"無能嫁のタワマン逆転" 第12話
窓のには、駅のかりが静かに瞬いています。
「母さん、ここに来てよかった?」
徹がふいに尋ねました。
私は湯呑みを両で包み、し考えてから答えました。
「ええ。よかったわ。あのをて、本当によかった」
徹はほっとしたように笑いました。
「母さんがそう言ってくれるなら、俺もした」
私は息子の顔を見ました。
かつて、疲れ切った顔で夜に帰宅していた息子。
父親の言葉に傷つき、自分の部にこもっていた息子。
その息子が今、私ので穏やかに笑っています。
それだけで、私は分でした。
夫は、私たちを追いしたつもりだったのでしょう。
「無能な嫁」と「親のスネかじりの息子」をから排除し、自分だけが正しいと証したかったのかもしれません。
けれど、実際にをたことで自由になったのは、私たちの方でした。
そして1残されたのは、夫でした。
昭の価値観にしがみつき、事も活も誰かに任せきりで、を見すことでしか自分を保てなかった。
夫は今、自分のと向きわざるを得なくなっています。
私はもう、そのを支える妻ではありません。
けれど、憎しみだけで過を見つめるつもりもありません。
い結婚活のには、確かに穏やかなもありました。徹がまれた、夫が器用に抱きげた姿。族で旅へった。
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義両親を見送った、2で黙ってお茶をんだ夜。
それらも嘘ではなかったといます。
ただ、私たちはあまりにもい、夫の価値観にわせすぎました。
そして、もうその代は終わったのです。
私は湯呑みを置き、静かに言いました。
「これからは、じゃなくて、選んできていきたいわ」
美奈さんが優しく微笑みました。
「玲子さんなら、できます」
徹も頷きました。
「俺たちも緒にいるしね」
その言葉に、胸の奥が温かくなりました。
私はもう、誰かの価値観に縛られる妻ではありません。
無能な嫁でもありません。
息子もまた、親のスネをかじる無職の引きこもりではありません。
それぞれが傷つきながらも、自分のでちがり、しい所へんだのです。
窓のでは、夜のが静かに輝いていました。
タワーマンションの層階の部から見えるその景は、決して派ではありません。けれど、私には分でした。
すぎない所から、してを眺める。
それが、今の私にとってちょうどいい幸せでした。
の再発に、齢は関係ありません。
73歳でも、をることはできます。
45歳でも、もう度働き方を見つけることはできます。
そして、いしてきたでも、自分のを取り戻すことはできるのです。
私は目のにいる息子と美奈さんを見つめ、静かに微笑みました。
「これからも、よろしくね」
2は同に頷きました。
「こちらこそ」
その夜のお茶は、いつもよりし甘くじました。
私たちのしいは、まだ始まったばかりです。
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