みかん小説
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"赤ワインの逆転離婚" 第8話

とても慎な詐欺師とはえなかったが、その浅はかさが結果に逮捕へつながったのだろう。

パトカーがからる。

騒然としていた内は、ようやく静けさを取り戻し始めた。周囲の客たちもしずつ会話を再したが、まだ折こちらを気にしている。

夫はそのに座り込んでいた。

自分がしているとまで言った女が、実は結婚詐欺師だった。その事実を受け止められず、を見つめたままけなくなっている。

私はそんな夫を度だけ見ろし、困った顔をしている員へ向き直った。

「本当に申し訳ありませんでした」

げると、濡れた髪から赤い雫がへ落ちた。

のことは、こちらのが対応しますので」

私は夫を示した。

夫は顔をげたが、何も言わなかった。

私にはもう、このに残る理由がない。へ帰り、ワインの匂いが染みついた髪と体を洗い流したかった。

に、私はバッグから財布を取りした。

自分がべた分だけ支払おうとしたが、員は今は受け取れないと言った。警察への説の損害について、まず夫と話しう必があるらしい。

「それでは、はこのとお願いします」

私はもうげ、夫を残してた。

が、ワインで濡れた肌に触れた。

いワンピースは赤黒く染まり、周囲のから見れば何が起きたのか分からない姿だっただろう。

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それでも、議と恥ずかしさはじなかった。

夫へのも期待も、あのへ置いてきた。

帰宅すると、私はすぐに浴へ入った。

シャワーを浴びながら、髪から流れ落ちる赤いを見つめた。何度洗ってもワインの匂いが残っている気がした。

夫の言葉も同じだった。

私に魅力がない。

夫を放っておいた私にも責任がある。

慰謝料は払わない。

どれも簡単には洗い流せそうになかった。

それでも涙はなかった。

しみよりも、夫というをようやく正しく見ることができた堵の方がきかったのかもしれない。

私は呂からがると、寝から必類を取りした。夫が帰宅しても同じ部で眠るつもりはなく、その夜は客へ布団を敷いた。

夫が帰ってきたのは、付が変わるだった。

玄関の扉がき、音が廊んでくる。やがて客で止まり、控えめに扉が叩かれた。

「恵、起きてるか?」

私は返事をしなかった。

「話をさせてくれ」

夫の声は、レストランで聞いたものとは別のように々しかった。

「俺は騙されてたんだ。楓が詐欺師だなんて、本当にらなかった」

布団ので目を閉じる。

夫は自分が騙された被害者だと言いたいのだろう。しかし楓が詐欺師だったことと、夫が浮気をしたことは別の問題だった。

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「俺がしてるのは、恵だけだ」

どのしていると言うのか。

まで、私には魅力がない、楓と緒になりたいと宣言していた。その言葉をなかったことにはできない。

「もう度だけ、やり直す会をくれないか」

私は体を起こし、扉の向こうへはっきり伝えた。

婚について話しましょう」

夫は息を呑んだ。

「待ってくれよ。俺は騙されてたんだぞ」

「騙されていたとしても、浮気をしていたことは事実でしょう」

「でも……」

「私と婚すると言ったのも、私に責任があると言ったのも、あなた自です」

扉の向こうから返事はなかった。

私は布団へ戻り、もう度目を閉じた。

その夜、夫が扉のにどれほどっていたのかはらない。

翌朝には、そこに誰もいなかった。

夫との婚は、当然ながら簡単にはまなかった。

レストランでは私とやっていけないと断言していたのに、楓が結婚詐欺師だと分かった途端、夫は婚を拒むようになった。

「俺は本気で婚したいとっていたわけじゃない」

テーブルを挟んで向かいうと、夫は何度も同じ言葉を繰り返した。

「楓にうまく誘導されてたんだ。あいつが恵とは別れた方がいいって言うから、その気になっただけで」

「30歳を過ぎたが、言われるままに浮気をしたの?」

夫は唇を噛み、線を落とした。

「寂しかったんだよ」

「それなら、どうして私に話さなかったの?」

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