"楽譜鞄の13年" 第7話
学の裏周辺は、当から通りのない所だった。へ続くがあり、その先には宅があった。
刑事たちは、13ぶりに周辺民への聞き込みを始めた。
ほとんどのは、当のことを覚えていなかった。
しかし、1の証が現れた。
裏くのさな商を経営していた菊哲夫、68歳である。
彼は刑事たちの質問を聞くと、眉をひそめて言った。
「1991のあの頃、変なことがありましたよ」
「どんなことですか」
「5旬だったといます。夕方7頃、若い女の子がのを通りました。から血がていたんです」
刑事たちはを乗りした。
「顔は見ましたか」
「暗くてよく見えませんでした。でも、学のようでした。鞄を持っていましたから」
「どちらへ向かいましたか」
「の方へがっていきました」
「通報はしなかったんですか」
菊は首を振った。
「そのは、転んで怪をしただけだとったんです。で失踪事件のニュースを見ても、まさかあの学だとはいませんでした」
刑事たちは、すぐにの捜索を始めた。
学裏から300mほどれたは、うっそうとした々に覆われていた。らしいはなく、普段からがあまり入らない所だった。
捜索隊が入り、刑事たちも直接をかき分けながらんだ。いのに形はし変わり、々も伸びていた。
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だが、さやかが向かった能性がある以、見落とすことはできなかった。
200447。
の腹、里かられた所で、古びた鞄が発見された。
にさらされ、革はひび割れていた。だが完全には朽ちていなかった。
刑事が慎にくと、には楽譜が数枚入っていた。は湿気で傷み、端はぼろぼろになっていたが、文字はかろうじて読み取れた。
それは、松本さやかの楽譜鞄だった。
鞄が見つかった所から約10mれた、の裏のくぼんだ所。
そこをさらに掘ると、骨が発見された。
13ぶりに、松本さやかが見つかった瞬だった。
翌48、国科学捜査研究所で検査が始まった。
骨は慎に並べられた。類はほとんど腐敗して失われていたが、部の繊維片と属ボタンが残っていた。
法医学者の伊藤博士は、骨を1つずつ確認した。
「の齢は20代半と推定されます。女性です」
が尋ねた。
「因は」
伊藤博士は蓋骨を指した。
「部に骨折があります。鈍器による打撃、あるいは転倒によるい衝撃と見られます。事故の能性もありますが、者が関与した能性も排除できません」
さらに、薬指には古い骨折の痕跡があった。
それはのものではなかった。なくとも数の骨折で、治療された痕跡があった。
は、さやかの医療記録を確認した。
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1988、さやかが19歳の、薬指を骨折して病院で治療を受けた記録があった。当の診断には、練習にピアノの蓋で指を挟んだ事故と記されていた。
DNA鑑定の結果、遺骨は松本夫妻と親子関係を示した。
松本さやかで違いなかった。
警察署でそのらせを受けた母の恵は、そのに崩れ落ちた。
「さやか……うちの娘……」
父の孝志は何も言わず、ただ涙を流した。
13、彼は娘がいつかきて帰ってくるかもしれないと信じ、引っ越しもせず、話番号も変えずに待ち続けていた。
戻ってきたのは、骨だった。
は慎に尋ねた。
「1988に、さやかさんが指を怪したことがありましたね」
恵は涙を拭いながら頷いた。
「はい。練習の事故でした」
「正確には、どのように」
「ピアノの蓋が急に閉まって、指が挟まったと聞きました」
「その、1でしたか」
恵はし考えた。
「いいえ。の娘の美がそばにいました。美が慌てて蓋を持ちげて助けたと」
「美さんは、何と言っていましたか」
「ごめんなさいと泣いていました。自分がうっかり蓋に触ったと」
はメモを取った。
1988の指の怪。
1991の失踪。
姉の美。
すべてが1本の細い線でつながり始めていた。
411、美は再び呼びされた。
今回はこれまでと空気が違っていた。遺骨が発見され、因につながる蓋骨の損傷も確認されていた。
は静な声で尋ねた。
「1988、妹さんの指が折れた件を覚えていますか」
美の顔がこわばった。
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