"画面の中の失踪少年" 第4話
2つ目は、午3に、奏太に似たが見らぬ男性と緒に歩いていたという証言だった。男性はで、赤い子をかぶっていたとも言われた。
3つ目は、ガソリンスタンドの従業員によるものだった。彼は「がの男に連れられているように見えた」と話したが、距があり、顔をはっきり見たわけではなかった。
どの証言もにえた。
しかし、報は混乱していた。
目撃所の名が似ていたため、担当した若い警察官が報告に誤った名を記入してしまった。その結果、捜査は本来確認すべき所とは別の域へ広がってしまった。肝の現周辺が分に調べられたのは、数が過ぎてからだった。
そのにがった。もも通った。もし残っていたかもしれない跡やタイヤ痕は、すでに消えていた。
3、奏太が持っていた赤い提げ袋がの裏通りで見つかった。
しかし、それを見つけたがすぐに通報しなかったため、警察が確認したにはながかりはほとんど残っていなかった。袋の表面には複数ののが触れており、当の技術では効な分析につなげることができなかった。
も靴も見つからなかった。
直接な証拠がないまま、捜査はさまざまな方向へ広がっていった。
最初に疑われたのは、赤い子の男性だった。
広告
ガソリンスタンドの証言をもとに周辺で聞き込みがわれたが、物は特定できなかった。証言者の記憶にも曖昧な部分がく、警察は決定な線として追い切ることができなかった。
次に、学に入りしていた臨の用務員が調べられた。彼のロッカーから、奏太が切にしていた野球カードの1枚が見つかったからだった。
警察は彼をにわたって取り調べた。だがに複数の児童が、「奏太が自分からそのカードを渡していた」と証言した。用務員は釈放されたが、疑われた事実だけで域に居づらくなり、やがて仙台をれた。
この来事は、域にい信を残した。
さらに、父の弘にまで疑いが向けられた。
「失踪直、のくで審なをしていた」
そんな根拠のい通報があったのだ。弘は2度にわたってポリグラフ検査を受けた。結果ははっきりしたものではなく、疑だけが残る形になった。
族を必に探している父親が疑われる。
その現実は、由美と祖母の文子をさらに苦しめた。所の々の線も変わった。励ましの言葉の奥に、どこか探るような空気が混じるようになった。
由美は教員として学にき続けたが、教で子どもたちの顔を見るたびに胸が痛んだ。奏太と同じ頃の児童が「先」と呼ぶと、喉の奥が詰まった。
広告
それでも彼女は黒板のにった。崩れれば、もう度とちがれない気がしたからだった。
弘はに通いながら、夜になるとを歩き回った。仕事が終わるとまっすぐ帰宅せず、公園や空き、川沿いを何度も探した。
「どこかで泣いているかもしれない」
「誰かのに閉じ込められているかもしれない」
そんな考えがかられなかった。
祖母の文子は、毎仏壇にをわせた。
「奏太は必ず帰ってくる」
彼女は所のにも、警察官にも、同じ言葉を繰り返した。の玄関のかりは夜も消さなかった。奏太が帰ってきた、暗くて迷わないようにするためだった。
聞やテレビは連事件を報じたが、たな展はなかった。
が過ぎ、が来ても、奏太は帰ってこなかった。
捜査本部は膨な資料を理し、聞き込みを続けた。隣の科者、周辺域の審者、似た事件の報も調べられた。しかし、確かな証拠には結びつかなかった。
当のDNA鑑定は額で、結果がるまでがかかった。わずかに見つかった繊維片は、自の内装材と致したが、それ以の特定はできなかった。
末がづく頃、警察は「力な報は得られていない」と発表した。
にとって、それは事実、希望がざかったことを告げる言葉だった。
それでも族は諦められなかった。
奏太の部は、そのまま残された。机ののノート、教科、漫画、壁に貼られた座のポスター。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
消えた水色の妹
2001年、姉の結婚式の日に突然姿を消した24歳の看護師・小百合。 財布も携帯電話も残したまま、非常口へ向かった彼女の最後の姿だけが、防犯カメラに記録されていた。 家族は7年間、必死に彼女を捜し続けた。 そして夫となった男も、誰よりも協力的な家族として小百合を探し続けていた。 しかし、引っ越しを前に開けられたベランダの作業部屋で見つかったのは、誰も予想しなかった7年前の痕跡だった。 壁の中に隠されていた一本の携帯電話と、残されたわずかな言葉。 あの日、結婚式の裏側で何が起きていたのか。 そして、最も信頼されていた人物が隠していた真実とは――。ミステリー|行方不明1.9萬字5 652 -
完結第10話
トウモロコシ畑に消えた母
1999年、長野の静かな村で起きた不可解な事件。 朝のトウモロコシ畑で発見された農家の女性は、周囲から「親孝行な婿」に守られていたはずだった。 しかし、現場に残された小さな痕跡と、15年後に開かれた古い証拠が、誰も疑わなかった男の裏の顔を暴いていく。 家族を支える優しい婿の仮面の裏に隠されていたものとは――。 長い年月を経て、静かな村に埋もれていた真実が、ついに明らかになる。ミステリー|行方不明1.5萬字5 220 -
完結第11話
最後の定期券
30年間、毎朝駅へ向かい続けた父。 定年後、突然姿を消した彼の行き先は、30年前に消えた小さな駅だった。 娘が父の部屋で見つけた一枚の古い切符と、「必ず迎えに行く」という謎の言葉。そこから、父が誰にも話さなかった過去が少しずつ明らかになっていく。 父が30年間守り続けていた約束とは何だったのか。 そして、あの日駅から消えた少女の行方は――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 485 -
完結第11話
飛騨の農家に消えた嫁
1995年、岐阜県飛騨地方の山あいにある和牛農家へ嫁いだ27歳のゆき子。 よく働き、誰にも逆らわず、慣れない村で必死に暮らしていた彼女は、ある冬の日、牛舎へ向かったまま姿を消した。片方だけ残された長靴。消えた青いジャンパー。そして、家族が語った「自分から出て行った」という言葉。 警察は深く調べることなく、失踪は家出として処理された。 それから8年。村では何事もなかったように季節が巡り、義父の幻蔵は“誠実な畜産農家”として周囲から慕われ続けていた。 しかし、牛舎裏の堆肥の山から見つかった人骨が、止まっていた時間を動かす。 長年誰も近づけなかった壺のそば。夜ごと繰り返された寝言。真冬の洗車場で執拗に洗われた軽トラック。 誰も探さなかった若妻は、8年間どこにいたのか。 そして、家の体面を守るために義父が隠し続けたものとは――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 323 -
完結第11話
6秒の着信
2019年10月、紅葉の雪岳山を訪れた若い恋人、ジフンとアリン。 翌年に結婚を控えた2人は、記念写真を残すために山へ向かった。登山口の防犯カメラには、笑い合いながら歩く幸せそうな姿が映っていた。 しかし午後3時過ぎ、2人は分岐点でなぜか正反対の道へ進む。 そして、そのまま山の中から忽然と姿を消した。 大規模な捜索が行われても、足跡も荷物も見つからない。事故なのか、失踪なのか、それとも誰かが2人を誘い込んだのか。真相が分からないまま、3年の月日が流れていく。 やがて2022年、登山道近くの泥の中から、アリンの携帯電話が発見される。 そこに残されていたのは、最後に撮られた1枚の写真と、わずか6秒間の通話記録。 「そのまま来てください。彼も着きました」 その短すぎる声が、3年間“山で消えた”と思われていた恋人たちの、本当の行き先を暴き始める――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 338 -
完結第10話
退職祝いは離婚届
38年間、仕事一筋で家族を支えてきた黒田俊夫。 退職祝いの夜、彼は妻・真由美に言った。 「これからは、二人でゆっくりしよう」 しかし、その言葉を聞いた真由美は笑わなかった。彼女が静かに差し出したのは、白い封筒に入った離婚届だった。 若い頃に交わした旅行の約束。何度も後回しにされた夫婦の時間。「退職したら」「落ち着いたら」「今度こそ」と言われ続けた38年。 俊夫にとっては、これから始まるはずの老後だった。けれど真由美にとっては、もう待ち続ける時間の終わりだった。 妻はなぜ、夫の退職の日を選んで家を出たのか。 そして俊夫は、妻がいなくなった家で初めて、自分が見てこなかったものに気づいていく――。夫婦|第二の人生|熟年離婚1.5萬字5 984 -
完結第11話
私を変えた元嫁
老舗和菓子店「宮本屋」を守ってきた宮本美津江は、一人息子の結婚相手・梨奈を初めて見た時、心の中でこう思った。 「この子なら、教えれば変えられる」 靴の揃え方、挨拶、お辞儀、言葉遣い、店での立ち居振る舞い。美津江はかつて自分が姑に教え込まれたように、嫁である梨奈を“宮本屋にふさわしい人”へ育てようとした。 最初は頼りなかった梨奈も、やがて店の顔となり、若女将として客に愛される存在になっていく。売上も伸び、雑誌やテレビにも取り上げられ、美津江は誇らしげに言った。 「この子は、私が育てたのよ」 けれどその言葉は、少しずつ梨奈の心を傷つけていた。 そんな中、息子・拓海の裏切りが発覚する。梨奈は家を出て、宮本屋を去る決意をするが、美津江が最初に心配したのは、嫁の心ではなく店の未来だった。 梨奈は本当に、美津江に育てられただけの嫁だったのか。 そして、宮本屋に残された美津江は、梨奈のいない店で初めて、自分が何を奪い、何を見落としてきたのかを知る。 嫁を変えようとした姑と、自分の人生を取り戻そうとした元嫁。 これは、家族でも他人でもない二人の女性が、衝突の末にもう一度向き合っていく物語。嫁姑|第二の人生1.6萬字5 174 -
完結第14話
新郎が消えた結婚式
親に捨てられた私を育ててくれたのは、血のつながらない兄・航太だった。 両親が借金を残して消えた日、大学生だった兄は「俺が何とかする」と言い、働きながら私を支えてくれた。高校を中退した私を責めることもなく、ずっと本当の家族として守ってくれた。 そんな兄が、ようやく結婚することになった。 私は心から祝福するつもりで式場へ向かった。けれど式の直前、エリートの兄嫁は私に笑顔で言い放つ。 「毒親の連れ子なんでしょ?中卒のクズは参列しないで」 兄の幸せを壊したくなくて、私は黙って帰ろうとした。 しかし、その言葉を兄は聞いていた。 「分かった」 そう言った兄が次に選んだ行動で、華やかな結婚式場から人が次々と消えていく――。 血のつながりではなく、苦しい時に誰が隣にいてくれたのか。本当の家族の意味を描く、涙と因果応報の物語。兄弟姉妹|第二の人生2.1萬字5 1100 -
完結第12話
23回拒まれた元部長
定年退職した元部長・加藤正雄は、会社を離れてもなお、“上司”でいることをやめられなかった。 ゴルフ練習場で出会った佐藤雅人に、頼まれてもいない指導を始める加藤。何度断られても「遠慮しているだけ」「上達のため」と勝手に解釈し、他人の時間や距離感を踏み越えていく。 やがてその迷惑な善意は、ゴルフ場だけでなく、パソコンサークルや写真講座でも同じように繰り返されていたことが明らかになる。 「結構です」と言われた回数は、記録に残っているだけで23回。 それでも加藤は、自分が嫌がられている理由を理解できない。 肩書きを失っても、人を動かす側でいたかった男。 しかし、会社の外では誰も彼の部下ではなかった。 善意のつもりで他人の領域に踏み込み続けた男が、最後に失ったものとは――。第二の人生|金銭問題1.8萬字5 353 -
完結第11話
11年目のコロッケ
14歳の秋、黒田み咲の母・裕子は「夕飯のおかずを買ってくるね」と言って家を出たまま、二度と戻らなかった。 父は、母が家の金を盗み、近所の男と駆け落ちしたのだと親族に告げた。置き手紙も見つかり、周囲の大人たちは皆それを信じた。残されたみ咲は、“泥棒の娘”として11年間、父と継母、そして親族たちから辱められ続けることになる。 しかしある法要の日、裏山の古い井戸から、母が消えた日に買ったコロッケのレシートと、泥にまみれたカーディガンが見つかる。 母は本当に男と逃げたのか。 なぜ、継母の失くしたはずのイヤリングが井戸の底にあったのか。 そして、11年間沈黙していた“目撃者”が現れた時、黒田家が守り続けてきた嘘は音を立てて崩れ始める。 母に捨てられた娘だと思い込まされてきたみ咲が、封印された真実へたどり着くまでの、愛と復讐の物語。ミステリー|行方不明1.6萬字5 1489