みかん小説
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"最後の夜の写真" 第2話

のリビングは、計の針がく音だけが夜きく響いていた。

子の母、ふみ子は、膝のたくなった携帯話を握りしめていた。画面には、30分ほどに娘から届いたLINEのメッセージが、蛍を放っている。 『もうすぐ着くよ。帰るね』

そのい文章を、ふみ子はもう何度読み返したかわからなかった。いつもなら、そろそろ玄関のドアがいて「ただいま」というるい声が聞こえてくるはずのだったが、を打ったように静まり返り、聞こえるのはくで鳴く虫の声だけだった。胸の奥が、ザワリと嫌な音をてる。

夫は隣の部で健やかに眠っているようだった。起こすのもためらわれ、ふみ子はもう度娘の番号を呼びした。

に当てた受話器の向こうから、プルルル、プルルルと無質な子音が繰り返される。誰もない。指先がしずつたくなっていくのをじながら、彼女は祈るように呼びし音を聞き続けた。しかし、やがてその音はプツリと途切れ、「おかけになった話は、波の届かない所に――」という自音声に切り替わった。

「ああ、まただ……」

何度かけても、結果は同じだった。

、今度は健で、恋が彼の帰りを待っていた。 『楽しかったよ。話する』 そうメッセージが届いたのは、もう1のこと。

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いつもなら、どんなに遅くなっても「着いたよ」と言だけは連絡をくれる誠実な彼だった。

彼女はベッドのから、何度もスマートフォンの画面をつけた。着信履歴には、健の名がずらりと並んでいる。そのすべてが、応答のないまま終わっていた。窓のを見つめると、夜の層そのさを増しているように見えた。

そして午、事態がかないことに耐えきれなくなった子の母、ふみ子が、ついに警察署に話をかけた。震える声で状況を説する。しかし、受話器の向こうから返ってきたのは、事務でどこか億劫そうな声だった。

「ああ、の方々ですか。きっとどこかでまだ遊んでいるんですよ。よくあることですから。ご配でしょうが、まずは24様子を見ていただけませんか?」

その言葉に、ふみ子の全から力が抜けていく。配でたまらない親のを削るような、あまりにも事な響きだった。それでも彼女は受話器にしがみつくようにして、「でも、連絡が全くつかないんです!」と必に訴えたが、「こちらも事件性がないとけなくて」と、静かに話を切られてしまった。

たい絶望が、じわりと胸に広がった。夜がけるのが、これほど恐ろしいとじたことはなかった。障子を透かして、しずつ空がんでくる。を帯びていたの空が、やがてオレンジを帯び始めた。

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その朝焼けのは、しい1の希望などではなかった。それは、娘が帰ってこないまま残酷に夜がけてしまったという、絶望のだった。

、しびれを切らした4族は、鎌倉警察署に集まっていた。ことの異常さをようやく認識した警察は、い腰をげて捜査本部を設置した。

指揮を執ることになったのは、犯係のベテラン刑事、太郎(47)だった。に焼けた顔にいシワが刻まれている。彼は眠そうな目を擦りながら、部の報告を聞いていた。しかし、はある点に鋭く眉をひそめた。

「4の携帯の波が、ほぼ同に、同じ所で途絶えている……?」

報告に目を落とす。最の信号が確認されたのは、午40分、の島付。そこを最に、まるで示しわせたかのように4台すべての源が落ちていた。ありえないことだった。の刑事の勘が、これはただの若者の夜遊びではないと、激しく警鐘を鳴らしていた。

まるで何者かによって、部との通信を切断されたかのような自然な静寂。の最の目撃報は、午25分。鎌倉内の交差点の監カメラが、例のいカローラを捉えていた。しかし、その先の映像はどこにもない。京都へと続くすべてのルートを探しても、事故の痕跡すら見つからなかった。

ただだけが虚しく過ぎていく、親たちは、それぞれの子供たちが残した最の言葉を何度も何度も反芻していた。

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