"消えた仕送り720万円" 第8話
調は2回にわたった。
最終な内容は、婚の成。
720万円を5の分割で返還すること。
慰謝料として200万円を支払うこと。
から当に締めした為について、追加で50万円を支払うこと。
さらに、信吾の退職と自宅売却益の半分を、財産分与として私に渡すことだった。
支払総額は、1000万円をきく超えた。
信吾は最まで、母に言われてしただけだ、自分も被害者だと訴えていた。
しかし調委員から告げられた言葉は、確だった。
「被害者は奥様と、そのお母様です。あなたは加害者です」
私は信吾へ、つだけ伝えてもらった。
「12、母はもつけられず、満な事もできず、1で耐えていました。720万円は、単なる数字ではありません。母が失った12の活そのものです」
その言葉に、信吾は何も答えなかったという。
最の調の、が読みげられた。
つずつ条件を確認し、弁護士が問題ないと頷く。
私はペンを持った。
議と、は震えなかった。
30の結婚活に終止符を打つという現実はい。それでも同に、い嘘と裏切りを清算する瞬でもあった。
私は署名欄に、楠富代といた。
この名をくのは、これが最だった。
婚は、旧姓の福島へ戻る。
母と同じ姓に戻るのだ。
裁判所のへると、の終わりのが頬を撫でた。
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入りのには、すみれが待っていた。
「終わった?」
「終わった。全部」
その言葉をにした瞬、全から力が抜けた。
すみれは何も言わず、私を抱きしめてくれた。
「本当によく頑張ったわね」
「すみれさんがいなかったら、今でもあのでしてたとう」
「私はきっかけを作っただけ。ちがったのは、富代さん自よ」
帰りにへ寄ると、すみれはのを使った束を2つ作ってくれた。
1つは私に。
もう1つは母に。
ピンクのチューリップといかすみが、の訪れを告げるように揺れていた。
その、義族の活は変した。
信吾は返還と慰謝料、財産分与の支払いを背負った。妻の母への仕送りを横取りしていた事実が会社にもられ、職での信用を失った末、自ら退職したという。
義母は、信吾の収入と私の仕送りを同に失った。
級な菓子を買い、の効いた部で暮らしていた活は終わった。所のが、義母がスーパーの特売品を探している姿を見たらしい。
敏も、義母からの援助を受けられなくなった。
美容院やネイル、しいバッグに使うがなくなり、ようやくパートの仕事を始めたという。
そして、私が30事を続けてきたは、返済資を作るために売却された。
信吾と義母、敏の3は、さなアパートで暮らし始めた。
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義母は「信吾がだらしないから、こんなことになった」と息子を責めた。
信吾は「母さんに言われたからやったんだ」と義母をんだ。
敏は「私は関係ないのに巻き込まれた」と2に文句を言った。
かつて私に向けられていた暴言は、今では3のをき交っているという。
で結びついていた族は、その供源を失った途端、あっけなく崩れた。
の訪れとともに、母のアパートへ差し込む差しがにに柔らかくなった。
私はの仕事を続けながら、母との活を始めた。
通勤にはがかかるため、いずれ職のくへ2で引っ越すことも考えている。
母の卓には、季節の材が並ぶようになった。
蔵庫には肉や魚、野菜が入り、灯油缶にはきちんと灯油が入っている。寒いにはをつけ、無理にすることはなくなった。
「今はしかいから、エアコンをくしてもいいかしら」
母がリモコンをに尋ねる。
「寒くなったら、すぐにつけるのよ」
「分かってるわよ」
母は笑った。
以はこけていた頬に、わずかに丸みが戻っている。声にも張りがあり、所の友と散歩へかけるも増えた。
すみれにもらったガーベラを卓に飾ると、母は顔をづけてりを楽しんだ。
「きれいねえ」
「すみれさんが、お母さんにって」
「いいお友達を持ったわね」
夕は、菜と豚肉の鍋だった。
湯気の向こうで、母が穏やかに笑っている。
「富代、今が番幸せよ」
「今が?」
「あんたがそばにいてくれるでしょう。
それだけで、何もいらないわ」
私は母の茶碗に、柔らかく煮えた菜を取り分けた。
広いも、贅沢な暮らしも必ない。
切なのそばで、温かい卓を囲む。
それだけで分なのだ。
失ったは戻らない。
母が寒さに耐え、空腹をした12を、なかったことにはできない。
けれど、これからの々は、母と私のものだ。
奪われたおは、しずつ戻ってくる。
そして何より、母の笑顔が戻った。
ではを待つが、古い窓ガラスをさく揺らしていた。
の効いた部で、鍋の湯気がゆっくりと井へ昇っていく。
私は母の温かいを見つめながら、静かにった。
もう度と、このを寒さのに置きりにはしない。
そして私自も、誰かのために耐えることだけをだとわない。
これからは、自分のためにもきていく。
母と同じ、福島富代として。
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