みかん小説
本棚

"楽譜鞄の13年" 第9話

しかし、それで終わりではなかった。

「では、遺骨はどうしてに埋まっていたんですか」

が尋ねると、美く黙った。

やがて、かすれた声で言った。

「1くらい経ってから、戻ったんです」

「なぜ」

「さやかがきているかもしれないといました。それに、もしくなっていたら、私の痕跡を消さなければならないとってしまったんです」

りを抑えながら尋ねた。

「戻った、妹さんの状態は」

たくなっていました。脈を取りました。何もじませんでした」

「最初に救急を呼んでいれば、助かったかもしれない」

の声はく震えていた。

は泣きながら頷いた。

「分かっています。それが、私を苦しめています」

その、美は周囲にがいないことを確認し、さやかの体を引きずってがった。

さやかは痩せていた。

それでも、成女性の体を運ぶのは容易ではなかった。美は何度もち止まり、息を切らしながら、々のんだ。

200mほどがった所。

が茂り、目につかないくぼ

そこで美は、や枝を使って穴を掘った。

は固く、爪のが入り、は傷だらけになった。それでも彼女は掘り続けた。

そして、さやかの体を埋めた。

楽譜鞄も緒に隠した。

ショパンの楽譜。

コンクールのためにき込まれたメモ。

これから世界へ向かうはずだった

広告

それらもすべて、へ埋められた。

「そうして13、何も言わずにきてきたのですか」

が尋ねると、美さく頷いた。

取調には、い沈黙が流れた。

やがては、証言調を閉じた。

「松本美さん。あなたを逮捕します」

は抵抗しなかった。

俯いたまま、錠をかけられた。

415、検察は美を起訴した。

しかし裁判での争点は、彼女に最初から命を奪う図があったかどうかだった。弁護側は、計画な犯ではなく、言い争いので起きた偶発な事故だと主張した。

「被告は妹をさせる図はありませんでした。押した結果、偶然部を打したのです」

検察は反論した。

「被告は1988にも妹の指をに傷つけています。1991も、コンクールを妨げるため、妹のを傷つけようとしています。さらに、事故に救護措置を取らず、遺体を遺棄し、13隠蔽しました」

裁判はきな関を集めた。

才ピアニストの失踪。

13に見つかった楽譜鞄。

そして、最もだった姉の嫉妬。

々は、その事実に言葉を失った。

初公判の、美は痩せこけた顔で法廷に入ってきた。

裁判が尋ねた。

「被告、起訴内容を認めますか」

さな声で答えた。

部、認めます」

「どの部分を否認しますか」

「私は、さやかをなせるつもりはありませんでした。

広告

事故だったんです」

検察は、彼女が妹の指を傷つけようとしたことをした。弁護側は、指を傷つけようとしたことと、命を奪う図は別だと主張した。

として、松本夫妻も廷した。

母の恵は証言台につと、すぐに泣き崩れた。

「うちのさやかは優しい子でした。1988に指を怪したも、美をかばってくれました」

裁判が尋ねた。

「被害者が被告をかばったのですか」

恵は涙を拭いながら頷いた。

「はい。さやかは、お姉ちゃんのせいにしないでと言いました。事故だったと」

父の孝志も証言した。

彼はく沈黙した、静かに言った。

「私は、2の娘を同じようにしていました。美がさやかのに隠れているとじていたなら、それは私の責任でもあります」

そこで度、声が詰まった。

「でも、それが妹を傷つけ、見捨て、13も隠す理由になりますか。私たち夫婦は、娘がどこにいるかも分からないまま、獄のような々を送りました」

裁判は美線を向けた。

「被告、言いたいことはありますか」

がり、両親へげた。

「ごめんなさい。本当にごめんなさい」

しかし、謝罪で取り戻せるものは何もなかった。

630、最終弁論がわれた。

検察は厳しい処罰を求めた。

「被告は嫉妬から妹を害そうとし、事故も救護せず、遺体を隠し、13嘘をつき続けました。

これは極めて悪質です」

弁護側は状酌量を求めた。

「被告く反省しています。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: