"最後の夜の写真" 第5話
そんな、京でシステムエンジニアとして働く普通の会社員、鈴健太(34)が、7というい壁に穴をけることになろうとは、誰も予していなかった。鈴は古くなった自用を買い換えるため、ネットの古サイトをぼんやりと眺めていた。価で状態の良いセダンを探していた彼の目に、ふとある1台のトヨタ・カローラがとまった。
2012式のいセダン。神奈川県の古が品しており、距の割に値段が頃だった。式は古いが、内装ともに驚くほど綺麗に保たれているように見えた。
「これ、いいかもしれないな……」
何気ない気持ちで、彼は販売に連絡を取り、週末に現を確認する約束を取り付けた。そして約束の、鈴は横浜にあるその古を訪れた。
し暗いガレージのに、そのカローラは静かにとまっていた。ウェブサイトで見た通り、丁寧に磨きげられた体には傷1つない。
「どうぞ、も見てみてください」
の良さそうな員に促され、鈴は運転席に乗り込んだ。シートにを沈め、ハンドルを握ってみる。しっくりとに馴染む覚。内装も清潔で、の所者がとても切に乗っていたことが伺えた。ふと、彼は助席の元にあるグローブボックスに目をやった。何が入っているわけでもないだろうといながら、何気なくその蓋をけてみた。
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には検証と取り扱い説のに、1枚のL判写真が、表裏を逆にして挟まっていた。
「ん? 誰かの忘れ物だろうか……」
興本位で、鈴はその写真をに取った。ひっくり返した瞬、目にび込んできた景に、彼はわず「あっ」とさな声をもらした。
若い男女4が、夜のを背景に、肩を寄せって満面の笑顔を浮かべている。その屈託のない笑顔は、見ているこちらまで幸せな気持ちになるほど輝いていた。しかし、鈴の胸に広がったのは、温かいだけではなかった。どこかでこの景を見たことがある、そんな奇妙な既が、の片隅で激しく警鐘を鳴らしていた。
写真の裏側を見ると、そこにはし丸みを帯びた女性の文字で、こうかれていた。 『最の夜! 浩司頑張って! 2013.6.15 23:30』
「最の夜……」
その言葉が、鈴の記憶のい部分をく揺さぶった。そうだ、いした。何もに、ニュースで繰り返し繰り返し報されていたあの事件。鎌倉で学4が忽然と姿を消した、あの忌まわしい失踪事件だ。彼の脳内で、忘れかけていたニュース映像と、目のの写真がぴたりと致した。背筋をゾきりとたいものがる。まさか、このは。
に駆られた鈴は、員に断って検証を詳しく確認させてもらった。そこに記載されていたナンバーは「神奈川567-89」
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。偽造された、架空の番号だった。偶然ではない、これは繋がっている。
鈴は揺を悟られぬよう、員には「し考えさせてください」とだけ告げてそのをにした。
帰り、スマートフォンの画面を震える指で操作し、『鎌倉 学 失踪事件』と検索する。そこには、7にを止められたままの、写真と同じ4の笑顔があった。そして、失踪した際に乗っていたが、いトヨタ・カローラだったことも。これはただの忘れ物ではない、7に葬られていた事件の、唯の物証かもしれない。
鈴は、正義と、得体のれない事件に巻き込まれることへの恐怖とので、激しく葛藤した。しかし、写真のの4の笑顔が、彼に「見て見ぬふりをするな」と訴えかけているようだった。く息を吸い込み、を決した彼は、スマートフォンの通話ボタンを押した。
呼びし先は、神奈川県警の代表番号だった。7止まっていた計の針が、1の善良な民のさな勇気によって、再びきそうとしていた。
鈴健太からの1本の通報は、神奈川県警の静寂を破る撃となり、やがてきな波を広げていった。
忘れられたはずの7の失踪事件。その報がもたらされた、くの若い捜査員が首をかしげるで、1だけその報告に目のを変えた物がいた。
横浜警察署の組織犯罪対策部に所属する、林弓(50)だった。
彼女はヤクザや半グレといった裏社会の犯罪を専に追い続けてきた、叩きげの女刑事だった。
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