"父の残した翼" 第21話
あのからが過ぎた。私と母・佐藤け子の活は穏やかで満ちりたものになっていた。父が残してくれた翼のおかげで、私たちはしいへと力く羽ばたくことができた。
まず私は父の言葉通り、母の介護環境をえることから始めた。これまで暮らしてきた実を全面バリアフリーリフォームした。段差はなくなり、すりが取り付けられ、母が子でものを自由に移できるようになった。庭にスロープを作り、気の良いには母はで庭にて、父がした季節のを眺めることができるようになった。
また週に回、専の訪問リハビリテーションに来てもらうことにした。理学療法士の先の丁寧な指導の、諦めかけていた半の能は、しずつだが確実に回復の兆しを見せていた。最ではいなら補助具を使って自分のでてるようにもなったのだ。
母の顔から、かつてのような怯えやしみのは消え、穏やかな笑顔が戻ってきた。それが私にとって何よりの幸せだった。
私自もしい歩を踏みした。父の遺産を管理するため、そしてこれからのを自分の力で切りいていくため、学の通信課程に入学し、経営学と法律の勉を始めた。慣れない勉は変だったが、父の会社のこと、そして特許のことをもっとく理解したいといういが私を突きかした。
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本先が々庭教師のように訪ねてきて、難しい法律の条文を分かりやすく解説してくれるのも、きな助けとなっている。
直と彼の仲たちは裁判の結果、主犯のあよりと共に実刑判決を受けた。彼が刑務所からてくるのはずっと先のことになるだろう。彼のことをいすことはもうほとんどない。彼は私のに突如現れた激しい嵐のようなものだった。くのものを破壊し、私と母をく傷つけた。しかし嵐が過ぎったには汚れたものが全て洗い流され、澄み切った青空が広がっていた。そしてその嵐を乗り越えたことで、私と母の絆は以よりもずっとく、いものになったと信じている。
あるれたの午、私は母と緒に父のお墓参りにかけた。 綺麗に磨かれた墓にをかけ、しいを供える。母はまだし自由なで、それでも丁寧に線にを灯し、静かにをわせた。
「お父さん、見ていますか?ゆみはこんなに派になりましたよ。あなたの娘にまれて、私は本当に幸せでした。そしてあなたのおかげで、この子と穏やかな毎を送ることができています。本当に、本当にありがとう」
そう言って母はハンカチで目を抑えた。私も父の墓に向かってので語りかけた。 「お父さん、ありがとう。
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お父さんが残してくれた翼で、私は今、自分のを力くきています。もう誰かに媚びたり、自分を売りしたりはしない。この翼でお母さんと緒に自由にく羽ばたいていくから。だからどうか国でらかに、私たちを見守っていてください」
お墓参りを終えた帰り、母がふと私のを取り言った。 「ゆみ。もしまた誰か素敵なが現れたら、今度はためらわずに自分の幸せを掴むのよ。お母さんのことはもう配いらないから。あなたの幸せが、お母さんにとっての番の幸せなんだからね」
その言葉に私はただ黙って頷いた。恋や結婚は今の私にはまだ考えられない。でもいつか、父のようにから信頼し、尊敬できるパートナーと会えたなら、そのは過の傷を恐れることなくを向いて歩きせるかもしれない。
子を押しながら歩く穏やかな坂。空はどこまでも青く、端には名もらぬさなが憐に咲いていた。
私のは決して平坦ではなかった。い底に突き落とされ、絶望に打ちひしがれたもあった。けれど、今は分かる。はしみや苦しみだけではない。その先には必ず、涙の数だけくなった自分がいて、しい朝が待っているのだと。
父が残してくれた本当の遺産。それは莫な銭ではなく、逆境にち向かう恵、を信じる、そして何があっても自分自の尊厳を失わずにき抜くというい志だった。
私は父と母の娘であることに誇りを持ち、からも胸を張ってきていこう。涙の先に見つけた、この穏やかでかけがえのない常を、切に、切に抱きしめて。
(全文完)
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