴を鳴らし続けるなど、非常識なのすることだ。もっとも、ユキは以から、非常識がを着て歩いているようなだった。
私は扉をしだけけた。
「何の御用ですか」
するとユキは、そので突然膝をついた。
「お願い、カナちゃん。助けて」
両をにつき、額を面へづける。
私はあまりの変化に、しばらく言葉がなかった。母の咳を汚いと言い、の夫を魚臭いと侮辱した女が、今は私の玄関先で座をしている。
ユキのろにつ兄の顔を見て、私はすぐに事を察した。
「もしかして、入拒否の件ですか?」
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私が尋ねると、兄夫婦はそろって頷いた。
兄が歩へた。
「おの旦の寿司へ、俺を入れるように言ってくれ。頼む」
私はわずく笑った。
「魚臭いから、入らない方がいいんじゃない?」
実際のコウのは、魚の臭さなど全くない。毎徹底して清掃し、内には檜のカウンターと酢飯の柔らかなりが漂っている。
それでも散々魚臭いと言われたのだから、しくらい皮肉を返しても罰は当たらないだろう。
ユキは顔をげ、必に言った。
「あのは私たちが悪かったわ。そんなにってるなんてわなかったの」
「あのって、顔わせのですか?」
私は腕を組み、ユキを見ろした。
「あそこまでやられて、らないがいるとってるんですか。お義姉さんののには、おでも咲き乱れてるんですか?」
ユキは唇を噛み、何も言い返さなかった。
コウの寿司は、兄の勤める会社のくにあった。しかも兄が像していたようなさな町の魚ではなく、接待にも使われることのい級だった。
兄の会社のや、取引先の役員も頻繁に利用している。
顔わせの、兄夫婦が普通に話を聞いていれば、コウのについて詳しくる会もあった。しかし2は最初から寿司を見し、こちらの話を聞こうともしなかった。
コウは、兄が私を軽んじていることにも気づいていた。
さらに、自分が切に守ってきた仕事とを愚弄されたため、兄が来しても入を断ると決めていた。