みかん小説
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"赤ワインの逆転離婚" 第10話

夫は私へ話をかけてきた。

「会社に話したのか?」

声にはりと焦りが混じっていた。

「何のこと?」

「楓のことも、婚のことも、会社られてるんだよ」

私は慰謝料の支払いについて確認するため、夫の司へ事を説したことがあった。夫が今支払いを滞らせれば、与について必続きを検討する能性もあったからだ。

もちろん、職へ広めてほしいとは頼んでいない。

「支払いに関係することだから、司には必な説をしたけど」

「余計なことをするなよ!」

「浮気をしなければ、説されることもなかったでしょう」

「だから俺は騙されてたんだって言ってるだろ!」

また同じ言い訳だった。

「楓に騙されたことと、あなたが私を裏切ったことは別です」

私はそれだけ告げ、話を切った。

その、夫は会社を辞めた。

自分から退職したのか、それとも居づらくなって辞めざるを得なかったのかはらない。りたいともわなかった。

噂というものは恐ろしい。

誰がどこで話したのか分からないまま、からへ形を変えながら広がっていく。夫の司が誰かへ漏らしたのか、レストランに居わせた客のに関係者がいたのか、それとも夫自が同僚へ相談したのかもしれない。

私には関係のないことだった。

夫は仕事を辞めた、実へ泣きついたらしい。

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しかし夫の両親も、息子が浮気相を妻との話しいのへ連れてきたことに呆れ、簡単には受け入れなかったという。

度だけ、元義母から話があった。

「恵さん、本当に申し訳ありませんでした」

震える声で謝られ、私は返す言葉に迷った。

元義母がしたことではない。夫のについて、親が責任を負う必はないとっていた。

「お義母さんが謝ることではありません」

「でも、あの子があんなことをするなんて……」

元義母は話の向こうで泣いていた。

「あなたを切にするように言ってきたつもりだったのに」

私は静かに息を吐いた。

「もう終わったことです。私はこれから自分の活を切にします」

元義母は何度も謝った話を切った。

夫が実を追い返されたという話を聞いたのは、そのだった。

それ以、夫がどこで何をしているのかは分からない。んでいた部も引き払い、連絡先も変えたらしい。

方を調べようとはわなかった。

、私の活に関わってこなければ、それでよかった。

楓についても、警察から必な確認を受けたは詳しいことを聞かなかった。彼女が夫以にも複数の男性へづき、を受け取っていたことだけはらされた。

夫は、その勢のの1にすぎなかったのだ。

自分だけが特別にされていると信じ、妻を捨てようとした結果、庭も仕事も失った。

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夫が欲しがっていた「自分を持ちげてくれる魅力な女性」は、最初からどこにもいなかった。

いたのは、夫が聞きたがっている言葉を並べ、を引きす詐欺師だけだった。

久しぶりに独へ戻った私の活は、っていた以適だった。

結婚していたよりも、ともに調子がいい。朝起きた体が軽く、仕事から帰る途も、以のようにの空気を像して憂鬱になることがなくなった。

婚するまでは、自分がそれほどきなストレスを抱えているとは気づいていなかった。

夫の帰宅を気にする。

料理を用するべきか迷う。

話しかけた嫌を探る。

たい返事をされても、自分が悪かったのではないかと考える。

そんなさな負担が毎積みなり、私のしずつ削っていたのだろう。

1になった今は、夕を作りたいは好きな料理を作り、疲れたは惣菜やカップ麺で済ませる。映画を見たいには途で文句を言うもおらず、自分が気に入った作品を何度でも見られる。

酒をみながらを言いう相がいないことを、しだけ寂しいとう夜もあった。

けれど、否定されながら誰かと過ごすより、穏やかに1でいる方がずっといい。

仕事にも集できるようになった。

のことが気になり、残業をするたびに罪悪を覚えていた。

今では余計な配をせず、自分の判断で仕事の予定を組める。

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