"古井戸の満点少女" 第2話
「勉するは糖分を取らないとが回らないから」
そう言って笑う巧を、周囲の々はし特別な目で見ていた。
齢は3歳しかれていない。
授業以でも親しくしている。
単なる先以のがあったのではないか。
そんな噂が、あとで警察にも届くことになる。
昼を終えた桜は、次に予備へ向かった。
2目は、予備講師の佐々亮太だった。亮太は秩父で名な学予備の板講師で、受験だけで数百を抱えるカリスマ講師だった。
彼が桜を呼んだ理由は、はっきりしていた。
自己採点で満点を取った徒が、自分の予備に通っている。
その事実を宣伝に使いたかったのだ。
桜は予備にち寄り、亮太とく挨拶を交わした。そして予備の横断幕のにたされ、写真を何枚か撮られた。
「もうし笑って」
カメラマンの声に、桜は照れたように笑った。
制姿の桜が、るい表でカメラを見つめている。
それが、桜の最に残された写真となった。
その、桜は予備をた。
そこから取りは途切れる。
夕方、警察や担任に対して、親友の伊藤結はこう話した。
「学が終わって緒にたんですが、桜は約束があると言って先にきました。どこへくのかは聞いていません」
結の声は落ち着いていたが、目は赤く、配している様子だった。
広告
その夜10を過ぎても、桜はに戻らなかった。
健は最初、予備が引いているのだとった。けれど、10を過ぎても玄関の扉はかない。
健は予備へ話をかけた。
「桜さんなら、午にし来て、もう帰りました」
受話器を握るに力が入った。
次に友たちへ話をかけた。
誰もらなかった。
「今は会っていません」
「約束はしていません」
「どこにいるか分かりません」
返ってくる答えは、どれも同じだった。
健は何度ものへた。の先を見つめ、またに戻り、話のに座った。
夕のご飯はめていった。
汁物の表面にはい膜が張り、ご飯はくなった。
それでも話は鳴らなかった。
翌朝、健は秩父警察署を訪れた。
「娘が帰ってこないんです」
声は震えていた。
当、方届をしても、失踪から72が経たなければ本格な捜査に入らないという空気があった。警察は最初、の能性を考えた。
3。
センター試験直。
をめぐる父親との葛藤。
そうした事があれば、をることもあり得る。
しかし健は首を横に振った。
「うちの子は、そんな子じゃありません。何も言わずに消えるような子じゃないんです」
その必の訴えを受け、警察は桜の最の取りを追い始めた。
捜査の序盤、警察が最初に疑いの目を向けたのは、父親の健だった。
広告
桜の友たちに話を聞くで、警察は失踪の数、桜がこんな言葉を漏らしていたことをった。
「お父さんが法学部の話ばかりして、息が詰まる」
「自分の見を言っても聞いてくれない」
もちろん、桜はそのにこうも言っていた。
「お父さんがなぜそう言うのかは分かる。でも、私の気持ちも分かってほしい」
けれど捜査の序盤、警察のにく残ったのは半の言葉だった。
警察署の取調で、健はい子に座らされた。
刑事は机を挟んで尋ねた。
「娘さんと喧嘩をしたことはありますか」
健はすぐに首を振った。
「喧嘩じゃありません。の話をしただけです」
「その話は、どれくらい激しいものでしたか」
「激しくなんて……」
「をげたことは?」
その言葉を聞いた瞬、健は言葉を失った。
娘を守りたいで言った言葉が、こんな形で疑いに変わるとはってもいなかった。
2目の疑いは、庭教師の巧へ向けられた。
失踪当に桜と昼を共にしていたこと。それ自体が、周囲には怪しく見えた。
22歳の男子学と19歳の女子。
教師と徒。
わざわざ2で事をした。
巧は取調で汗を拭いながら答えた。
「桜さんのことが好きだったわけではありません。ただ、試験が終わった徒にご飯を奢っただけです」
けれど、その否定はかえって怪しさを増した。
3目は、予備講師の佐々亮太だった。
亮太は失踪当、桜を予備に呼びした最のだった。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
消えた水色の妹
2001年、姉の結婚式の日に突然姿を消した24歳の看護師・小百合。 財布も携帯電話も残したまま、非常口へ向かった彼女の最後の姿だけが、防犯カメラに記録されていた。 家族は7年間、必死に彼女を捜し続けた。 そして夫となった男も、誰よりも協力的な家族として小百合を探し続けていた。 しかし、引っ越しを前に開けられたベランダの作業部屋で見つかったのは、誰も予想しなかった7年前の痕跡だった。 壁の中に隠されていた一本の携帯電話と、残されたわずかな言葉。 あの日、結婚式の裏側で何が起きていたのか。 そして、最も信頼されていた人物が隠していた真実とは――。ミステリー|行方不明1.9萬字5 555 -
完結第10話
トウモロコシ畑に消えた母
1999年、長野の静かな村で起きた不可解な事件。 朝のトウモロコシ畑で発見された農家の女性は、周囲から「親孝行な婿」に守られていたはずだった。 しかし、現場に残された小さな痕跡と、15年後に開かれた古い証拠が、誰も疑わなかった男の裏の顔を暴いていく。 家族を支える優しい婿の仮面の裏に隠されていたものとは――。 長い年月を経て、静かな村に埋もれていた真実が、ついに明らかになる。ミステリー|行方不明1.5萬字5 199 -
完結第11話
最後の定期券
30年間、毎朝駅へ向かい続けた父。 定年後、突然姿を消した彼の行き先は、30年前に消えた小さな駅だった。 娘が父の部屋で見つけた一枚の古い切符と、「必ず迎えに行く」という謎の言葉。そこから、父が誰にも話さなかった過去が少しずつ明らかになっていく。 父が30年間守り続けていた約束とは何だったのか。 そして、あの日駅から消えた少女の行方は――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 446 -
完結第11話
飛騨の農家に消えた嫁
1995年、岐阜県飛騨地方の山あいにある和牛農家へ嫁いだ27歳のゆき子。 よく働き、誰にも逆らわず、慣れない村で必死に暮らしていた彼女は、ある冬の日、牛舎へ向かったまま姿を消した。片方だけ残された長靴。消えた青いジャンパー。そして、家族が語った「自分から出て行った」という言葉。 警察は深く調べることなく、失踪は家出として処理された。 それから8年。村では何事もなかったように季節が巡り、義父の幻蔵は“誠実な畜産農家”として周囲から慕われ続けていた。 しかし、牛舎裏の堆肥の山から見つかった人骨が、止まっていた時間を動かす。 長年誰も近づけなかった壺のそば。夜ごと繰り返された寝言。真冬の洗車場で執拗に洗われた軽トラック。 誰も探さなかった若妻は、8年間どこにいたのか。 そして、家の体面を守るために義父が隠し続けたものとは――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 306 -
完結第11話
6秒の着信
2019年10月、紅葉の雪岳山を訪れた若い恋人、ジフンとアリン。 翌年に結婚を控えた2人は、記念写真を残すために山へ向かった。登山口の防犯カメラには、笑い合いながら歩く幸せそうな姿が映っていた。 しかし午後3時過ぎ、2人は分岐点でなぜか正反対の道へ進む。 そして、そのまま山の中から忽然と姿を消した。 大規模な捜索が行われても、足跡も荷物も見つからない。事故なのか、失踪なのか、それとも誰かが2人を誘い込んだのか。真相が分からないまま、3年の月日が流れていく。 やがて2022年、登山道近くの泥の中から、アリンの携帯電話が発見される。 そこに残されていたのは、最後に撮られた1枚の写真と、わずか6秒間の通話記録。 「そのまま来てください。彼も着きました」 その短すぎる声が、3年間“山で消えた”と思われていた恋人たちの、本当の行き先を暴き始める――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 311