"松の根の告発" 第3話
匠は軽くをげ、ゆっくりと角をげた。
その笑みは、謝にしては余裕がありすぎた。
寺は拳を握った。
証拠はない。
だが、あの男は何かをっている。
その直だけが、刑事の胸に残った。
捜査がき詰まりかけた頃、警察署の民相談窓に匿名話が入った。
しわがれた男の声が、受話器の向こうから流れた。
「久子って、宗教にはまって野の奥に入ったって話がある。娘も緒らしいぞ」
久子が宗教に関わっていたという話は、それまでどこからもていなかった。商の々も所のも、彼女が朝から商売をする以の活をしていたとは誰も言わなかった。
寺は課でく訴えた。
「これは匂います。誰かが々の目をそらそうとしている」
しかし捜査課は机を叩いた。
「匂うなら確認しろ。何もがかりがない今、通報を無するわけにはいかん」
結局、捜査班の半数が野の奥へ送られた。警察官約30名が集落、廃、倉庫、を調べたが、母娘の痕跡はどこにもなかった。
その、匠は京で別のきを見せた。
法律事務所の弁護士を3連れ、警察署で取材陣のにったのだ。テレビカメラ12台が斉に向けられる、匠はくをげた。
顔をげた、目には涙が浮かんでいた。
「私は母と姉を必ず見つけします。
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私の持っている財産を懸賞として差しします。警察がきちんと捜査してくれないのなら、私が探すしかないじゃないですか」
声はかすれ、涙は頬を伝った。
弁護士は続けた。
「私の依頼は、族を失った被害者です。それにもかかわらず、警察の圧な捜査に苦しめられています。これは権侵害であり、法対応を検討しています」
そのの夕方、ニュースは斉に匠を「族を失いながら警察に責められる若き経営者」として報じた。世論は警察批判へ傾き、層部は匠への追加聴取を保留するよう指示した。
野からぶらで戻った寺は、そのらせを聞いた。
机のには、匠が提したレシートの写しが置かれていた。寺はそれを蛍灯にかざした。文字も数字も、ホテルのロゴもはっきりしている。
完璧だった。
完璧すぎた。
警察署のでは、黒塗りのセダンがゆっくりていくところだった。部座席の窓越しに匠の横顔が見えた。数分までカメラので涙を流していた顔から、すでにしみは消えていた。
匠は携帯話を取り、い声で言った。
「終わったよ。きれいに片付いた。しばらく連絡してくるな」
話を切ると、彼の角がゆっくりがった。
2階の窓際でそれを見ろしていた寺は、帳を取りした。
最初のページに「匠」
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とき、そのに太い線を引いた。
事件は展しないまま、期未解決事件として扱われた。
1、2、5。
2013の、庭裁判所は久子と美の失踪宣告を確定した。法で定められた期を過ぎてもが確認できなかったため、2は法律、この世にしないとなった。
その週、匠は準備していた類を持って法務局へ向かった。
10億円規模の豪邸、都に点する商業ビル、座に眠る現。母の名義だった資産は、すべて匠の名のへ移された。
印鑑を押す匠のに迷いはなかった。
莫な遺産をにすると、匠は倒産寸だったベンチャー企業に資を注ぎ込んだ。未払いの与を清算し、断していた発事業を再させ、広告を打って会社のイメージを気に変えた。
2、匠は経済誌の表を飾った。
「倒産危からち直った若き実業」
「逆境を乗り越えた自力成功の象徴」
そんな肩きが、匠の名のについた。
さらに彼は、失踪族を探す財団を設し、自ら理事になった。毎、額の奨学を掲げ、失踪者族の集まりに寄付をった。そのには必ずテレビカメラがいた。
匠は記者ので穏やかに微笑んだ。
「母と姉を、私は今でも探しています」
会見が終わると、彼は遺族のを握り、優しい言葉をかけた。相が涙を流すと、背を撫でて励ました。
だが、に乗り込んだ瞬、その顔からしみは消えた。
昼の匠と夜の匠は別だった。
夜になると、座の級会員制クラブのフロアを貸し切り、政財界の物たちと杯を交わした。
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