"弁当箱の中の復讐" 第2話
空いたにはテレビを見ながら緒におしゃべりをしてくれたし、私が好きな『必殺仕事』の再放送を見るのも嫌がらず、隣に座って楽しんでくれた。
ちなみに久は、再放送の代劇など見る気がなかった。
「昔の俳優とかよく分からんし、寄り臭いよ」
そんなことを言って、緒に見てくれない。
だからこそ、趣を共できる美のは本当にありがたかった。夫と楽しんでいたが戻ってきたようにじたからだ。
毎が穏やかで、優しい族に囲まれている。
そうっていた。
けれど、ある、その穏やかな嫁の裏側を見てしまった。
その、私は廊を歩いていた。
ゆりえの部の様子を見にこうとした、リビングの奥から美の声が聞こえた。最初は誰かと楽しそうに話しているのだとった。けれど次の瞬、その声に混じった言葉の鋭さに、私はわずを止めた。
「そうなのよ、本当、あのお局ったら鬱陶しい。毎毎、挨拶がなってないだの何だの、さいことをグチグチと」
美の声は、普段の柔らかいものとはまるで違っていた。
「そんな負け組のしわくちゃ女、く退職すればいいのに」
私はを疑った。
廊の壁にを添えたまま、息を殺した。話の美は、私に気づいていないようだった。
普段の美からは像もつかないような罵声だった。
広告
穏やかで、いつもにこにこと笑い、私にお茶を淹れてくれる嫁。そんな彼女のから、あんなに激しい言葉がるとはってもみなかった。
正直、嫁の裏側を見てしまったような気持ちになった。
けれど、私はその、あまりく考えないようにした。
私にも若い頃、いわゆる職のお局様に困らされた経験がある。挨拶の声がさいとられ、きな声をせば今度はうるさいと言われた。声のボリュームをげると、「昨声がさいと言ったばかりなのに、分かっていないのか、この無能」と鳴られた。
するに、どの音量で挨拶しても、気に入ってもらえなかったのだ。
美も、そういう司に悩まされているのだろう。
親しい友相に激しい言葉で愚痴るくらい、仕方ないのかもしれない。
私はそう考えることにした。
それから何度か、美が誰かに話をしながら、職への満を激しい言葉で吐きしている面を目撃した。
「また言ってるわ」
そういながらも、私はなるべく聞かないふりをした。嫁も苦労しているのだろう。憫だとった。では笑顔で働き、では私や久ので穏やかに振るっているのだから、話のでくらい毒を吐きたくなることもあるだろうと、自分を納得させた。
しかし、違はしずつ形を変えていった。
広告
ある、買い物帰りに所のたちの集団と遭遇した。私は買い物袋を持ったまま、いつものようにをげた。
「こんにちは」
その途端、所のたちが「ちょっと、ちょっと」と私の方へ駆け寄ってきた。
突然囲まれ、私は戸惑った。
「えっ、はい。どうかなさいました?」
配の女性が眉をひそめながらをいた。
「息子さんのお嫁さん、あの子どうなってるの?」
「うちの嫁が、どうかしたんですか?」
「どうもこうもないわよ。あの子、ゴミ捨てのにネットをかけずに放置していくから、毎回ゴミがカラスに狙われて変なの」
私はわず目を見いた。
「え、そうだったんですか。それは失礼いたしました。よく言っておきます」
「本当にもう、私たちも顔を見るたびに再注してるのよ。でも全然直らないの。しっかり厳しく言っておいてね」
私はにしていた買い物袋をし握り直した。
同居してから、美は私の体を気遣ってくれていた。ゴミ袋はいので私がやりますよ、と言ってゴミ捨て担当にもなってくれていた。私が見ている限り、ゴミの分別に問題があるようには見えなかったし、雑に作業をする印象もなかった。
さすがにネットの使い方が分からないなんてことはないだろう。
いや、もしかしたら域ごとのルールに慣れていないだけなのか。
私は返事に困り、曖昧に頷いた。
すると、別の所のが話を続けた。
「それに、このの町内会の会も来なかったでしょう」
広告
おすすめ作品
-
完結第9話
雨の日の給食費制裁
雨の夕方、小学3年生の孫・明里が、びしょ濡れのまま私の家へやって来た。 小さな手に握られていたのは、学校から届いた給食費滞納のお知らせ。 「パパとママは?」 そう尋ねると、明里は泣きながら答えた。 「もう1人のばぁばと、お鮨を食べに行ったの……」 孫の給食費すら払わず、私が明里のために渡していたカードで、嫁とその母親は贅沢三昧。ブランド品、高級料理、見栄のための浪費。その裏で、明里は古い服と短くなった鉛筆を使い、泣きながら我慢していた。 その夜、私はカード会社へ電話をかけた。 「今すぐ停止してください」 それは、すべての援助を断ち切る合図だった。 しかし彼女たちは、まだ知らない。 止まったのはカードだけではない。これまで築いてきた見栄も、地位も、逃げ道も――すべてが静かに崩れ始めていた。嫁姑|親子関係1.3萬字5 133 -
完結第12話
無能嫁のタワマン逆転
73歳の玲子は、75歳の夫と45歳の息子・徹と暮らしていた。 夫は昔ながらの価値観を持つ元銀行員。家事も育児もすべて玲子に任せてきたにもかかわらず、完全退職後、家にいる時間が増えると、徹と玲子を見下すようになる。 「独身無職の親のスネかじりと、無能な嫁は出ていけ」 そう怒鳴られた瞬間、玲子は静かに決意した。 夫は知らなかった。引きこもりだと思い込んでいた息子が、実は在宅で高収入を得るフリーのエンジニアになっていたことを。そして、長年“何もしていない嫁”と見下していた玲子にも、正当な権利と新しい人生が残されていたことを。 2か月後。 玲子と徹が暮らすタワーマンションの前に、夫が現れる。手には、かつて玲子が好きだったコンビニスイーツ。 追い出したはずの妻と息子が、なぜ自分より豊かに暮らしているのか。 昭和の価値観にしがみついた夫が、ようやく失ったものの大きさに気づく――。相続|親子関係1.8萬字5 380 -
完結第11話
お年玉泥棒の末路
義母の文江さんと夫、そして小学2年生の娘と穏やかに暮らしていた直美。 ただ1つの悩みは、週に1度のように実家へ来ては夕食を食べ、嫌味を言い、冷蔵庫の中の物まで勝手に持ち帰る義姉・美佐子の存在だった。 正月、義姉が北海道土産として持ってきた生ハムを食べた義母が、突然の食あたりで入院する。直美たちは毎日病院へ見舞いに通ったが、その間に家の中では不可解なことが起きていた。 冷蔵庫から消えたプリンとゼリー。 買い置きの缶詰やビール。 そして、義母が孫のために用意していたはずのお年玉まで、忽然と姿を消していた。 そんなある日、直美のもとに義姉から電話がかかってくる。 「お年玉ありがとう。明日迎えに行くから、よろしくね」 一体、義姉は何を勘違いしているのか。 そして、白い封筒に隠されていた“本当の予定”とは――。 長年言われっぱなしだった嫁が、家族を守るために初めて声を上げる、正月の逆転劇。嫁姑|親子関係1.6萬字5 578 -
完結第9話
五度目のドタキャン弁当
娘の運動会当日、姑から突然の電話が入った。 「やっぱり今日は長男孫の誕生日会に行くから」 これでドタキャンは5回目。朝4時から作った唐揚げ、卵焼き、ミートボール、娘のために詰めた重箱いっぱいのお弁当は、また姑の気まぐれに振り回されることになった。 しかも姑は、普段から長男家族ばかりを優先し、次男の娘であるゆいを平気で比べて傷つけてきた人だった。 落ち込む娘を見て、母はついに心を決める。 もう、姑のわがままに振り回されない。 そんな中、運動会の昼休み、親が仕事で来られず1人でいたクラスメイトの男の子を、ゆいがお弁当に誘う。 「ママ、よかったね。いっぱい作って正解だったね」 姑に踏みにじられたはずのお弁当は、思いがけない出会いをつなぎ、やがて家族の未来を大きく変えていく――。嫁姑|親子関係1.4萬字5 570 -
完結第8話
孫が暴いた毒の食卓
58歳の礼子は、夫・国彦と5歳の孫・陽太と静かに暮らしていた。 息子夫婦を事故で亡くして以来、陽太だけが礼子の生きる支えだった。だが、その頃から礼子の体には異変が起き始める。めまい、吐き気、強い眠気、原因不明の体調不良。病院では「心労」と言われ、夫が勧めるサプリメントと手料理を信じて口にしていた。 そんなある日、リビングで陽太とテレビドラマを見ていた礼子は、孫の何気ない一言に凍りつく。 「あ、これジイジのと同じだ!」 画面に映っていたのは、錠剤を砕いて料理に混ぜる場面だった。 昨日、夫は台所で何をしていたのか。礼子の体調不良は本当に偶然だったのか。そして、夫が優しい顔の裏で隠していた“とんでもない秘密”とは――。 孫の一言をきっかけに、崩れかけていた日常の真実が静かに暴かれていく。夫婦|親子関係1.3萬字5 707 -
完結第17話
田舎姑の一億円裁き
息子の結婚式の日、佐藤かよ子は新婦レナから、招待客の前で「田舎くさい年寄り」と侮辱された。 京都で小さな京友禅の工房を守り、女手ひとつで息子を育ててきた母。けれど、息子は妻を止めることもなく、ただその場で黙っていた。 涙を見せず、笑顔で披露宴を終えたかよ子は、帰りの新幹線の中で静かに決意する。 この屈辱は、絶対に忘れない。 やがて、息子夫婦は会社の資金難に陥り、見下していたはずの母に助けを求めてくる。だが彼らは知らなかった。 “田舎の年寄り”と笑ったその母が、実は彼らの人生を一瞬で変えるほどの力を持っていたことを。 そして、1億円の融資契約に隠された本当の意味を――。親不孝|親子関係2.5萬字5 804 -
完結第8話
十一年目の父欄
11年ぶりにアメリカから帰国した高村浩は、実家の玄関に並んだ2つのランドセルを見て言葉を失う。 母が1人で暮らしているはずの家に、小学生の男の子と女の子がいた。しかも、学校の書類に書かれていた姓は「高村」。母は「知り合いの子を預かっているだけ」と言うが、浩の胸には消えない違和感が残る。 やがて彼は、母の部屋で一枚の戸籍謄本を見つける。 そこに記されていたのは、優太とひなという二人の子どもの名前。そして、父の欄にあったのは、11年間何も知らず海外で生きてきた自分自身の名前だった。 なぜ母は、二人の子どもを隠して育てていたのか。 11年前、浩が日本を離れた後、この家で何が起きていたのか。 帰国した息子が知ることになるのは、母が一人で抱え続けた秘密と、失われた11年の重さだった。親子関係1.1萬字5 566 -
完結第28話
70 円扱いされた 31 万仕送り~贔屓する義両親との決別
毎月 31 万円、節約しながら義両親へ仕送りを続けていた嫁。 だけど義両親は義妹の 20 万円だけを褒め、私の 31 万を「たった 70 円」と侮辱。 理不尽な言葉に我慢の限界、一言「じゃあ仕送りやめます」と宣言。 翌月から完全に送金を断ったら、義実家の生活が一気に崩壊し… 義両親の豹変ぶりがリアルで胸がスッキリ! 親族の偏った贔屓、見返りを求める義両親に苦しむ嫁必見の実話。嫁姑|夫婦|親子関係|金銭問題4.3萬字5 1254 -
完結第6話
失敗作のグッバイ
「息子は天才なのに、孫は中卒の嫁が産んだ失敗作ね」 姑が笑いながら放った一言で、奈々子と夫・涼介は義両親との同居を終わらせ、完全に縁を切ることを決めた。 妊娠中から「賢い子を産め」と干渉され続け、息子・徹が生まれてからも、義母は知育玩具や勉強を押しつけてばかり。まだ幼い徹が文字に興味を示さないだけで、義母は勝手に“できない子”と決めつけていた。 そしてある日、徹を「失敗作」と呼ぶ声を、奈々子と涼介は聞いてしまう。 それから10年。 一切の連絡を無視し続けていた義両親から、突然「孫に会わせてほしい」と連絡が入る。きっかけは、徹が全国大会で優勝し、新聞に載ったことだった。 今さら孫を認めようとする義両親。 しかし、玄関先に現れた徹が最初に口にしたのは、思いもよらない言葉だった――。人生逆転|親子関係8.7千字5 359