"黒いゴミ袋に詰まった十五年" 第17話
私はし驚きながらそのしみのある茶い封筒を受け取った。
それはあの、黒いゴミ袋の底で見つけたものと同じ素朴な無の封筒だった。
封をけるとには古い便箋が数枚丁寧につ折りにして入れられていた。
それは正尾が私に向けていた最初で最のだった。
震える器用な字でかれたそのを私は静かな会議のでゆっくりと目で追い始めた。
佐子さんへ
い本当にありがとう。
そのいを見た瞬、私の界がしだけにじみ文字がぼやけた。
私はあなたに今まで謝の言葉を何も言えませんでした。
言わなかったのではありません。言えなかったのだとずっと自分に言い訳をしてきました。
でもそれは違います。ただ私がかっただけなのです。
のの正尾の言葉は飾ることもなく、ひたすらに自分の罪を告していた。
あなたがよしえに理尽に責められている、私は襖の奥で聞いていました。
あなたがをしてふらつきながら台所にっていたも私は黙って見ていました。
健があなたを顧みようとしない、私も同じように沈黙していました。
その沈黙こそがのである私の番の罪です。
緊張を持つ私の指先が刻みに震え始めた。
よしえと健は私が読んでいるの内容が分からず、穏な顔でこちらを見ている。
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しかし弁護士は彼らを制するように静かに見つめ返し、私に最まで読むように促した。
あなたはこので嫁としてただ働いたのではありません。族として私たちを誰よりも支えてくれました。
けれどこのの者はあなたのその優しさを当たりのものだとい込んでしまった。私もその愚かなです。
私の頬をい涙がゆっくりと伝った。
あの私があなたに渡した袋は決してゴミなどではありません。
このが見ないふりをしてきたあなたの尊い15の証です。
このに置いておけばよしえたちに本当にゴミとして捨てられてしまう。
だから持っていって欲しかったのです。
あなたが自分の15を無駄なゴミだったとわないように。
その言葉は私が黒いゴミ袋を抱えてたいので震えていたあの夜の答えだった。
正尾は私を遇のから追いしたのではなく、私のき獄のから救いしてくれていたのだ。
私は彼に嫌われていたわけでも、透なだったわけでもなかった。
の最のページには力い跡でこうかれていた。
そしてもしこのの者から話が来ても絶対に引き返さないでください。
薬のこと、病院のこと、事のこと。きっとあのは自分の都であなたを呼ぶでしょう。
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でもあなたはもう戻らなくていいのです。
あなたはもうこのの嫁ではありません。あなたはあなた自のに戻ってください。
私はその最の文を何度も何度もので繰り返した。
戻らなくていい。
その言葉は私が15といういずっと誰かに言って欲しかった言葉だった。
私が自分自を許しへむためのたったつの許だったのだ。
を読み終えた私は便箋を静かに折りたみ、自分の鞄へ切にしまった。
涙を拭う私を見て健が苛ったようにを乗りし机を叩いた。
「親父はそこに何ていているんだ。どうせおがまったく根も葉もないこと吹き込んだんだろう。」
私は彼を見ることもなくただまっすぐにを向いて静かに答えた。
「お父さんは私にこのには戻るなといてくださっています。自分たちのことは自分たちでやれとそうおっしゃっていますよ。」
健の顔がりから転して信じられないというような絶望のに変わった。
彼が唯の頼りのとしていた父親すらも完全に彼らを見捨てていたのだ。
よしえは主がそんなことを言うはずないわと叫ぼうとしたが声はひどくかすれていた。
弁護士のがとどめを刺すように徹な声で彼らに告げた。
「正尾さんは今切の活の面倒をよしえさんと健さんに任せると言されています。
それができないのなら、を売却してご自の施設に入る準備もめているとのことです。」
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