"白い車の義兄" 第5話
志が以よく通っていた堂。
主の斎藤は、し考えながら言った。
「そういえば……事件のから急に来なくなりました」
「は週に3、4回は来ていたんですが」
刑事は尋ねた。
「事件には何か変わった様子はありませんでしたか」
斎藤は記憶をたどった。
「ありました」
「事件の数です」
「何か焦っているようでした」
「事をしながら何度も計を見ていました」
「いつもよりく帰りましたね」
その付を確認すると――。
921か22頃。
まゆが失踪する3だった。
偶然なのか。
それとも準備していたのか。
刑事は帳に付をき込んだ。
しかし、その直。
予の物が警察署へやって来た。
まゆの兄だった。
兄は子に座ると、真剣な表で言った。
「刑事さん……志さんを疑っていますよね」
刑事は黙った。
兄は続けた。
「でも、違います」
「あのじゃありません」
「私には分かります」
「どれだけ懸命、妹を探してくれたか……」
兄の目には涙が浮かんでいた。
刑事はその姿を見つめた。
番くにいるほど、真実を見ることができない。
には、信じたい気持ちが現実を見る目を曇らせる。
刑事はそうじていた。
しかし、その点ではまだ何も言えなかった。
証拠がなかったからだ。
その、警察は志を直接追及するのではなく、周囲からしずつ包囲する方針を取った。
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そして調べをめるで、志の勤務先からな事実が判した。
924。
志は午、横浜の取引先へった。
午1から勤していた。
つまり。
午840分から午1まで。
約4の空がしていた。
その空こそが、事件の鍵になる能性があった。
刑事は図を広げた。
横浜。
柄。
田原。
線を引いていく。
すると、そのの先にある所が浮かびがった。
通りのない林。
そして、そのくにある貯。
しかし、証拠は見つからなかった。
失踪から20目。
警察は貯周辺を捜索した。
12の捜索隊がのを探した。
たいが吹くの。
落ち葉を踏みながら、隊員たちは隅々まで確認した。
しかし――。
何もなかった。
捜索は空振りに終わった。
その結果、捜査の勢いは急激にまった。
志への捜査も事実、保留となった。
だけが過ぎていった。
1996の。
そして1997の。
まゆという名は、未解決事件の資料のへ静かに埋もれていった。
1997。
事件から1が過ぎた。
しかし、まゆは戻らなかった。
姉のあき子は、精神に限界を迎えていた。
妹を待ち続ける毎。
いつ帰ってくるか分からない。
その苦しみは、しずつ体を蝕んでいった。
病院ではい精神な障害と診断された。
あき子はほとんどへなくなった。
そんな妻を支えていたのが、志だった。
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病院へ連れてく。
薬を管理する。
事を作る。
周囲の々は言った。
「本当に優しい旦さんですね」
「妹さんを失って、奥さんまで苦しんでいるのに……」
志はその言葉を聞くたび、静かに頷いていた。
兄もまた、彼を疑いたくなかった。
疑った瞬。
これまで7、緒に妹を探してきたがすべて嘘になる気がしたからだ。
1999。
あき子はくなった。
妹が消えてから24ヶだった。
原因は病気による併症。
しかし兄にとっては、妹を失った苦しみが姉の命まで奪ったようにじられた。
葬儀の。
志はで涙を流した。
参列者は彼の肩を抱いた。
「奥さんも妹さんも……本当に辛いですね」
兄もまた、志のを握った。
「今までありがとう」
そのもまだ、信じていた。
その、志は田原をれた。
「妻とのいがすぎて、この町では暮らせない」
そう話したという。
兄は理解した。
志は横浜へ引っ越していった。
連絡は盆や正に来る程度になった。
それでも兄は謝していた。
苦しいを緒に耐えてくれただとっていた。
しかし。
2001頃。
兄は奇妙な噂を聞いた。
志が横浜でしい女性と付きっているという話だった。
妻をくしてから2。
兄は最初、特に気にしなかった。
はではきていけない。
そうったからだ。
だが。
相の女性の話を聞いた瞬。
胸にさな違が残った。
女性は建築資材関係の仕事をしていた。
齢は20代半ば。
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