みかん小説
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"48億の離婚届" 第7話

朝は丁寧にえ、必な会には席し、関係者には礼を尽くした。父の資産管理会社に関する打ちわせにも、控えめながら真剣に臨んだ。

その姿勢は、しずつ々の見方を変えていった。

の恵子は、浩司の妻としてられていた。

弁護士浩司を支える、控えめで誠実な妻。

しかし今、彼女は恵子という1物として見られ始めていた。

元企業の経営者が、彼女にげる。

文化活の関係者が、彼女の判断を待つ。

本健をはじめとする専チームが、彼女のを確認しながら続きをめる。

恵子はその変化に戸惑いながらも、逃げなかった。

自分に託された責任から目を逸らさなかった。

浩司の名づてにに入ることもあった。

社会評価の変化に直面していること。

しい女性との関係が終わったこと。

仕事ではこれまで通り誠実に取り組んでいるが、以ほど自信に満ちた姿ではないこと。

恵子はそれらを聞いても、表きく変えなかった。

それは復讐が消えたからではない。

のどこかに痛みは残っている。

しかし、浩司の転落を自分のびにすることは、父が残した価値観に反するようにえた。

父は、誰かを踏みつけて勝つことを望むではなかった。

誠実にきること。

社会に必とされる形で責任を果たすこと。

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恵子は、父から受け継いだものの本質を、しずつ理解し始めていた。

ある夕方、恵子は父の古い写真を見つめていた。

仕事着姿の父が、で控えめに笑っている写真だった。きな資産を持つ物には見えない。けれど、その背には族の将来を守るための慮があった。

「お父さん」

恵子はさくつぶやいた。

「私は、ちゃんと受け取れているでしょうか」

答えは返ってこなかった。

だが窓のから入る夕方のが、写真てを静かに照らしていた。

恵子はそのを見つめながら、これからの自分の役割を考えていた。

48億円を持つことではない。

48億円をどうかすか。

それこそが、父から託された本当の問いだった。

婚からしばらく経った頃、恵子は資産の活用について本格に考え始めた。

本健との面談は何度も続いた。

会議の机には、資産管理会社の資料、投資先の覧、域事業に関する報告が並べられた。恵子はつひとつ目を通し、分からない部分には付箋を貼った。

最初は専な内容に戸惑うこともかった。

しかし、彼女は決して任せにしなかった。

父が残した資産だからこそ、自分の責任で理解したかった。

あるの面談で、本が尋ねた。

「恵子さんは、この資産を今どのようにかしていきたいとお考えですか」

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恵子はすぐには答えなかった。

窓の線を向け、しばらく考えた。

彼女のに浮かんだのは、父のではなく、域のさな文化ホールだった。恵子が関わってきた文化活。子どもたちが緊張しながら台につ姿。齢者が作品展で自分の絵のち、し照れたように笑う姿。

域には、学びたいのに会がない子どもたちがいる。

芸術や文化に触れたいのに、経済な事で諦める若者もいる。

恵子は静かにいた。

「父が残したものを、域の未来にかしたいんです」

本はうなずき、メモを取った。

そこから、本芸術域教育基の構が始まった。

の目は、静岡県内の文化施設や教育関を支援し、子どもたちや若い世代が芸術や学びに触れる会を広げることだった。

にあたって、恵子は派な発表を望まなかった。

規模な式典も、過度な報も必ない。

関係者へ丁寧に説し、必続きをめ、支援が本当に届く仕組みを作る。

それが恵子の希望だった。

本はその向を尊した。

チームは基の法枠組みをえ、域の教育関や文化団体と調を始めた。恵子も打ちわせに参加し、現の声を聞いた。

古くなった楽器を修繕したい学

域の子どもたちに台芸術を見せたい文化団体。

経済な事学や学習会に悩む若者を支えたい教育関係者。

恵子は話を聞くたびに、父が残した資産のしずつ実していった。

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