"魚臭い嫁の30万円返し" 第1話
別に、兄夫婦の築祝いへきたいわけではなかった。
あの俗で、勝で、できることなら度と顔をわせたくない2のなど、こちらから願いげだ。しかし、私を招待しないくせに、祝いだけ30万円振り込めというのは、いったいどういうつもりなのだろう。
兄は昔から、ここまでおに執着するではなかった。
何かを隠しているのなら、私がその正体を暴いてやる。そう決めたには、兄夫婦が必で守ろうとしていた秘密は、すでにあちこちからほころび始めていた。
私の名はカナ。1歳の兄・タケルと、1歳の妹・モモに挟まれて育った、45歳の女である。
齢のいきょうだいは仲が良いと言われるが、がのは必ずしもそうではなかった。幼い頃は3で遊び、兄に勉を教わった記憶もあるものの、になってからの関係は、兄の結婚を境にきく変わってしまった。
私がまだ20代だった頃、兄のタケルがユキという女性と結婚した。
ユキは、かつてモデルをしていたと自分で話していた。とはいえ、全国誌や名ブランドの広告にていたわけではなく、域の報誌に何度か載ったことがある程度らしい。
それでも本は、自分がより美しく、洗練されただと信じていた。細で背がく、装も化粧も華やかだったが、どこか周囲を見すような態度があり、私は会うたびに落ち着かない気持ちになった。
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結納のには、私もモモもユキをじの良いだとっていた。母にも丁寧にをげ、柔らかな声で「これからよろしくお願いします」と挨拶していたからだ。
今になってえば、あののユキは猫をかぶっていただけだったのだろう。
結婚、兄夫婦が初めて実へ帰省してきたのことだった。母は朝から台所にち、兄の好きな煮物や刺、炊き込みご飯まで用して待っていた。
久しぶりに族がそろうことが嬉しかったのか、母は何度も計を見ながら、料理のを確認していた。兄夫婦が到着すると、母は笑顔で玄関まで迎えにた。
事が始まってもなく、母が突然、さく咳き込んだ。
べ物が瞬気管に入っただけで、母はすぐに元をで覆い、卓とは反対の方向へ顔を向けた。邪をひいていたわけでもなく、咳もその1回だけだった。
ところが、ユキは箸を置くと、骨に顔をしかめた。
「やだ、汚い」
母は驚いてユキを見た。私とモモも、何を言われたのか理解できず、箸を持ったまま固まった。
「だから嫌なのよ。自分の親以の寄りなんて」
ユキは子を引き、勢いよくちがった。
「タケルが帰るって言うから仕方なくついてきたけど、やっぱり来るんじゃなかった。べる気なくした」
しに私もお茶でむせて咳をしていたが、そのユキは何も言わなかった。
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母が咳をしたことだけが許せなかったらしい。
母は懸命用した料理をに、申し訳なさそうに俯いた。
「ごめんなさいね。気をつけたつもりだったんだけど」
謝る必など、どこにもなかった。
私が言い返そうとした瞬、兄が先にをいた。せめて妻を注してくれるとったが、兄のからたのは信じられない言葉だった。
「母さんが汚いから嫌だったよな。ごめんな、ユキ」
兄は妻の肩へを置き、宥めるように続けた。
「寄りって臭いし、清潔がないからな。せっかく来たのに嫌ないさせたな」
「お兄ちゃん、何言ってるの?」
モモが子からちがった。く押さえた声には、はっきりとしたりが滲んでいた。
「お母さんに謝らせて、自分はその女に謝るの? おかしいでしょ」
「その女って言い方はないだろ。俺の妻だぞ」
「だったら妻に、として最限の礼儀くらい教えなよ」
もともと兄は、い方へ流されやすい性格だった。見を持っていないわけではないが、そので声のきいにわせ、面倒を避ける癖があった。
結婚してからは、その性格が完全に妻寄りへ傾いたらしい。
結局、そのは私とモモで兄夫婦をから追いした。最までっていたのはモモの方だったが、ユキはのモモが私の命令でいたとったのか、それ以、私を特に目の敵にするようになった。